原作前日常編
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
シャチ視点
凄く嫌な匂いにシャチが目を覚ますと、そこは豪勢な料理が並べられていた部屋ではなく、薄暗く汚く酷い臭気のする牢屋だった。夜目の利かないシャチの眼でも辛うじて周囲が見渡せるものの、だからといってここが何処だかを理解出来るかといえば話はまた別だ。
直ぐ横では一緒に来たクルー達がシャチと同じ様に倒れていて、慌てて呼吸と心臓の動きを確認してしまう。全員ちゃんと生きている事にホッとしてから、それだけじゃ駄目だろと声を掛けて起こす。
「……ここ、何処だ?」
「分かんね」
「船長は?」
「船長……船長いねえじゃん!」
起きた途端騒がしいクルー達のその騒がしさも、この状況と船長がいないという理由からだと言うのは分かる。けれど煩い。牢屋の鉄格子は揺さぶっても壊れそうに無かった。
鉄格子の外の様子を探れば、似たような牢屋が並んでいる。その中にもシャチ達のように人が入れられていることに気付いて、声を掛けた。
「なぁ! 生きてるか!?」
「もっと違う事を聞けよ!」
生きてるか、なんて失礼だろうと怒る仲間達の言い合いを背後に、シャチは鉄格子の隙間に顔を押し込むようにして耳を澄ませる。聞こえてきた返事は女性の声だった。
クルーの一人が靴底に仕込んでいた針金で牢屋の鍵を開ける。飛び出す勢いで牢屋を出て、周りの牢屋を確かめると全部の部屋に薄汚れて弱っている人達が捕まっていた。
シャチが返事をしたであろう女性のいる牢屋へ近付けば、シャチよりも少し年下程度の少女がシャチを見る。まともな食事を摂っていないのか体力が落ちていそうだが、一応立って歩けはするだろう。
「貴方たち、海賊?」
「うん。アンタらは?」
「あの女に連れてこられたの。ここは屋敷の奥よ。地下かもしれない」
屋敷の地下と聞いてクルーの数人が何となく天井を見上げていたが、当然そこには石造りの天井しかない。
地下を逃げるのは意外と難しい。窓が無く地上への道も一本に絞られてしまうし、いつ敵がやってくるのか分からないというデメリットがある上、その敵がやってくる方向が出口なのである。
「うわっ!」
通路の奥を確認しに行っていたクルーが叫び声を上げた。思わず振り返ると通路の奥にあった扉を開けてその先の部屋を見て叫んだらしい。
他のクルーも駆け寄って小声で話してから、腰を抜かしているクルーを引き摺り戻し扉を閉めていた。
「何があったんだ?」
「……シャチは見ないほうがいい。当分肉が食えなくなる」
「赤ワインも駄目かも……」
扉の向こう側を見たと思われるクルー達の顔色が悪い。
「とりあえず脱出だ。君たちは……」
「お願い、助けて」
鉄格子の向こう側の少女が頼んでくる。少女は少し躊躇してから、意を決したようにシャチ達を見た。
「わたし、多分貴方たちが持ってた武器が捨てられた場所を知ってるわ。……教えてあげるし、取ってきてもあげるから、牢屋の鍵を開けてください」
凄く嫌な匂いにシャチが目を覚ますと、そこは豪勢な料理が並べられていた部屋ではなく、薄暗く汚く酷い臭気のする牢屋だった。夜目の利かないシャチの眼でも辛うじて周囲が見渡せるものの、だからといってここが何処だかを理解出来るかといえば話はまた別だ。
直ぐ横では一緒に来たクルー達がシャチと同じ様に倒れていて、慌てて呼吸と心臓の動きを確認してしまう。全員ちゃんと生きている事にホッとしてから、それだけじゃ駄目だろと声を掛けて起こす。
「……ここ、何処だ?」
「分かんね」
「船長は?」
「船長……船長いねえじゃん!」
起きた途端騒がしいクルー達のその騒がしさも、この状況と船長がいないという理由からだと言うのは分かる。けれど煩い。牢屋の鉄格子は揺さぶっても壊れそうに無かった。
鉄格子の外の様子を探れば、似たような牢屋が並んでいる。その中にもシャチ達のように人が入れられていることに気付いて、声を掛けた。
「なぁ! 生きてるか!?」
「もっと違う事を聞けよ!」
生きてるか、なんて失礼だろうと怒る仲間達の言い合いを背後に、シャチは鉄格子の隙間に顔を押し込むようにして耳を澄ませる。聞こえてきた返事は女性の声だった。
クルーの一人が靴底に仕込んでいた針金で牢屋の鍵を開ける。飛び出す勢いで牢屋を出て、周りの牢屋を確かめると全部の部屋に薄汚れて弱っている人達が捕まっていた。
シャチが返事をしたであろう女性のいる牢屋へ近付けば、シャチよりも少し年下程度の少女がシャチを見る。まともな食事を摂っていないのか体力が落ちていそうだが、一応立って歩けはするだろう。
「貴方たち、海賊?」
「うん。アンタらは?」
「あの女に連れてこられたの。ここは屋敷の奥よ。地下かもしれない」
屋敷の地下と聞いてクルーの数人が何となく天井を見上げていたが、当然そこには石造りの天井しかない。
地下を逃げるのは意外と難しい。窓が無く地上への道も一本に絞られてしまうし、いつ敵がやってくるのか分からないというデメリットがある上、その敵がやってくる方向が出口なのである。
「うわっ!」
通路の奥を確認しに行っていたクルーが叫び声を上げた。思わず振り返ると通路の奥にあった扉を開けてその先の部屋を見て叫んだらしい。
他のクルーも駆け寄って小声で話してから、腰を抜かしているクルーを引き摺り戻し扉を閉めていた。
「何があったんだ?」
「……シャチは見ないほうがいい。当分肉が食えなくなる」
「赤ワインも駄目かも……」
扉の向こう側を見たと思われるクルー達の顔色が悪い。
「とりあえず脱出だ。君たちは……」
「お願い、助けて」
鉄格子の向こう側の少女が頼んでくる。少女は少し躊躇してから、意を決したようにシャチ達を見た。
「わたし、多分貴方たちが持ってた武器が捨てられた場所を知ってるわ。……教えてあげるし、取ってきてもあげるから、牢屋の鍵を開けてください」