―BRATATAT MOM―
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「んで? 客として文句を言いに来た訳か? オレがまじめに働いてんのがそんなにおかしいか?」
「今までまじめに働いてねぇ自覚はあったんですね?」
ブラッドベリ総合病院内。慌ただしく走り回る女医の群に驚く兄弟と手を繋いで向かった院内薬局で、店長はシルビと話をしている間も手を止める様子はなかった。
元から腕前はあったのだし、その手腕を前々から披露していればもうちょっと繁盛していただろうにと思わなくもない。だが元店長の本心を聞いてしまってた今では、この病院以外で働く気など毛頭無かったのだろうなと理解出来てしまっていた。
元店長との言い合いも時間の無駄なので、レンタルコンテナの話だけ伝えてすぐに病院を出る。本来の目的の店とは違う場所へまで連れてきてしまい、半分誘拐だよなと思いながら手を繋いでいた兄弟を見下ろせば、眼帯の入った袋を手にお礼を言われた。
「ありがとうございました」
「ちゃんと家へ帰すまでが大人の義務だけれど、どういたしましてぇ」
「ほら、ケインも」
「ありがとうございました」
お礼を言える子はいい子だと思う。他人の私物を片付けるミッションに荒んでいた心が癒されるのを感じながら、シルビはちょっと娘と息子のことを思い出した。
今は一緒に住んでいないどころか息子に関しては問題がありまくりだが、二人ともシルビみたいな奴を親に持ったにしては素直で可愛い子達だったと思う。血の繋がりは無いが。
「俺も子供が居るんだけど、君達はご両親からいい育て方をされてるんだなぁ」
「子供居んの!?」
「いるぜぇ。これでも結構年いってんだぜぇ俺」
「へー。奥さんは?」
「奥さんはいねぇんだよ」
まず結婚はしたことがない。
「えっ!」
そんなに驚かれることかと思ったが、普通は片親だと聞けば驚くかと納得する。二人くらいの年齢なら両親が揃っていて当たり前だ。
だが弟のケインのほうはそうでもなかったらしく、クイクイとシルビの手を引っ張って注意を引くと少し大人びた振りをして話しかけてきた。
「キャロラインも、お父さんしかいないんだって」
キャロライン、というのは彼の学校の友達かガールフレンドか。
「そっか。じゃあキャロラインのお父さんは大変だなぁ。一人で二人分の愛情を注がなけりゃなんねぇから」
「二人分?」
「お父さんとお母さんの分」
「……でもママが居たって一人分の場合もあるよ」
途端に落ち込みを見せたケインに、何か悪いことを言ってしまっただろうかと慌てた。見ればお兄ちゃんの方も弟ほどではないが黙ってしまっている。
「あー……うん。愚痴聞いてあげるから、何処かお店入ろうなぁ」
「今までまじめに働いてねぇ自覚はあったんですね?」
ブラッドベリ総合病院内。慌ただしく走り回る女医の群に驚く兄弟と手を繋いで向かった院内薬局で、店長はシルビと話をしている間も手を止める様子はなかった。
元から腕前はあったのだし、その手腕を前々から披露していればもうちょっと繁盛していただろうにと思わなくもない。だが元店長の本心を聞いてしまってた今では、この病院以外で働く気など毛頭無かったのだろうなと理解出来てしまっていた。
元店長との言い合いも時間の無駄なので、レンタルコンテナの話だけ伝えてすぐに病院を出る。本来の目的の店とは違う場所へまで連れてきてしまい、半分誘拐だよなと思いながら手を繋いでいた兄弟を見下ろせば、眼帯の入った袋を手にお礼を言われた。
「ありがとうございました」
「ちゃんと家へ帰すまでが大人の義務だけれど、どういたしましてぇ」
「ほら、ケインも」
「ありがとうございました」
お礼を言える子はいい子だと思う。他人の私物を片付けるミッションに荒んでいた心が癒されるのを感じながら、シルビはちょっと娘と息子のことを思い出した。
今は一緒に住んでいないどころか息子に関しては問題がありまくりだが、二人ともシルビみたいな奴を親に持ったにしては素直で可愛い子達だったと思う。血の繋がりは無いが。
「俺も子供が居るんだけど、君達はご両親からいい育て方をされてるんだなぁ」
「子供居んの!?」
「いるぜぇ。これでも結構年いってんだぜぇ俺」
「へー。奥さんは?」
「奥さんはいねぇんだよ」
まず結婚はしたことがない。
「えっ!」
そんなに驚かれることかと思ったが、普通は片親だと聞けば驚くかと納得する。二人くらいの年齢なら両親が揃っていて当たり前だ。
だが弟のケインのほうはそうでもなかったらしく、クイクイとシルビの手を引っ張って注意を引くと少し大人びた振りをして話しかけてきた。
「キャロラインも、お父さんしかいないんだって」
キャロライン、というのは彼の学校の友達かガールフレンドか。
「そっか。じゃあキャロラインのお父さんは大変だなぁ。一人で二人分の愛情を注がなけりゃなんねぇから」
「二人分?」
「お父さんとお母さんの分」
「……でもママが居たって一人分の場合もあるよ」
途端に落ち込みを見せたケインに、何か悪いことを言ってしまっただろうかと慌てた。見ればお兄ちゃんの方も弟ほどではないが黙ってしまっている。
「あー……うん。愚痴聞いてあげるから、何処かお店入ろうなぁ」