閑話5
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警察へ捕まらない様にそれぞれ散開してルートや時間をずらし、ライブラ事務所の『執務室』へと集まる。シルビは医療知識があるからと、気を失ったザップの弟弟子と一緒にギルベルトの運転で事務所へ戻った。クラウスはスティーブンと一緒に戻ってくるらしい。
ライブラの事務所へ着き、意識の無い弟弟子をとりあえずソファへ寝かせる。ギルベルトへ頼んで点滴の用意などをしてもらっている間に、とりあえず呼吸を楽に出来るように服を寛げさせるかと手をかけて、首許のヘッドホンの様な機械に触れて気付いた。
「シルビさん。点滴の用意が出来ました」
「……ギルベルトさん。ここって大きい水槽――いや、今はとりあえず風呂でいいかぁ。風呂に水張りましょう!」
「はい?」
振り返ってギルベルトへ言い、すぐさま仮眠室の傍へ設けられている浴室へ向かって湯船への蛇口を捻る。元々仮眠の為だけの小さなシャワールームなので、湯船も当然ながら狭い。おそらく弟弟子を放り込んだところで彼の全身を浸からせる事は出来ないだろう。
そもそも皮膚呼吸の度合いがどうなっているのかも分からない。
勢いをつけて出てくる水がどんどん貯まっていくのを確認して取って返したところで、クラウスとスティーブンが戻ってきた。
「何してるんだ?」
何処か間の抜けた声は、血界の眷属を倒したという安堵と事務所へ戻ってきたという開放感からだろう。末端とはいえ医療従事者としてのシルビはコレからがある意味戦争だというのに。
「クラウスさんお願いがあります。水槽を買ってください。金は出します。彼が入れるくらいの大きいやつ!」
「は?」
「一体どういうことかね?」
「彼、エラ呼吸なんです」
言った途端の二人の表情といったら。
シルビが楽な格好をさせようとして触れた首許の機械は、本人が気を失っていようと稼動していた。単純に音楽プレイヤーかと思っていたそれの下には、その機械で覆うように本来人間には無い『鰓』があったのだ。
おそらく機械はその鰓へ空気を送り込む機械。人間が水中で酸素を吸引するエアボンベとは、逆の機能を持っているものだ。
少しずらしただけでも苦しげに呻いた弟弟子に、汁外衛も師匠なら保護者でもあるのだから先に教えて欲しかった。
「エラがあるという事は多分肺呼吸では無ぇので、空気中にいるより水の中へ居るほうが楽なはずです。あの機械もどのくらいの時間の稼動が可能なのか分からねぇ以上、せめて意識が戻るまででも水中へ突っ込んでいた方がいいでしょう。一時的に水を貯めた風呂へエラの部分である顔だけでも突っ込みますが、体勢的に全身が入る水槽の方が……何ですか?」
アドレスを交換したばかりの汁外衛に連絡をとって、もう少し詳細を聞いたほうがいいかと考えながら説明していると、スティーブンは何か言いたげな顔をしている。
「いや、なんでもないよ」
何でもない顔では無いだろうと言い返そうとして、結局シルビは何も言えなかった。
ライブラの事務所へ着き、意識の無い弟弟子をとりあえずソファへ寝かせる。ギルベルトへ頼んで点滴の用意などをしてもらっている間に、とりあえず呼吸を楽に出来るように服を寛げさせるかと手をかけて、首許のヘッドホンの様な機械に触れて気付いた。
「シルビさん。点滴の用意が出来ました」
「……ギルベルトさん。ここって大きい水槽――いや、今はとりあえず風呂でいいかぁ。風呂に水張りましょう!」
「はい?」
振り返ってギルベルトへ言い、すぐさま仮眠室の傍へ設けられている浴室へ向かって湯船への蛇口を捻る。元々仮眠の為だけの小さなシャワールームなので、湯船も当然ながら狭い。おそらく弟弟子を放り込んだところで彼の全身を浸からせる事は出来ないだろう。
そもそも皮膚呼吸の度合いがどうなっているのかも分からない。
勢いをつけて出てくる水がどんどん貯まっていくのを確認して取って返したところで、クラウスとスティーブンが戻ってきた。
「何してるんだ?」
何処か間の抜けた声は、血界の眷属を倒したという安堵と事務所へ戻ってきたという開放感からだろう。末端とはいえ医療従事者としてのシルビはコレからがある意味戦争だというのに。
「クラウスさんお願いがあります。水槽を買ってください。金は出します。彼が入れるくらいの大きいやつ!」
「は?」
「一体どういうことかね?」
「彼、エラ呼吸なんです」
言った途端の二人の表情といったら。
シルビが楽な格好をさせようとして触れた首許の機械は、本人が気を失っていようと稼動していた。単純に音楽プレイヤーかと思っていたそれの下には、その機械で覆うように本来人間には無い『鰓』があったのだ。
おそらく機械はその鰓へ空気を送り込む機械。人間が水中で酸素を吸引するエアボンベとは、逆の機能を持っているものだ。
少しずらしただけでも苦しげに呻いた弟弟子に、汁外衛も師匠なら保護者でもあるのだから先に教えて欲しかった。
「エラがあるという事は多分肺呼吸では無ぇので、空気中にいるより水の中へ居るほうが楽なはずです。あの機械もどのくらいの時間の稼動が可能なのか分からねぇ以上、せめて意識が戻るまででも水中へ突っ込んでいた方がいいでしょう。一時的に水を貯めた風呂へエラの部分である顔だけでも突っ込みますが、体勢的に全身が入る水槽の方が……何ですか?」
アドレスを交換したばかりの汁外衛に連絡をとって、もう少し詳細を聞いたほうがいいかと考えながら説明していると、スティーブンは何か言いたげな顔をしている。
「いや、なんでもないよ」
何でもない顔では無いだろうと言い返そうとして、結局シルビは何も言えなかった。