―Don’t forget to don’t forget me―
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42番街、異界人の侵入を防ぐゲートの前でシルビは一度立ち止まる。近くに立っていたポリスがそんなシルビを一瞥したが、すぐに興味を失ったように視線を外していた。
シルビの手にはレオがこの一ヶ月近く足繁く通っていた、ジャック&ロケッツバーガープラントの袋がある。たった今42番街への中へある店へ行って買ってきたものだが、数十分は待たされた。
それだけ待たされて手に入れた商品を見ても、アメリカンジャンクフードへ偏見があるシルビには『自分で作ったほうが安いし野菜が多くなりそう』としか思えない。おそらく勧められたり話の流れでそうでもならなければ、今後自分で買うことは無いだろう。
立ち尽くしていても変なのでゆっくりと歩き出す。どの辺りで出会ったのか分からないが、確か聞いた話だと初対面の時は袋を提げていただけで目ざとく見つけてやってきたらしいから、シルビもその方法へ賭けることにした。
そうして歩き出して数十メートルも行かないところで、誰かが主語の無いままに誰かを呼び止める声が聞こえてくる。
「待って~」
振り返れば、しいたけに十字の切込みを入れたような頭の、クラゲのような異界人がシルビへ向かって走ってくるところで。目の前で息を切らせながら立ち止まった彼が、息を整えるのを待つ。
「すいません。そのバーガー、ひとくちください」
顔を上げて手を出してきた彼は、やっている事は乞食と変わらないのに堂々と言い放った。シルビが何も言わないでいれば言わないでいるだけずっと、じっとバーガーをくれるのを待っている。
提げていた袋を彼へ差し出せば、彼は嬉しそうな声を上げてそれを受け取ろうと両手を出してきた。その手が袋を掴む直前で、シルビは袋を彼の手へ届かない高さへまで上げる。
「ちょっと~!」
「いくつか聞きてぇんだけど、君は最近怪我とかしてねぇ?」
「ケガ? ケガなんてしてませんよ?」
「じゃあ、嫌な事があったりは?」
「ないですよ? そんな事よりバーガーください」
「……名前は?」
「アマグラナフ・ルォーゾンタム・ウーヴ・リ・『ネジ』です。も~、バーガーくれないならそう言ってくださいよ~」
「……ごめんね。お詫びにコレは全部あげる」
「ホント~!? おねーさん優し~!」
「男なんだけど……まぁ、いいかぁ」
声を聞いてもシルビを女だと思っている彼へ袋を渡した。訂正は二度と会うつもりが無いのでしなくていいかと判断する。
早速袋を開けて中身を確かめる彼へ、シルビは忘れてもいいことを前提に話しかけた。
「幸せな記憶って、忘れにくいんだぜぇ」
「? 何の話ですか? あ、ロケッツバーガーが美味しいってこと!?」
「ふふ、そう思うならそれでいいやぁ」
シルビの手にはレオがこの一ヶ月近く足繁く通っていた、ジャック&ロケッツバーガープラントの袋がある。たった今42番街への中へある店へ行って買ってきたものだが、数十分は待たされた。
それだけ待たされて手に入れた商品を見ても、アメリカンジャンクフードへ偏見があるシルビには『自分で作ったほうが安いし野菜が多くなりそう』としか思えない。おそらく勧められたり話の流れでそうでもならなければ、今後自分で買うことは無いだろう。
立ち尽くしていても変なのでゆっくりと歩き出す。どの辺りで出会ったのか分からないが、確か聞いた話だと初対面の時は袋を提げていただけで目ざとく見つけてやってきたらしいから、シルビもその方法へ賭けることにした。
そうして歩き出して数十メートルも行かないところで、誰かが主語の無いままに誰かを呼び止める声が聞こえてくる。
「待って~」
振り返れば、しいたけに十字の切込みを入れたような頭の、クラゲのような異界人がシルビへ向かって走ってくるところで。目の前で息を切らせながら立ち止まった彼が、息を整えるのを待つ。
「すいません。そのバーガー、ひとくちください」
顔を上げて手を出してきた彼は、やっている事は乞食と変わらないのに堂々と言い放った。シルビが何も言わないでいれば言わないでいるだけずっと、じっとバーガーをくれるのを待っている。
提げていた袋を彼へ差し出せば、彼は嬉しそうな声を上げてそれを受け取ろうと両手を出してきた。その手が袋を掴む直前で、シルビは袋を彼の手へ届かない高さへまで上げる。
「ちょっと~!」
「いくつか聞きてぇんだけど、君は最近怪我とかしてねぇ?」
「ケガ? ケガなんてしてませんよ?」
「じゃあ、嫌な事があったりは?」
「ないですよ? そんな事よりバーガーください」
「……名前は?」
「アマグラナフ・ルォーゾンタム・ウーヴ・リ・『ネジ』です。も~、バーガーくれないならそう言ってくださいよ~」
「……ごめんね。お詫びにコレは全部あげる」
「ホント~!? おねーさん優し~!」
「男なんだけど……まぁ、いいかぁ」
声を聞いてもシルビを女だと思っている彼へ袋を渡した。訂正は二度と会うつもりが無いのでしなくていいかと判断する。
早速袋を開けて中身を確かめる彼へ、シルビは忘れてもいいことを前提に話しかけた。
「幸せな記憶って、忘れにくいんだぜぇ」
「? 何の話ですか? あ、ロケッツバーガーが美味しいってこと!?」
「ふふ、そう思うならそれでいいやぁ」