―妖眼幻視行―
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指を鳴らして造りだした幻覚の鎖の束を一振りする。伸びた鎖の先端が眼下で逃げようとしていた犯罪予備軍達へ絡み付いて動きを制限するのに、追い打ちを駆けるように彼らが逃げてきた建物の中から冷気と氷柱が伸びてきて襲いかかった。
冷気へ触れた者から氷付けとなっていく犯罪予備軍達にシルビは両手の鎖を鳴らしながら鉄筋の上でしゃがむ。
「逃亡阻止。四十七人です」
「こっちは三十三……ピッタリだな」
シルビがしゃがんだ鉄筋の下。建物の出入り口から出てきたスティーブンに、シルビも鎖を消して飛び降りた。
今日のライブラの仕事は、スティーブンと組んでの犯罪予備軍の捕縛である。予備軍といえど個々の重犯罪はそれぞれ行なっている者達の集まりで、ヘルサレムズ・ロットで集まって何をしようとしていたのかと言えば麻薬取引らしい。
それぞれがそれなり犯罪履歴を持っているにも関わらず、意外とチャチな取引を行なうのだなと思いもしたが、その麻薬の精製に使われているのが人間や異界人の子供とあってはチャチだなどと言っていられなかった。
スティーブンとシルビ、それからK・Kの三人で赴いた取引現場の制圧は無事に終わり、スティーブンがK・Kへ連絡を取っている傍で氷付けの犯罪者達を眺める。相変わらずエスメラルダ式血凍道はえげつないと思ったが、よく考えたら知人であるザンザスも生きたまま氷付けにされていた。
「……うん。じゃあそれで頼むよ。僕達もこれから撤退する」
K・Kとの連絡を終えたスティーブンが携帯をしまうのに振り向けば、スティーブンがまだまだ余裕だとばかりに片手をポケットへ突っ込んで歩み寄ってくる。ポケットへ手を突っ込むのは中年男性がよくやってしまう癖だという説は、実のところいつも思うのだが言うつもりはない。
「お疲れ。いやあ出番が無いってK・Kが嘆いてたよ」
「出番なんて無くていいと思いますけどねぇ。給料は一緒ですし」
「歩合制にすればザップもサボらないって?」
「いやあの人はサボると思いますよ。それでも」
サボりが減るとしても遅刻は減らないだろう。
氷付けになった犯罪者集団は既に回収の手筈が付いているらしい。シルビ達の役割は捕縛までだ。
別の案件に斗流兄弟弟子とレオが出向いている。順調にいけば向こうの調査は昼前に終わる筈で、スティーブンも同じ事を考えたらしい。
「向こうはまだかな。昼食前に戻ってくれば助かるんだけどね」
「報告書の話ですか?」
「いや、事務所へ来る前にサブウェイ寄って買ってきてもらおうかなって。シルビは昼食は?」
「事務所で作ろうかなぁって思ってました」
「あ、じゃあ僕にも。っと、噂をすれば」
着信を告げる携帯を取り出したスティーブンがそれを耳へ押し当てる。事務所で作るとなると、結局何人が相伴に預かろうとしてこようとするのかと考えていると、スティーブンが素っ頓狂な声を上げた。
冷気へ触れた者から氷付けとなっていく犯罪予備軍達にシルビは両手の鎖を鳴らしながら鉄筋の上でしゃがむ。
「逃亡阻止。四十七人です」
「こっちは三十三……ピッタリだな」
シルビがしゃがんだ鉄筋の下。建物の出入り口から出てきたスティーブンに、シルビも鎖を消して飛び降りた。
今日のライブラの仕事は、スティーブンと組んでの犯罪予備軍の捕縛である。予備軍といえど個々の重犯罪はそれぞれ行なっている者達の集まりで、ヘルサレムズ・ロットで集まって何をしようとしていたのかと言えば麻薬取引らしい。
それぞれがそれなり犯罪履歴を持っているにも関わらず、意外とチャチな取引を行なうのだなと思いもしたが、その麻薬の精製に使われているのが人間や異界人の子供とあってはチャチだなどと言っていられなかった。
スティーブンとシルビ、それからK・Kの三人で赴いた取引現場の制圧は無事に終わり、スティーブンがK・Kへ連絡を取っている傍で氷付けの犯罪者達を眺める。相変わらずエスメラルダ式血凍道はえげつないと思ったが、よく考えたら知人であるザンザスも生きたまま氷付けにされていた。
「……うん。じゃあそれで頼むよ。僕達もこれから撤退する」
K・Kとの連絡を終えたスティーブンが携帯をしまうのに振り向けば、スティーブンがまだまだ余裕だとばかりに片手をポケットへ突っ込んで歩み寄ってくる。ポケットへ手を突っ込むのは中年男性がよくやってしまう癖だという説は、実のところいつも思うのだが言うつもりはない。
「お疲れ。いやあ出番が無いってK・Kが嘆いてたよ」
「出番なんて無くていいと思いますけどねぇ。給料は一緒ですし」
「歩合制にすればザップもサボらないって?」
「いやあの人はサボると思いますよ。それでも」
サボりが減るとしても遅刻は減らないだろう。
氷付けになった犯罪者集団は既に回収の手筈が付いているらしい。シルビ達の役割は捕縛までだ。
別の案件に斗流兄弟弟子とレオが出向いている。順調にいけば向こうの調査は昼前に終わる筈で、スティーブンも同じ事を考えたらしい。
「向こうはまだかな。昼食前に戻ってくれば助かるんだけどね」
「報告書の話ですか?」
「いや、事務所へ来る前にサブウェイ寄って買ってきてもらおうかなって。シルビは昼食は?」
「事務所で作ろうかなぁって思ってました」
「あ、じゃあ僕にも。っと、噂をすれば」
着信を告げる携帯を取り出したスティーブンがそれを耳へ押し当てる。事務所で作るとなると、結局何人が相伴に預かろうとしてこようとするのかと考えていると、スティーブンが素っ頓狂な声を上げた。