閑話9
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植物の世話を終えたクラウスと一緒に、ギルベルトの淹れたお茶をご馳走になっているとクラウスがおもむろに明日の予定を聞いてきた。
「明日は、ライブラで緊急出動が無ければ特に何もありませんが?」
「では……もし良ければ一緒に私が参加している園芸サークルへ行ってくれないだろうか」
言い難そうに告げるクラウスに、これは彼には珍しく裏があるのだろうなと思う。それ自体はクラウスの、申し訳無いというかこんな願いをしていいのかと悩んでいる様な顔を見れば分かった。
シルビとしては園芸サークルくらい別に構わない。クラウスがシルビを連れて行こうとした理由の説明を促せば、クラウスは持っていたカップとソーサーをテーブルへ置いた。
「その、君が不快になるだろうことを承知で言うが、“あの姿”で一緒に行っていただきたい」
「“あの姿”で、ですか?」
「うむ。私が参加している園芸サークルの会場である植物園の管理人がおられるのだが、その方と暮らしている少女がご両親を亡くしていて、そのショックからか声が出ないのだ」
不幸な話だが、この街では良くある事の一つと言ってしまえばそれまでだろう。どんな家族であったとしてもこの街で生きているのなら、次の瞬間には危険に晒されて生きていられるか分からない。
理不尽な騒動に巻き込まれてか事故に遭ってか、クラウスが言う少女も両親を亡くしたのだろう。そして声を失った。
だがそれとシルビとで何の関係があるのかと首を傾げる。薬剤師のバイトをしているし総合的な医療技術も持ってはいるが、精神科に関してはあまり知識も無い。
クラウスはシルビが薬剤師以外の技術を持っていることも知らないだろうし、それ以前に【白澤】の姿で、という部分がそれとは関係ないと思わせる。首をかしげたシルビにクラウスは言い難そうに口を開いた。
「君の“あの姿”は人の様に言葉を交わさずとも触れ合う事が出来る。だから、彼女の心へ安らぎを与えられたらと」
「……アニマルセラピー?」
思いついた単語を口にすれば、クラウスはシルビが不快に思ったと考えてか申し訳無さそうに畏縮する。
「君自身が“あの姿”を好んでいない事は知っているのだが、私は他に頼める相手がいなくて」
シルビより大きい巨体を必死に縮こまらせて、心底申し訳無さそうにしている姿はやはりシルビの弱いところを的確に突いてきた。
「……いいですよ」
「本当かね」
返事をした途端、嬉しそうに顔を上げるクラウスの背後に花の幻覚すら見える。そういう人種へ本当にシルビは弱かった。
「明日は、ライブラで緊急出動が無ければ特に何もありませんが?」
「では……もし良ければ一緒に私が参加している園芸サークルへ行ってくれないだろうか」
言い難そうに告げるクラウスに、これは彼には珍しく裏があるのだろうなと思う。それ自体はクラウスの、申し訳無いというかこんな願いをしていいのかと悩んでいる様な顔を見れば分かった。
シルビとしては園芸サークルくらい別に構わない。クラウスがシルビを連れて行こうとした理由の説明を促せば、クラウスは持っていたカップとソーサーをテーブルへ置いた。
「その、君が不快になるだろうことを承知で言うが、“あの姿”で一緒に行っていただきたい」
「“あの姿”で、ですか?」
「うむ。私が参加している園芸サークルの会場である植物園の管理人がおられるのだが、その方と暮らしている少女がご両親を亡くしていて、そのショックからか声が出ないのだ」
不幸な話だが、この街では良くある事の一つと言ってしまえばそれまでだろう。どんな家族であったとしてもこの街で生きているのなら、次の瞬間には危険に晒されて生きていられるか分からない。
理不尽な騒動に巻き込まれてか事故に遭ってか、クラウスが言う少女も両親を亡くしたのだろう。そして声を失った。
だがそれとシルビとで何の関係があるのかと首を傾げる。薬剤師のバイトをしているし総合的な医療技術も持ってはいるが、精神科に関してはあまり知識も無い。
クラウスはシルビが薬剤師以外の技術を持っていることも知らないだろうし、それ以前に【白澤】の姿で、という部分がそれとは関係ないと思わせる。首をかしげたシルビにクラウスは言い難そうに口を開いた。
「君の“あの姿”は人の様に言葉を交わさずとも触れ合う事が出来る。だから、彼女の心へ安らぎを与えられたらと」
「……アニマルセラピー?」
思いついた単語を口にすれば、クラウスはシルビが不快に思ったと考えてか申し訳無さそうに畏縮する。
「君自身が“あの姿”を好んでいない事は知っているのだが、私は他に頼める相手がいなくて」
シルビより大きい巨体を必死に縮こまらせて、心底申し訳無さそうにしている姿はやはりシルビの弱いところを的確に突いてきた。
「……いいですよ」
「本当かね」
返事をした途端、嬉しそうに顔を上げるクラウスの背後に花の幻覚すら見える。そういう人種へ本当にシルビは弱かった。