閑話22
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「俺は彼等の為に、彼らの優しさに依存して生きてる。それを真似しろとは言わねぇけれど、ツェッド君もせめてレオ君やザップさんや、汁外衛を悲しませねぇようにするといいと思う」
同胞のいない彼へ助言の様だと思いはしたが、まず言える分際ではないくせにとすぐにもう一人の自分へ否定された感覚に、無意識に笑ってしまった。そんなものは先人の知恵ですら無い。
シルビがそうして生きてきたから、ツェッドもそうするべきだという考えですらなかった。
だってこれはつまり。
「レオ君達と友達になればっていう、押し売りなんだけど」
「友達?」
「それには種族とか関係無ぇし、結構良いモノだよ」
弟と母がいなかったら、親友に出会わなかったら、友人が出来なかったらシルビはもっと歪んだ性格になっていた自信がある。ライブラどころか世界自体がどうでもいいような、そんなただの化け物に。
水槽の中でツェッドが不思議そうに首を傾げた。
「シルビさんはレオ君と友達では?」
「友達でいたかったけど、無理そうだから仕方ない」
タオルで口元を隠して笑う。
「俺は広義でとらえりゃレオ君の妹さんの目を奪った存在とも同じだから、彼は俺が神性存在だと宣言したら俺のことを憎むだろぉ。神性存在として彼の眼を元に戻してやりたくても、今の俺は力の三割を奪われててそんな力も無ぇ。ただ傍にいるだけでもきっと、彼を苛立たせんだろぉ」
『やらない』と『出来ない』の壁は厚い。
『やらない』という言葉には出来るだけの実力を持っているという意味があるが、『出来ない』という言葉にはそれが無いのだ。
偏に『神性存在』という括りでも、力を奪われ全力を出せもせず、少し【炎】以外の力を使っただけで疲れ切ってしまうような今のシルビは、ただの名前だけの存在である。レオはそれを知らないしシルビも話すつもりはない。
話したところで何の意味があるというのだ。レオへもどかしい思いをさせるだけである。
「地獄にも花が咲くことを俺は知ってる。その花を枯らすようなことはしたくねぇ。……ツェッド君。綺麗なモノは好きかぁ?」
「……はい」
「俺もだよ」
微笑んで立ち上がって指を鳴らす。
【第八の炎】で繋いだ先は自分の家で、もう歩いて帰る気力なんて無かった。むしろ夕食や入浴も億劫で多分今もツェッドへ良い格好しいなだけで、家へ帰った途端倒れるように眠れる自信がある。
明日寝坊したら怒られるかな、なんて思いながら肩に掛けていたタオルを棚へ戻し、ツェッドへ手を振って炎の輪を潜った。
同胞のいない彼へ助言の様だと思いはしたが、まず言える分際ではないくせにとすぐにもう一人の自分へ否定された感覚に、無意識に笑ってしまった。そんなものは先人の知恵ですら無い。
シルビがそうして生きてきたから、ツェッドもそうするべきだという考えですらなかった。
だってこれはつまり。
「レオ君達と友達になればっていう、押し売りなんだけど」
「友達?」
「それには種族とか関係無ぇし、結構良いモノだよ」
弟と母がいなかったら、親友に出会わなかったら、友人が出来なかったらシルビはもっと歪んだ性格になっていた自信がある。ライブラどころか世界自体がどうでもいいような、そんなただの化け物に。
水槽の中でツェッドが不思議そうに首を傾げた。
「シルビさんはレオ君と友達では?」
「友達でいたかったけど、無理そうだから仕方ない」
タオルで口元を隠して笑う。
「俺は広義でとらえりゃレオ君の妹さんの目を奪った存在とも同じだから、彼は俺が神性存在だと宣言したら俺のことを憎むだろぉ。神性存在として彼の眼を元に戻してやりたくても、今の俺は力の三割を奪われててそんな力も無ぇ。ただ傍にいるだけでもきっと、彼を苛立たせんだろぉ」
『やらない』と『出来ない』の壁は厚い。
『やらない』という言葉には出来るだけの実力を持っているという意味があるが、『出来ない』という言葉にはそれが無いのだ。
偏に『神性存在』という括りでも、力を奪われ全力を出せもせず、少し【炎】以外の力を使っただけで疲れ切ってしまうような今のシルビは、ただの名前だけの存在である。レオはそれを知らないしシルビも話すつもりはない。
話したところで何の意味があるというのだ。レオへもどかしい思いをさせるだけである。
「地獄にも花が咲くことを俺は知ってる。その花を枯らすようなことはしたくねぇ。……ツェッド君。綺麗なモノは好きかぁ?」
「……はい」
「俺もだよ」
微笑んで立ち上がって指を鳴らす。
【第八の炎】で繋いだ先は自分の家で、もう歩いて帰る気力なんて無かった。むしろ夕食や入浴も億劫で多分今もツェッドへ良い格好しいなだけで、家へ帰った途端倒れるように眠れる自信がある。
明日寝坊したら怒られるかな、なんて思いながら肩に掛けていたタオルを棚へ戻し、ツェッドへ手を振って炎の輪を潜った。