―震撃の血槌―
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「はぁああ!? レオ君捕まってんのかぁ!?」
「仕方ねーだろ。アレは仕方ねーよ」
「……本当に仕方なかったんだなぁ? ザップさん」
視線を逸らすザップにため息一つ。どうやらシルビ達がアサイラムでゴタゴタしている間に、たまたまモンスタートラックの前方を走ることになってしまったザップ達のカブからレオが落ちて、たまたまモンスタートラックへ引っかかりたまたま捕まってしまったらしい。
「偶然も重なりゃ運命だよエイブラムスさん! 吉兆の印も流石に離れてりゃ効かねぇってもんだよなぁ!」
「キッチョー……なんだ?」
やり場の無い八つ当たりをとりあえずエイブラムスへしたところで、モンスタートラック破壊作戦を計画していたスティーブンが声を掛けてきた。
「シルビ。君はハマーに次ぐ大役だ。クラウスがトスしたトラック軌道修正と残骸撤去を頼みたい」
「軌道修正?」
「あの大きさでは空間転移は無理か?」
トラック破壊作戦の詳細は口頭説明でなら簡単で、掴まっているレオがトラックの視界を操って走行コースの変更をし、K・Kが眼を潰しスティーブンが速度を落とさせた車体をクラウスが飛び上がらせ、最後にブローディ&ハマーが殴って破壊する。ついでにザップとチェインがレオの救助。
この作戦で肝心となるのはやはりスティーブンの速度を落とす役割と、クラウスによるブローディ&ハマーの迎撃コースへのトスだ。しかし単に持ち上げるだけでは高さや距離が足りない可能性がある。
それを修正しろと言いたいのだろう。
まだ停止状態にあるモンスタートラックを振り返って大きさを確認する。シルビならあの大きさでも転移させることは、出来るには出来るだろう。
「残骸の収集場所って決まってます?」
「今ギルベルトさんが交渉してくれている。流石に全ての残骸回収は無理だろう? 大きなものだけでも充分なんだが、大きければやはり場所をとるからなあ」
その問題は一般のゴミ収集と同じ問題だ。
「じゃあそれは俺の決まり次第携帯へ連絡をくだされば。あと軌道修正の件ですけど、空間転移じゃねぇ方法でもいいですか?」
「違う方法?」
「多分空間転移で修正すると、せっかく貴方が落とす速度がまた上がっちまうかもしれねぇんです」
「他の方法があるなら僕はそれでも構わないさ。確実にやってくれるならね」
任せたとばかりに肩を叩いたスティーブンの機嫌が、なんとなく良かったような気がする。そんな機嫌を良くする様なことは無かった気がするのだが、彼はやはりよく分からない。
停止していたモンスタートラックが再び動き、走行を始める。
クラウスがモンスタートラックを持ち上げる為に待機している場所と、ブローディ&ハマーが待機している場所の中間辺りの、迎撃コースを少しずれた場所へ位置するビルの屋上へシルビは待機する。シルビの待機場所は好きなようにしていいとも言われているので、ここでもいい筈だ。
まだ距離があるにも関わらずはっきりと見えるモンスタートラック。あの中にレオが捕まっていて破壊と同時に救出する予定らしいが、破壊の衝撃に巻き込まれてレオまで四散しないか不安である。
「そもそも捕まってんのに作戦に組み込まれて、可哀想になぁ」
モンスタートラック破壊作戦の第一段階として、レオが『神々の義眼』でトラックの進行方向を変えなければ始まらない。それが出来なかったら多分、シルビが空間転移で無理やり軌道修正とかそういうことになる気がしていた。レオには是非頑張ってもらいたい。
「まぁ、彼の頑丈さと運を信じりゃいいかぁ」
迫り来るモンスタートラックの進路が変わり、走りぬけた地上で地面が凍る。凍った事で速度の鈍くなったモンスタートラックが。シルビの居る方向へまるで空へ向かって走るように跳ね上がった。
自分へと迫ってくるような感覚を覚えながらもシルビは指を“二回”鳴らす。途端、空間を破るようにして何ヶ所からも現れた鎖がモンスタートラックへと何重にも絡み付いた。
その鎖の先端はシルビが持っている部分で、全ては第八の炎で繋いだ空間を経由しているだけの、一本の鎖だ。更に言うならその鎖自体幻覚で作られた代物である。
鎖の絡み付いた衝撃でか、僅かに予定の軌道より浮遊高度を失ったトラックへ、舌打ちを零して鎖を引っ張った。ジャラリと音を立てたソレが互いに引っ張り合って、トラックの高さが予定の軌道を辿るように。
鎖の長さと待ち受けているブローディ&ハマー達までの距離を計算し、放物線を描くようにして二人の元へ向かうように軌道を修正。確実に二人の元へ飛んでいくと分かった時点で、指を鳴らして鎖を“消した”。
一瞬で消えた鎖の拘束を、当然だが巨大暴走車両は気に求めずに突っ込んでいく。ブローディ&ハマーの赤い巨体がシルビのいるビルの屋上からも見えた。
コレでシルビの第一目的は達成だ。
携帯が着信を告げて、殴りつけられるモンスタートラックを眺めつつ携帯に出る。
『スクラップの廃棄場所の許可が出ました』
「あ、はい。何処ですか?」
ギルベルトが告げた場所はシルビにも覚えのあるゴミ収集所だ。それなら繋げられるなと、再び空へ舞い上がりつつあったモンスタートラックの後方へ第八の炎で輪を作り上げる。どう考えても人目に付いてしまうがこの際仕方が無いし、ヘルサレムズ・ロットなら多めに見てくれると信じる事にした。
「仕方ねーだろ。アレは仕方ねーよ」
「……本当に仕方なかったんだなぁ? ザップさん」
視線を逸らすザップにため息一つ。どうやらシルビ達がアサイラムでゴタゴタしている間に、たまたまモンスタートラックの前方を走ることになってしまったザップ達のカブからレオが落ちて、たまたまモンスタートラックへ引っかかりたまたま捕まってしまったらしい。
「偶然も重なりゃ運命だよエイブラムスさん! 吉兆の印も流石に離れてりゃ効かねぇってもんだよなぁ!」
「キッチョー……なんだ?」
やり場の無い八つ当たりをとりあえずエイブラムスへしたところで、モンスタートラック破壊作戦を計画していたスティーブンが声を掛けてきた。
「シルビ。君はハマーに次ぐ大役だ。クラウスがトスしたトラック軌道修正と残骸撤去を頼みたい」
「軌道修正?」
「あの大きさでは空間転移は無理か?」
トラック破壊作戦の詳細は口頭説明でなら簡単で、掴まっているレオがトラックの視界を操って走行コースの変更をし、K・Kが眼を潰しスティーブンが速度を落とさせた車体をクラウスが飛び上がらせ、最後にブローディ&ハマーが殴って破壊する。ついでにザップとチェインがレオの救助。
この作戦で肝心となるのはやはりスティーブンの速度を落とす役割と、クラウスによるブローディ&ハマーの迎撃コースへのトスだ。しかし単に持ち上げるだけでは高さや距離が足りない可能性がある。
それを修正しろと言いたいのだろう。
まだ停止状態にあるモンスタートラックを振り返って大きさを確認する。シルビならあの大きさでも転移させることは、出来るには出来るだろう。
「残骸の収集場所って決まってます?」
「今ギルベルトさんが交渉してくれている。流石に全ての残骸回収は無理だろう? 大きなものだけでも充分なんだが、大きければやはり場所をとるからなあ」
その問題は一般のゴミ収集と同じ問題だ。
「じゃあそれは俺の決まり次第携帯へ連絡をくだされば。あと軌道修正の件ですけど、空間転移じゃねぇ方法でもいいですか?」
「違う方法?」
「多分空間転移で修正すると、せっかく貴方が落とす速度がまた上がっちまうかもしれねぇんです」
「他の方法があるなら僕はそれでも構わないさ。確実にやってくれるならね」
任せたとばかりに肩を叩いたスティーブンの機嫌が、なんとなく良かったような気がする。そんな機嫌を良くする様なことは無かった気がするのだが、彼はやはりよく分からない。
停止していたモンスタートラックが再び動き、走行を始める。
クラウスがモンスタートラックを持ち上げる為に待機している場所と、ブローディ&ハマーが待機している場所の中間辺りの、迎撃コースを少しずれた場所へ位置するビルの屋上へシルビは待機する。シルビの待機場所は好きなようにしていいとも言われているので、ここでもいい筈だ。
まだ距離があるにも関わらずはっきりと見えるモンスタートラック。あの中にレオが捕まっていて破壊と同時に救出する予定らしいが、破壊の衝撃に巻き込まれてレオまで四散しないか不安である。
「そもそも捕まってんのに作戦に組み込まれて、可哀想になぁ」
モンスタートラック破壊作戦の第一段階として、レオが『神々の義眼』でトラックの進行方向を変えなければ始まらない。それが出来なかったら多分、シルビが空間転移で無理やり軌道修正とかそういうことになる気がしていた。レオには是非頑張ってもらいたい。
「まぁ、彼の頑丈さと運を信じりゃいいかぁ」
迫り来るモンスタートラックの進路が変わり、走りぬけた地上で地面が凍る。凍った事で速度の鈍くなったモンスタートラックが。シルビの居る方向へまるで空へ向かって走るように跳ね上がった。
自分へと迫ってくるような感覚を覚えながらもシルビは指を“二回”鳴らす。途端、空間を破るようにして何ヶ所からも現れた鎖がモンスタートラックへと何重にも絡み付いた。
その鎖の先端はシルビが持っている部分で、全ては第八の炎で繋いだ空間を経由しているだけの、一本の鎖だ。更に言うならその鎖自体幻覚で作られた代物である。
鎖の絡み付いた衝撃でか、僅かに予定の軌道より浮遊高度を失ったトラックへ、舌打ちを零して鎖を引っ張った。ジャラリと音を立てたソレが互いに引っ張り合って、トラックの高さが予定の軌道を辿るように。
鎖の長さと待ち受けているブローディ&ハマー達までの距離を計算し、放物線を描くようにして二人の元へ向かうように軌道を修正。確実に二人の元へ飛んでいくと分かった時点で、指を鳴らして鎖を“消した”。
一瞬で消えた鎖の拘束を、当然だが巨大暴走車両は気に求めずに突っ込んでいく。ブローディ&ハマーの赤い巨体がシルビのいるビルの屋上からも見えた。
コレでシルビの第一目的は達成だ。
携帯が着信を告げて、殴りつけられるモンスタートラックを眺めつつ携帯に出る。
『スクラップの廃棄場所の許可が出ました』
「あ、はい。何処ですか?」
ギルベルトが告げた場所はシルビにも覚えのあるゴミ収集所だ。それなら繋げられるなと、再び空へ舞い上がりつつあったモンスタートラックの後方へ第八の炎で輪を作り上げる。どう考えても人目に付いてしまうがこの際仕方が無いし、ヘルサレムズ・ロットなら多めに見てくれると信じる事にした。