―妖眼幻視行―
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頭の上に乗っているチェインが、携帯を確認しつつソワソワしている。頭へ乗られることはもう慣れたが、土足で踏まれている件に関して靴底についた砂利などがどうなっているかは気になっていた。
今日はレオの妹さんが、婚約者と一緒にヘルサレムズ・ロットへ来る日である。ホテル『ヴォルドールアスタリスクⅡ』で待ち合わせをしていると聞いていた。秘密結社ライブラの一員であるという事と、妹の視力が無くなった件にレオの【神々の義眼】が関わっていることもあって、念の為に護衛をつけるとかで時間も教えられている。
だがその予定時間五十分前。シルビとチェインがいるのはホテルから離れたストリートだった。
先日調べていた模倣犯の行動範囲がこの辺りなので、模倣犯を見つけて追尾する為に来ていたのである。
「……チェインさん。気になるならもう行ってもいいですよ」
「調査は?」
「残りは犯人の追尾だけですし、俺一人でも出来ます」
「ふうん。じゃあ行っちゃおうかな」
何気ない振りをしながらも本当はレオの妹が気になるのか、声にはうれしげな色が混じっていた。シルビの頭の上でしゃがんでいたチェインがシルビの顔を覗き込んでくる。
「シルビはレオの妹気にならないの?」
「気になりますけど、滞在中に紹介出来たらするって言われましたし、仕事終わらせてから様子見に行くだけでもいいかなぁって」
「あんまり興味ない?」
「だってクラウスさんやスティーブンさんも護衛に行くんですよ?」
正確にはの二人だけではなくザップも護衛の任を受けていた。チェインのこの行動を考えると他のメンバーも見物に行くに違いない。
となれば、仕事をまじめにしている者は何人残るか。いや護衛も立派な仕事だけれども。
「じゃあ、ちょっと見たら戻ってくるよ」
「レオ君達によろしく」
意気揚々とシルビの頭の上から街灯の上へと飛び上がったチェインの姿が、そこから更に霧の街へと遠ざかっていく。チェインにやってもらいたかった事は全て終わっているので戻ってこなくてもいいのだが、その事を言わなかったのは実のところちょっとした八つ当たりだ。
ああは言ったもののシルビだってレオの妹を見たかった。レオの様に糸目なのだろうかとか、やっぱり顔立ちは似ているのだろうかとか、自分にも兄弟がいるからか余計に気になる。
「コディーに会いてぇなぁ……っと、ん?」
ストリートを歩く人混みの中に目的の模倣犯を見つけた。やはりこの辺りは行動範囲に入っていたらしい。
その模倣犯から距離を空けて尾行している人物も見つけ、シルビは少し考えてからその尾行をしている人物へと近付いた。
今日はレオの妹さんが、婚約者と一緒にヘルサレムズ・ロットへ来る日である。ホテル『ヴォルドールアスタリスクⅡ』で待ち合わせをしていると聞いていた。秘密結社ライブラの一員であるという事と、妹の視力が無くなった件にレオの【神々の義眼】が関わっていることもあって、念の為に護衛をつけるとかで時間も教えられている。
だがその予定時間五十分前。シルビとチェインがいるのはホテルから離れたストリートだった。
先日調べていた模倣犯の行動範囲がこの辺りなので、模倣犯を見つけて追尾する為に来ていたのである。
「……チェインさん。気になるならもう行ってもいいですよ」
「調査は?」
「残りは犯人の追尾だけですし、俺一人でも出来ます」
「ふうん。じゃあ行っちゃおうかな」
何気ない振りをしながらも本当はレオの妹が気になるのか、声にはうれしげな色が混じっていた。シルビの頭の上でしゃがんでいたチェインがシルビの顔を覗き込んでくる。
「シルビはレオの妹気にならないの?」
「気になりますけど、滞在中に紹介出来たらするって言われましたし、仕事終わらせてから様子見に行くだけでもいいかなぁって」
「あんまり興味ない?」
「だってクラウスさんやスティーブンさんも護衛に行くんですよ?」
正確にはの二人だけではなくザップも護衛の任を受けていた。チェインのこの行動を考えると他のメンバーも見物に行くに違いない。
となれば、仕事をまじめにしている者は何人残るか。いや護衛も立派な仕事だけれども。
「じゃあ、ちょっと見たら戻ってくるよ」
「レオ君達によろしく」
意気揚々とシルビの頭の上から街灯の上へと飛び上がったチェインの姿が、そこから更に霧の街へと遠ざかっていく。チェインにやってもらいたかった事は全て終わっているので戻ってこなくてもいいのだが、その事を言わなかったのは実のところちょっとした八つ当たりだ。
ああは言ったもののシルビだってレオの妹を見たかった。レオの様に糸目なのだろうかとか、やっぱり顔立ちは似ているのだろうかとか、自分にも兄弟がいるからか余計に気になる。
「コディーに会いてぇなぁ……っと、ん?」
ストリートを歩く人混みの中に目的の模倣犯を見つけた。やはりこの辺りは行動範囲に入っていたらしい。
その模倣犯から距離を空けて尾行している人物も見つけ、シルビは少し考えてからその尾行をしている人物へと近付いた。