閑話20
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薬局はどうするんだと話に割り込み掛けた足を止めて、シルビは店長の切実な思いを聞き続ける。
「薬剤師でなくともいい。いや、薬剤師としてが一番良いけど何なら看護師でも掃除夫でもいい。ここで働かせてください」
「……どうしてそこまでこの病院にこだわるのかね?」
「ここがオレの一部で、オレの死に場所だからです」
はっきりと断言した店長は、いつものだらけてテレビの前に座っていた男ではない。
「足りないモノを求めんのは当たり前だ。奪われたモノを取り返そうとするのも当たり前だ。それはオレを構成するモンで無くてはならないモノだ。三年前よりも前までこの病院の問題はオレの問題でもあって、オレの悩みはこの病院の悩みだった」
「だが君の知るブラッドベリとは変わってしまったかも知れない」
「そんなんオレだって変わってんだから当たり前だ。ルシアナだってなんか大量発生してるけどそれも事情があるんだろ? でもそれを知ってようが知らないでいようが関係ない。オレの病院とコイツ等への信頼は揺らがない」
まっすぐな宣言に少し凄いなと感心したのは、先程レオから『信用できない』と言われたからだろうか。シルビのライブラへの信頼は既にそれなりにあるつもりだが、ライブラからシルビへの信用はきっとそこまで高くない。
単なる派遣員だからとかそういう理由ではなく、シルビ自身が良くないのだろう。
マグラ・ド・グラナは再び働かせてくれと頭を下げた店長を見つめてから、ルシアナの分裂体の一人に声を掛けた。
「確か薬剤局の人手が足りなかったね」
「――はい!」
「ではジョン君。君の都合もあるだろうが出来るだけ早く、こちらで働いてもらっていいだろうか。この病院は毎日忙しい」
院長のその言葉に顔を上げた店長が感極まった様子でお礼を言う。周りのスタッフが歓迎したり我が事のように喜んだりしているのに笑みを返し、それから店長がシルビを見た。どうやらシルビが居ることには気付いていたらしい。
「というわけでシルビ! お前クビな」
「いやちょっとぉ! 店どうするんですかアンタァ!?」
「あの店は閉める。常連は今度からこの病院の薬局に来てもらえばいいだろ」
「んな簡単に……」
「何だったらお前もここで働けばいんじゃね?」
「あら、彼って薬剤師なの?」
ルシアナが意外そうにシルビを見たのは、シルビがライブラのメンバーの一人であると知っているからだろう。
「いや、ルシアナ君。彼は『神的存在』の一端だ」
後ろで何かが落ちる音がして振り返る。持っていた携帯を落としたらしいレオがシルビを見ていた。
「薬剤師でなくともいい。いや、薬剤師としてが一番良いけど何なら看護師でも掃除夫でもいい。ここで働かせてください」
「……どうしてそこまでこの病院にこだわるのかね?」
「ここがオレの一部で、オレの死に場所だからです」
はっきりと断言した店長は、いつものだらけてテレビの前に座っていた男ではない。
「足りないモノを求めんのは当たり前だ。奪われたモノを取り返そうとするのも当たり前だ。それはオレを構成するモンで無くてはならないモノだ。三年前よりも前までこの病院の問題はオレの問題でもあって、オレの悩みはこの病院の悩みだった」
「だが君の知るブラッドベリとは変わってしまったかも知れない」
「そんなんオレだって変わってんだから当たり前だ。ルシアナだってなんか大量発生してるけどそれも事情があるんだろ? でもそれを知ってようが知らないでいようが関係ない。オレの病院とコイツ等への信頼は揺らがない」
まっすぐな宣言に少し凄いなと感心したのは、先程レオから『信用できない』と言われたからだろうか。シルビのライブラへの信頼は既にそれなりにあるつもりだが、ライブラからシルビへの信用はきっとそこまで高くない。
単なる派遣員だからとかそういう理由ではなく、シルビ自身が良くないのだろう。
マグラ・ド・グラナは再び働かせてくれと頭を下げた店長を見つめてから、ルシアナの分裂体の一人に声を掛けた。
「確か薬剤局の人手が足りなかったね」
「――はい!」
「ではジョン君。君の都合もあるだろうが出来るだけ早く、こちらで働いてもらっていいだろうか。この病院は毎日忙しい」
院長のその言葉に顔を上げた店長が感極まった様子でお礼を言う。周りのスタッフが歓迎したり我が事のように喜んだりしているのに笑みを返し、それから店長がシルビを見た。どうやらシルビが居ることには気付いていたらしい。
「というわけでシルビ! お前クビな」
「いやちょっとぉ! 店どうするんですかアンタァ!?」
「あの店は閉める。常連は今度からこの病院の薬局に来てもらえばいいだろ」
「んな簡単に……」
「何だったらお前もここで働けばいんじゃね?」
「あら、彼って薬剤師なの?」
ルシアナが意外そうにシルビを見たのは、シルビがライブラのメンバーの一人であると知っているからだろう。
「いや、ルシアナ君。彼は『神的存在』の一端だ」
後ろで何かが落ちる音がして振り返る。持っていた携帯を落としたらしいレオがシルビを見ていた。