閑話26
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間隔が空いてしまったが、やっと片づけ終わる目処が立ってきた薬局で、シルビはガムテープで封をした段ボールを持ち上げる。中身は元店長が集めていた陶製の小物で、逐一割れないように紙で包む作業が地味に辛かった。これをレンタルコンテナへ放り込んで、最後にもう一度掃除をすれば全ての作業が終わる。
結局全部一人でやらされたなと思いながら【第八の炎】で繋いだレンタルコンテナへ段ボール箱を納めた。指を鳴らして炎を消して、モップを取りに行こうとしたところで店先の扉をノックする音が響く。
振り返れば、窓の向こうにケインとその兄と、何故かK・Kが一緒にいた。
「こんにちはぁ」
「こんにちは! 今日も掃除?」
「今日で最後だなぁ。……そちらは、二人のお母さん?」
明るく挨拶をしてくる兄弟の後ろで、K・Kがサングラスの奥からシルビを凝視している。いつもライブラで見るのとは違うラフな格好に、とりあえず初対面の振りをしてそう尋ねた。
「この薬局で働いていました。シルビです。生憎この店は閉店になってしまったのですけれど、ここの店長はブラッドベリ総合病院の薬局へいますので、ご用の際はそちらへ」
「あ、ああ……ご丁寧にどうも」
ぎこちなく返してきたK・Kは、まだ少し状況が理解出来ていないらしい。おそらく子供達へ連れられてか近くを通ったかして、子供達がシルビへ気付いたから立ち寄っただけなのだろう。
前以て聞いて来たのなら、『ご丁寧にどうも』とは言わない。
「この前母さんの眼帯買いに来た時お世話になったんだよ」
「えっ」
「既に閉店していたので開いている薬局まで二人を案内したんです。出過ぎたマネかとも思いましたが、子供だけで歩かせるのもなんだったので」
「いえ……その、子供達がお世話になったみたいで」
「お母さんの眼帯と仰いましたが、貴女の眼帯を買いに来てたんですね。母親想いのいい子達で羨ましい限りです」
「……ええ。自慢の子達なの」
やっとシルビの意図を理解して、いつもの調子を取り戻してきたらしいK・Kにシルビは微笑む。ライブラは秘密結社で、K・Kが家族へ自身がライブラへ所属していることを話しているかどうかは分からないが、K・Kとシルビが同僚であることは知られてはいけないはずだ。
何故なら、兄弟のお母さんの職業は『授業参観に来られないほど忙しい』仕事なのである。そのお母さんとシルビが同業だと知られたものなら、シルビはこんな閉店した薬局の片づけに来られるのに、何故自分達の母親は忙しいのだと疑問を持つに違いない。
ともすればシルビが彼らの愚痴を聞いたのすら、母親の差し金かと思われてしまう。
結局全部一人でやらされたなと思いながら【第八の炎】で繋いだレンタルコンテナへ段ボール箱を納めた。指を鳴らして炎を消して、モップを取りに行こうとしたところで店先の扉をノックする音が響く。
振り返れば、窓の向こうにケインとその兄と、何故かK・Kが一緒にいた。
「こんにちはぁ」
「こんにちは! 今日も掃除?」
「今日で最後だなぁ。……そちらは、二人のお母さん?」
明るく挨拶をしてくる兄弟の後ろで、K・Kがサングラスの奥からシルビを凝視している。いつもライブラで見るのとは違うラフな格好に、とりあえず初対面の振りをしてそう尋ねた。
「この薬局で働いていました。シルビです。生憎この店は閉店になってしまったのですけれど、ここの店長はブラッドベリ総合病院の薬局へいますので、ご用の際はそちらへ」
「あ、ああ……ご丁寧にどうも」
ぎこちなく返してきたK・Kは、まだ少し状況が理解出来ていないらしい。おそらく子供達へ連れられてか近くを通ったかして、子供達がシルビへ気付いたから立ち寄っただけなのだろう。
前以て聞いて来たのなら、『ご丁寧にどうも』とは言わない。
「この前母さんの眼帯買いに来た時お世話になったんだよ」
「えっ」
「既に閉店していたので開いている薬局まで二人を案内したんです。出過ぎたマネかとも思いましたが、子供だけで歩かせるのもなんだったので」
「いえ……その、子供達がお世話になったみたいで」
「お母さんの眼帯と仰いましたが、貴女の眼帯を買いに来てたんですね。母親想いのいい子達で羨ましい限りです」
「……ええ。自慢の子達なの」
やっとシルビの意図を理解して、いつもの調子を取り戻してきたらしいK・Kにシルビは微笑む。ライブラは秘密結社で、K・Kが家族へ自身がライブラへ所属していることを話しているかどうかは分からないが、K・Kとシルビが同僚であることは知られてはいけないはずだ。
何故なら、兄弟のお母さんの職業は『授業参観に来られないほど忙しい』仕事なのである。そのお母さんとシルビが同業だと知られたものなら、シルビはこんな閉店した薬局の片づけに来られるのに、何故自分達の母親は忙しいのだと疑問を持つに違いない。
ともすればシルビが彼らの愚痴を聞いたのすら、母親の差し金かと思われてしまう。