―The Outlaw of Green―
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咄嗟に助けてしまったがこれはどうすればいいのだろうと思いながら、片腕にメイヴィを抱いたままシルビは昏倒させた下っ端を調べる。やはりこれは九頭見会のほうの下っ端で、九頭見会の一員である事を示すバッジを持っていた。
指先でソレを摘まんで折り曲げるという地味な嫌がらせを行なったところで、奥から一際大きな破壊音と悲鳴が聞こえる。それに怯えるメイヴィを抱えなおし、シルビはそちらへ足を向けた。
少し迷ったが辿り付いた植物園の奥、管理室と管理人の住居スペースを兼ねた小屋の前では、数人分の死体と散乱した機械のパーツ。それから破壊された植木鉢が転がっている。シルビが追尾してきた九頭見会の巨体の男は、片足が完璧にもげてしまっていた。とはいえ機械改造の脚だったようで、倒れている直接の原因は陥没した顔と腹部だろう。
子供に見せられるものでは無いなとメイヴィの顔を自身の胸元へ押し付けて、その光景を見せないようにと配慮しようとした矢先、メイヴィが何かに反応して身を乗り出した。
手を伸ばしている先には割れて土が散乱した、彼女が抱えていた植木鉢。メイヴィを降ろすと彼女は周囲を気にも留めずにその無残な花へと駆け寄っていった。
シルビも近付いて見れば、茎の部分が何かに踏まれでもしたのか寸断されたように潰れている。それを見つめて土をかき集めようとしたメイヴィに、その手を掴んで阻止した。
「素手でやると君が怪我する」
シルビを見上げたメイヴィが、周囲を見回して何かへ目を留める。その視線を追った先には、腕の千切られた死体と何かの詰められたバッグ。シルビが歩み寄ってそのバッグを拾い上げれば、子供用なのか小さめの園芸セットが入っていた。
バッグを持ってメイヴィの元に戻れば、メイヴィが中からシャベルを取り出す。それを眺めながらシルビは携帯を取り出してスティーブンへ連絡を取った。
『スティーブン』
「シルビです。植物園内に居るんですが、九頭見会の襲撃が返り討ちにあいました。管理人が世話してるお嬢さんは助けたんですが、管理人の姿がありません」
『……そうか。ギルベルトさんへ確認を取ったが、そこの管理人の名前は『キリシマエイジ』というらしい。それとクラウスがそこへ向かったとも教えてくれた』
「クラウスさん? は見てませんけど……ぁ、ちょっと待ってください。どうしたぁミス・メイヴィ?」
土を集めていたメイヴィがシルビのジーンズの裾を握って引っ張る。それに身を屈めて話を聞く態度を取ればメイヴィは何かを言おうとして口を開き、しかし何も言えずに眉根を寄せた。
先ほど唸っていた事を考えると一概に声が出ないと決め付けるのは早いが、喋るのに度胸がいるというところか。ともあれ何かをシルビへ伝えたいらしい彼女の意を汲まねばならない。
しゃがんで目線を合わせて問いかける。
「もう一度、もうちょっとだけ頑張ってみてくれるかぁ?」
最悪唇の動きを読めばいいと思っていた。だがメイヴィはシルビの予想を裏切って、かすれた小さい声を零す。
「く、らうす、さん。来た」
指先でソレを摘まんで折り曲げるという地味な嫌がらせを行なったところで、奥から一際大きな破壊音と悲鳴が聞こえる。それに怯えるメイヴィを抱えなおし、シルビはそちらへ足を向けた。
少し迷ったが辿り付いた植物園の奥、管理室と管理人の住居スペースを兼ねた小屋の前では、数人分の死体と散乱した機械のパーツ。それから破壊された植木鉢が転がっている。シルビが追尾してきた九頭見会の巨体の男は、片足が完璧にもげてしまっていた。とはいえ機械改造の脚だったようで、倒れている直接の原因は陥没した顔と腹部だろう。
子供に見せられるものでは無いなとメイヴィの顔を自身の胸元へ押し付けて、その光景を見せないようにと配慮しようとした矢先、メイヴィが何かに反応して身を乗り出した。
手を伸ばしている先には割れて土が散乱した、彼女が抱えていた植木鉢。メイヴィを降ろすと彼女は周囲を気にも留めずにその無残な花へと駆け寄っていった。
シルビも近付いて見れば、茎の部分が何かに踏まれでもしたのか寸断されたように潰れている。それを見つめて土をかき集めようとしたメイヴィに、その手を掴んで阻止した。
「素手でやると君が怪我する」
シルビを見上げたメイヴィが、周囲を見回して何かへ目を留める。その視線を追った先には、腕の千切られた死体と何かの詰められたバッグ。シルビが歩み寄ってそのバッグを拾い上げれば、子供用なのか小さめの園芸セットが入っていた。
バッグを持ってメイヴィの元に戻れば、メイヴィが中からシャベルを取り出す。それを眺めながらシルビは携帯を取り出してスティーブンへ連絡を取った。
『スティーブン』
「シルビです。植物園内に居るんですが、九頭見会の襲撃が返り討ちにあいました。管理人が世話してるお嬢さんは助けたんですが、管理人の姿がありません」
『……そうか。ギルベルトさんへ確認を取ったが、そこの管理人の名前は『キリシマエイジ』というらしい。それとクラウスがそこへ向かったとも教えてくれた』
「クラウスさん? は見てませんけど……ぁ、ちょっと待ってください。どうしたぁミス・メイヴィ?」
土を集めていたメイヴィがシルビのジーンズの裾を握って引っ張る。それに身を屈めて話を聞く態度を取ればメイヴィは何かを言おうとして口を開き、しかし何も言えずに眉根を寄せた。
先ほど唸っていた事を考えると一概に声が出ないと決め付けるのは早いが、喋るのに度胸がいるというところか。ともあれ何かをシルビへ伝えたいらしい彼女の意を汲まねばならない。
しゃがんで目線を合わせて問いかける。
「もう一度、もうちょっとだけ頑張ってみてくれるかぁ?」
最悪唇の動きを読めばいいと思っていた。だがメイヴィはシルビの予想を裏切って、かすれた小さい声を零す。
「く、らうす、さん。来た」