―人狼大作戦―
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『副職』の仕事を終えたシルビがヘルサレムズ・ロットへ帰ってくると、ライブラの事務所でスティーブンが何故か顔へ紅葉を張り付かせていた。
「これはまた見事な紅葉を」
「モミジ? ちょうどいいから治してくれないかこれ」
アメリカ在住者に、日本の古典的な比喩は通じなかったらしい。
「それはいいんですけど、チェインさん居ます?」
「……なんで怒ってるんだ?」
左頬に平手打ちの痕を付けたスティーブンのその問いには答えず、シルビは彼の顔へ【晴の炎】を押し当ててやる。実際機嫌が悪い理由を明確に言葉に出来る気もしなかった。
その機嫌が悪い故の八つ当たりで件の軍事国家が必要以上に崩壊状態へ陥り、二度と馬鹿なことをしようと考えるどころか、今後十年は他国へ媚びへつらわなければ国として存在していられないくらいにまでしてしまったが、シルビの怒りは治まっていない。
色が薄くなって消えた平手打ちの跡を確認して、シルビはもう一度チェインの居場所を尋ねた。
「チェインさんは、何処ですか?」
「人狼局のほうだ。大きい仕事があった後で、事後処理に」
「やっぱりあの国のミサイルの件。人狼が関わってましたね?」
「……君さー、情報共有って言葉知ってるか?」
「全世界の人間が全員同じ事知ってりゃ情報屋は首吊りますね」
シルビがチェインへ会いたいのは確認の為でもある。
自身に関するありとあらゆるものを希釈させる能力を持つ、『不可視の人狼』という存在の事をシルビはチェインしか知らない。他にもそういう種族である者は居るのだろうが、シルビが知っているのはチェインだけ。
それがどういうことなのかというと説明は到って簡単で、シルビが頭痛によって気付いた世界の『書き換え』前と後で彼女の存在が変動したことから、書き換えを行なったのが彼女であるという話になるからだ。
他の『不可視の人狼』が世界の書き換えを行なったのであれば、シルビは頭痛を覚えこそすれチェインを忘れるという現象は起こらなかった。なので何が変わったのかも分からなかったはずだ。最悪書き換えが小規模すぎて頭痛すら起こらなかったかもしれない。
だが書き換えが起こった上に、多重並行世界や未来過去現在までの全ての記憶を有し続けるシルビから、個人的な関わりまである記憶を書き換えようとした為、強制的に防衛本能が働き吐き気まで催した。
スティーブンにその名前を言って通じたので、チェインは世界から失われてはいない。けれどもやっぱり、会って実際に見てみなくては安心出来なかった。
「これはまた見事な紅葉を」
「モミジ? ちょうどいいから治してくれないかこれ」
アメリカ在住者に、日本の古典的な比喩は通じなかったらしい。
「それはいいんですけど、チェインさん居ます?」
「……なんで怒ってるんだ?」
左頬に平手打ちの痕を付けたスティーブンのその問いには答えず、シルビは彼の顔へ【晴の炎】を押し当ててやる。実際機嫌が悪い理由を明確に言葉に出来る気もしなかった。
その機嫌が悪い故の八つ当たりで件の軍事国家が必要以上に崩壊状態へ陥り、二度と馬鹿なことをしようと考えるどころか、今後十年は他国へ媚びへつらわなければ国として存在していられないくらいにまでしてしまったが、シルビの怒りは治まっていない。
色が薄くなって消えた平手打ちの跡を確認して、シルビはもう一度チェインの居場所を尋ねた。
「チェインさんは、何処ですか?」
「人狼局のほうだ。大きい仕事があった後で、事後処理に」
「やっぱりあの国のミサイルの件。人狼が関わってましたね?」
「……君さー、情報共有って言葉知ってるか?」
「全世界の人間が全員同じ事知ってりゃ情報屋は首吊りますね」
シルビがチェインへ会いたいのは確認の為でもある。
自身に関するありとあらゆるものを希釈させる能力を持つ、『不可視の人狼』という存在の事をシルビはチェインしか知らない。他にもそういう種族である者は居るのだろうが、シルビが知っているのはチェインだけ。
それがどういうことなのかというと説明は到って簡単で、シルビが頭痛によって気付いた世界の『書き換え』前と後で彼女の存在が変動したことから、書き換えを行なったのが彼女であるという話になるからだ。
他の『不可視の人狼』が世界の書き換えを行なったのであれば、シルビは頭痛を覚えこそすれチェインを忘れるという現象は起こらなかった。なので何が変わったのかも分からなかったはずだ。最悪書き換えが小規模すぎて頭痛すら起こらなかったかもしれない。
だが書き換えが起こった上に、多重並行世界や未来過去現在までの全ての記憶を有し続けるシルビから、個人的な関わりまである記憶を書き換えようとした為、強制的に防衛本能が働き吐き気まで催した。
スティーブンにその名前を言って通じたので、チェインは世界から失われてはいない。けれどもやっぱり、会って実際に見てみなくては安心出来なかった。