閑話6
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眼を覚ましたら目の前にツェッドがいて、逃げるように【白澤】の姿のまま温室を出てしまった。その先の執務室でシルビが寝る前に作っておいたパンケーキを食べているスティーブンに、シルビはその姿のまま近付いて傍に座る。
「……この姿で寝るから、人払いお願いしますって言いましたよねぇ?」
「そうだっけ? でもそのまま出てきたって事はバレてないんだろ? なら良かったじゃないか」
この話のならなさは一昼夜近く行われた乱闘の疲れが残っているからか。だとすれば仕方が無いので、舌打ちを我慢して人の姿へ戻った。裾のしわを払ってソファへ腰を降ろす。スティーブンとはちょうど一人分の隙間を空けて。
そうして体を捻りながら肘掛に頬杖を突く。スティーブンのほうは見ない。
「後で彼が何か言ってきたら、全部貴方へ説明してもらいますからね」
「それは困るな。僕は君のことをあまり知らない」
「聞かれてねぇですからね」
カチャ、と皿にフォークを置く音。
「聞いたら教えてくれる?」
「話せるところまでは。俺にだってリップサービスは出来ますよ」
「……君も“彼”のように“造られた”のか?」
嫌に硬い声で、真剣に聞かれた質問はシルビが予想していたものとは全く違っていて、シルビは思わずスティーブンを振り返って凝視した。スティーブンはそんなシルビをやはり真面目というか、返答次第では憐れみさえするぞとばかりの眼で見ている。
それを見て、何も情報を与えない状態で似たような別パターンが現れたらこうなるのかと、シルビは的外れな感想を抱いた。スティーブンはおそらく、シルビもツェッドの様な『造られた存在』なのではと考えているのだ。
そんな勘違いをさせるような言動をしただろうかと不思議に思うが、特に思い当たることはない。
「……あー、その、スティーブンさん」
「なんだい」
「もっと有意義なことを聞こうとは思わねぇんですか?」
「僕にとっては十分有意義だ。少なくとも把握しておきたいとは思っているよ」
「じゃあ言いますけどねぇ。俺にはちゃんと天使のように可愛らしくて血が繋がってるのが不思議なくらい愛らしい弟がいます」
「……。つまり弟がいるんだな? 血が繋がった」
微妙そうな顔をするスティーブンに何か変なことを言っただろうかと首を傾げる。シルビが作られた存在では無いという証明は、血の繋がった者がいるということで分かる筈だ。
同時にそれはシルビと弟を産んだ存在がいるということと、少なくとも弟という同属なり同類なりの存在があるということもであった。
なのでシルビは、ツェッドのように“造られた孤独的存在”ではない。
「……じゃあ彼を気に掛けてるのは」
「特別気に掛けてるつもりはねぇですけど? 仲良くなりたいとは思ってますが、そんなのレオ君や貴方にだってそうですしぃ」
他意も無く言えばスティーブンは、計算違いだとばかりに両手で顔を覆う。このライブラで参謀ポジションにいる割には、冷酷ではないなと思った。
「……この姿で寝るから、人払いお願いしますって言いましたよねぇ?」
「そうだっけ? でもそのまま出てきたって事はバレてないんだろ? なら良かったじゃないか」
この話のならなさは一昼夜近く行われた乱闘の疲れが残っているからか。だとすれば仕方が無いので、舌打ちを我慢して人の姿へ戻った。裾のしわを払ってソファへ腰を降ろす。スティーブンとはちょうど一人分の隙間を空けて。
そうして体を捻りながら肘掛に頬杖を突く。スティーブンのほうは見ない。
「後で彼が何か言ってきたら、全部貴方へ説明してもらいますからね」
「それは困るな。僕は君のことをあまり知らない」
「聞かれてねぇですからね」
カチャ、と皿にフォークを置く音。
「聞いたら教えてくれる?」
「話せるところまでは。俺にだってリップサービスは出来ますよ」
「……君も“彼”のように“造られた”のか?」
嫌に硬い声で、真剣に聞かれた質問はシルビが予想していたものとは全く違っていて、シルビは思わずスティーブンを振り返って凝視した。スティーブンはそんなシルビをやはり真面目というか、返答次第では憐れみさえするぞとばかりの眼で見ている。
それを見て、何も情報を与えない状態で似たような別パターンが現れたらこうなるのかと、シルビは的外れな感想を抱いた。スティーブンはおそらく、シルビもツェッドの様な『造られた存在』なのではと考えているのだ。
そんな勘違いをさせるような言動をしただろうかと不思議に思うが、特に思い当たることはない。
「……あー、その、スティーブンさん」
「なんだい」
「もっと有意義なことを聞こうとは思わねぇんですか?」
「僕にとっては十分有意義だ。少なくとも把握しておきたいとは思っているよ」
「じゃあ言いますけどねぇ。俺にはちゃんと天使のように可愛らしくて血が繋がってるのが不思議なくらい愛らしい弟がいます」
「……。つまり弟がいるんだな? 血が繋がった」
微妙そうな顔をするスティーブンに何か変なことを言っただろうかと首を傾げる。シルビが作られた存在では無いという証明は、血の繋がった者がいるということで分かる筈だ。
同時にそれはシルビと弟を産んだ存在がいるということと、少なくとも弟という同属なり同類なりの存在があるということもであった。
なのでシルビは、ツェッドのように“造られた孤独的存在”ではない。
「……じゃあ彼を気に掛けてるのは」
「特別気に掛けてるつもりはねぇですけど? 仲良くなりたいとは思ってますが、そんなのレオ君や貴方にだってそうですしぃ」
他意も無く言えばスティーブンは、計算違いだとばかりに両手で顔を覆う。このライブラで参謀ポジションにいる割には、冷酷ではないなと思った。