閑話26
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K・K視点
「でぇ、今日はお母さんと買い物かぁ?」
「うん。お兄さんが居るの見かけて来たんだ。邪魔だった?」
「もう掃除して終わりだから邪魔では無かったよ。君達こそ買い物はいいのかぁ?」
屈んで子供達と目線を合わせるシルビは、K・Kを見て初対面の振りをしたけれど、確実にライブラでの同僚であるシルビだった。穏やかに話す姿はどこからどう見ても秘密結社の一員だと想像すら出来なくて、人のいい薬局の店員さんである。
ブラッドベリ総合病院だったか、少し前に異界から出てきた病院に勤めていた薬局の店長が転職して、店が無くなったという話は聞いていたけれど、その無くなった店がここだったらしい。プライベートでの干渉はあまりしないから、K・Kも知らなかった。
シルビはK・Kと初対面の振りをして挨拶をしてきて、子供達とも何も知らない振りをして話をしている。ライブラという秘密結社の一員であることを互いに知らしめないようなその行動に、K・Kは感謝しつつも申し訳なく思った。
だってそれは、子供達を危険に晒さない為の行動だ。
ライブラの構成員であることがバレれば、どうにかライブラを出し抜こうとかライブラの情報を抜き取ろうと、K・Kやシルビ当人だけではなく家族も巻き込まれる可能性がある。自分達であったなら戦える力を持っているのでどうにかなるけれど、子供達はそうもいかない。
嫌われても何かを隠してでも、子供達は絶対に。
ケインがシルビの耳へ内緒話をしている。子供の扱いが上手いというか、まだ数回しか会っていないだろう子供達に懐かれているところは、少し羨ましいようにも思えた。
「……そっか。良かったなぁ」
「でもママったら、途中で仕事行こうとするんだぜ!?」
「ふふ、結局行っちゃったのかぁ?」
「行ったと思ったらキャロラインのお父さんと話してた」
シルビの眼が僅かに細められ、K・Kへと向けられる。すぐにケインへ戻されたそれに、シルビなら言わないだろうと思っていてもハラハラした。
あの日ケインの学校で出会ったキャロラインの父親が血界の眷属だったことは、まだ誰にも話していない。キャロラインはあの後転校していったらしく、あの親子は行方知れず。
同じ日にスティーブンが頭のない血界の眷属とやり合って負傷した事をシルビは知っている。キャロラインの父親だった彼との関連性は不明なままだけれど、K・Kは同一人物だったのではないかと少し考えていた。
立ち上がったシルビが子供達の頭を撫でる。
「でぇ、ちゃんとお母さんに『来てくれてありがとう』って言ったのかぁ?」
「……言ってない」
「後ででもいいから、そういう事はちゃんと伝えた方がいいぜぇ」
シルビはK・Kと同じで、あの親子が何処へ行ったのかを訪ねたりはしなかった。
何も言わず子供達に優しくしてくれたシルビに、あの血界の眷属を思い出してK・Kは思う。そうでなくともシルビはそういうところがある。
大人は皆、隠し事好きの嘘吐きだ。
「でぇ、今日はお母さんと買い物かぁ?」
「うん。お兄さんが居るの見かけて来たんだ。邪魔だった?」
「もう掃除して終わりだから邪魔では無かったよ。君達こそ買い物はいいのかぁ?」
屈んで子供達と目線を合わせるシルビは、K・Kを見て初対面の振りをしたけれど、確実にライブラでの同僚であるシルビだった。穏やかに話す姿はどこからどう見ても秘密結社の一員だと想像すら出来なくて、人のいい薬局の店員さんである。
ブラッドベリ総合病院だったか、少し前に異界から出てきた病院に勤めていた薬局の店長が転職して、店が無くなったという話は聞いていたけれど、その無くなった店がここだったらしい。プライベートでの干渉はあまりしないから、K・Kも知らなかった。
シルビはK・Kと初対面の振りをして挨拶をしてきて、子供達とも何も知らない振りをして話をしている。ライブラという秘密結社の一員であることを互いに知らしめないようなその行動に、K・Kは感謝しつつも申し訳なく思った。
だってそれは、子供達を危険に晒さない為の行動だ。
ライブラの構成員であることがバレれば、どうにかライブラを出し抜こうとかライブラの情報を抜き取ろうと、K・Kやシルビ当人だけではなく家族も巻き込まれる可能性がある。自分達であったなら戦える力を持っているのでどうにかなるけれど、子供達はそうもいかない。
嫌われても何かを隠してでも、子供達は絶対に。
ケインがシルビの耳へ内緒話をしている。子供の扱いが上手いというか、まだ数回しか会っていないだろう子供達に懐かれているところは、少し羨ましいようにも思えた。
「……そっか。良かったなぁ」
「でもママったら、途中で仕事行こうとするんだぜ!?」
「ふふ、結局行っちゃったのかぁ?」
「行ったと思ったらキャロラインのお父さんと話してた」
シルビの眼が僅かに細められ、K・Kへと向けられる。すぐにケインへ戻されたそれに、シルビなら言わないだろうと思っていてもハラハラした。
あの日ケインの学校で出会ったキャロラインの父親が血界の眷属だったことは、まだ誰にも話していない。キャロラインはあの後転校していったらしく、あの親子は行方知れず。
同じ日にスティーブンが頭のない血界の眷属とやり合って負傷した事をシルビは知っている。キャロラインの父親だった彼との関連性は不明なままだけれど、K・Kは同一人物だったのではないかと少し考えていた。
立ち上がったシルビが子供達の頭を撫でる。
「でぇ、ちゃんとお母さんに『来てくれてありがとう』って言ったのかぁ?」
「……言ってない」
「後ででもいいから、そういう事はちゃんと伝えた方がいいぜぇ」
シルビはK・Kと同じで、あの親子が何処へ行ったのかを訪ねたりはしなかった。
何も言わず子供達に優しくしてくれたシルビに、あの血界の眷属を思い出してK・Kは思う。そうでなくともシルビはそういうところがある。
大人は皆、隠し事好きの嘘吐きだ。