閑話21
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「――さん。シルビさん」
「ぁ、なに?」
ツェッドの定期診察の途中、ボンヤリしてしまったようだった。水槽の中から梯子へ手を掛けて水面へ鰓より上の顔を出していたツェッドを見れば、不思議そうに階段へ座ってカルテを抱えていたシルビを見上げている。
「この前から元気ありませんね。何かあったんですか?」
「ん、何かあった、って程でもねぇんだけど……」
ブラッドベリ総合病院が現れたあの日、シルビはレオに『神的存在』である事がバレた。
『神的存在』であるということはレオへ【神々の義眼】を押しつけた存在に人より近いものであるということで、それにシルビがあまり何も言わずにいることで言い合ったばかりだったことも相まってか、あれからシルビはレオと殆ど会話をしていない。していない、というよりは避けていると言うべきか。シルビが。
今のシルビは、というより元からシルビは自分が『神的存在』であるという自覚が殆ど無かった。神様だと崇められた経験こそあるがそれとはまた違うだろうし、『神的存在』というのがそもそもシルビにとっては馴染みのある識別名称でもない。
だがシルビ以外の周囲は違う。『神的存在』というのは人類には到底適うこともその思考を理解も出来ない、ハッキリとやる事為す事全ての次元が違うと言い切られる存在という認識だ。
レオへ【神々の義眼】を押しつけた存在もきっと似たようなもので、レオの考えは分からないが全てのそういう存在を恨んでいたとしたら、『神的存在』であると知られたシルビも恨まれる対象になったということである。
そうでなくとも言い合って印象が悪くなっていたのに追い打ちを掛けて、レオがシルビを嫌ってしまったとしてもそれは当然の結果というものだ。けれどもそれを確定させる言葉を聞きたくなくて、浅ましくレオから逃げている。
「やはり薬局のバイトが無くなってしまって大変なんですか?」
「あー、そうだなぁ。それもあったなぁ。閉店した店の片付けも殆ど進んでねぇし、どうするつもりなのかなぁ店長も」
店長がブラッドベリ総合病院へ再就職したのを機に、今までバイトで通っていた薬局は閉店した。同時にシルビのバイトも一つ減ってしまい今はモルツォグァッツァでのバイトしか無い。
収入に困るなんて事は副職もあるので微塵たりとも無いのだが、時間だけは有り余っている状態だ。かといって薬局の片付けに行くにしても店長の私物が残っているだけのようなもので、あまり行こうとも思えない。それでライブラの事務所へ来てしまって、レオに遭遇しては避ける時間も増えている訳だが。
「嫌になるよなぁ」
「シルビさんも嫌になる事ってあるんですか」
「そりゃあるぜぇ。生きてるんだから」
「ぁ、なに?」
ツェッドの定期診察の途中、ボンヤリしてしまったようだった。水槽の中から梯子へ手を掛けて水面へ鰓より上の顔を出していたツェッドを見れば、不思議そうに階段へ座ってカルテを抱えていたシルビを見上げている。
「この前から元気ありませんね。何かあったんですか?」
「ん、何かあった、って程でもねぇんだけど……」
ブラッドベリ総合病院が現れたあの日、シルビはレオに『神的存在』である事がバレた。
『神的存在』であるということはレオへ【神々の義眼】を押しつけた存在に人より近いものであるということで、それにシルビがあまり何も言わずにいることで言い合ったばかりだったことも相まってか、あれからシルビはレオと殆ど会話をしていない。していない、というよりは避けていると言うべきか。シルビが。
今のシルビは、というより元からシルビは自分が『神的存在』であるという自覚が殆ど無かった。神様だと崇められた経験こそあるがそれとはまた違うだろうし、『神的存在』というのがそもそもシルビにとっては馴染みのある識別名称でもない。
だがシルビ以外の周囲は違う。『神的存在』というのは人類には到底適うこともその思考を理解も出来ない、ハッキリとやる事為す事全ての次元が違うと言い切られる存在という認識だ。
レオへ【神々の義眼】を押しつけた存在もきっと似たようなもので、レオの考えは分からないが全てのそういう存在を恨んでいたとしたら、『神的存在』であると知られたシルビも恨まれる対象になったということである。
そうでなくとも言い合って印象が悪くなっていたのに追い打ちを掛けて、レオがシルビを嫌ってしまったとしてもそれは当然の結果というものだ。けれどもそれを確定させる言葉を聞きたくなくて、浅ましくレオから逃げている。
「やはり薬局のバイトが無くなってしまって大変なんですか?」
「あー、そうだなぁ。それもあったなぁ。閉店した店の片付けも殆ど進んでねぇし、どうするつもりなのかなぁ店長も」
店長がブラッドベリ総合病院へ再就職したのを機に、今までバイトで通っていた薬局は閉店した。同時にシルビのバイトも一つ減ってしまい今はモルツォグァッツァでのバイトしか無い。
収入に困るなんて事は副職もあるので微塵たりとも無いのだが、時間だけは有り余っている状態だ。かといって薬局の片付けに行くにしても店長の私物が残っているだけのようなもので、あまり行こうとも思えない。それでライブラの事務所へ来てしまって、レオに遭遇しては避ける時間も増えている訳だが。
「嫌になるよなぁ」
「シルビさんも嫌になる事ってあるんですか」
「そりゃあるぜぇ。生きてるんだから」