原作前日常編
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夢主視点
コニーを連れてきたのは正解だと思ったのは、領主の屋敷を囲う塀は高い上に植物が絡み付いていて全く向こう側が窺えなかったからだ。塀の上には逃亡防止の内側へ向けられた鉄柵があり、よじ登っていくのは帰りに不安が残る。正面からの突入も逃亡も出来なくは無いだろうが、予想が全て裏切られて何も無かった場合、それでは禍根を残す。
予想が裏切られている心配は無さそうだったが。
「ここに近付くと臭くて頭が痛くなるんだよね」
「ハンカチ貸してあげるから、マスク代わりに巻いてなさい」
巻いたところで酷い匂いは消えないだろうが、しないよりはマシだ。
コニーの案内で向かったのは屋敷の丁度裏手側にあたる場所の塀で、角を曲がれば裏門なのか塀が途切れている場所があり、森へ続く小道が見えた。森の先にはシルビの記憶では他の町などは無かったが、襲撃する訳でも無かったのでそこまで正確にこの島の地理について調べていない。
先導していた塀の一角でコニーがしゃがみ、生い茂る植物を掻き分ける。その先には人が一人何とか通れる程度の穴が開いていた。
「姉ちゃんたちを探しに来た時に見つけたんだ。……姉ちゃんたちは見つけられなかったけど」
子供であるコニーは簡単そうにその穴を潜っていく。シルビも地面へ手を突いてその後を付いていけば、すぐ目の前に屋敷の壁。
どうやらここは屋敷の者さえ覚えていない空間の類らしい。コニーがさっさと行ってしまうのに窮屈さへ悪態を吐きつつ追いかける。建物の角で止まったコニーはそこから塀と建物の壁を器用に足場にして上へと登っていった。
「君、木登りも好きだろぉ」
「なんで分かったの?」
馬鹿と何とかは高いところが好きと言う格言は流石に知らないらしい。それにコニーのこれは子供特有の好奇心の部類だろう。するすると器用に登っていったコニーは二階の窓枠を掴んで壁に張り付くと、今度は壁の取っ掛かりだけを頼りに三階へと昇っていく。
三階の窓枠へ到着し、そこから中の様子を探ったかと思うと慌てて首を引っ込めていた。それから戸惑うように地上のシルビを振り返り、昇ったルートを降りてくる。
「どうしたぁ?」
「どうしよう! 誰かいた!」
中途半端なところまで降りてきて小声で報告してくるコニーに、シルビは少し考えてから壁の取っ掛かりへコニーと同じ様に手を掛けた。そのままコニーとは比べ物にならない速さで壁をよじ登り、先程コニーが覗き込んだ部屋の窓枠へ手を掛ける。
数秒程屋内の気配を探って部屋の中に居る誰かが動く様子が無いのを確認し、それからナイフを抜いて手に持ってから中を覗き込めば、そこがどうやら寝室らしい事が分かった。
それから天幕の張られた寝台の上に、誰かが寝かされている事も。
コニーを連れてきたのは正解だと思ったのは、領主の屋敷を囲う塀は高い上に植物が絡み付いていて全く向こう側が窺えなかったからだ。塀の上には逃亡防止の内側へ向けられた鉄柵があり、よじ登っていくのは帰りに不安が残る。正面からの突入も逃亡も出来なくは無いだろうが、予想が全て裏切られて何も無かった場合、それでは禍根を残す。
予想が裏切られている心配は無さそうだったが。
「ここに近付くと臭くて頭が痛くなるんだよね」
「ハンカチ貸してあげるから、マスク代わりに巻いてなさい」
巻いたところで酷い匂いは消えないだろうが、しないよりはマシだ。
コニーの案内で向かったのは屋敷の丁度裏手側にあたる場所の塀で、角を曲がれば裏門なのか塀が途切れている場所があり、森へ続く小道が見えた。森の先にはシルビの記憶では他の町などは無かったが、襲撃する訳でも無かったのでそこまで正確にこの島の地理について調べていない。
先導していた塀の一角でコニーがしゃがみ、生い茂る植物を掻き分ける。その先には人が一人何とか通れる程度の穴が開いていた。
「姉ちゃんたちを探しに来た時に見つけたんだ。……姉ちゃんたちは見つけられなかったけど」
子供であるコニーは簡単そうにその穴を潜っていく。シルビも地面へ手を突いてその後を付いていけば、すぐ目の前に屋敷の壁。
どうやらここは屋敷の者さえ覚えていない空間の類らしい。コニーがさっさと行ってしまうのに窮屈さへ悪態を吐きつつ追いかける。建物の角で止まったコニーはそこから塀と建物の壁を器用に足場にして上へと登っていった。
「君、木登りも好きだろぉ」
「なんで分かったの?」
馬鹿と何とかは高いところが好きと言う格言は流石に知らないらしい。それにコニーのこれは子供特有の好奇心の部類だろう。するすると器用に登っていったコニーは二階の窓枠を掴んで壁に張り付くと、今度は壁の取っ掛かりだけを頼りに三階へと昇っていく。
三階の窓枠へ到着し、そこから中の様子を探ったかと思うと慌てて首を引っ込めていた。それから戸惑うように地上のシルビを振り返り、昇ったルートを降りてくる。
「どうしたぁ?」
「どうしよう! 誰かいた!」
中途半端なところまで降りてきて小声で報告してくるコニーに、シルビは少し考えてから壁の取っ掛かりへコニーと同じ様に手を掛けた。そのままコニーとは比べ物にならない速さで壁をよじ登り、先程コニーが覗き込んだ部屋の窓枠へ手を掛ける。
数秒程屋内の気配を探って部屋の中に居る誰かが動く様子が無いのを確認し、それからナイフを抜いて手に持ってから中を覗き込めば、そこがどうやら寝室らしい事が分かった。
それから天幕の張られた寝台の上に、誰かが寝かされている事も。