原作前日常編
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バンダナ視点
馬車から降りてきた女性はメアリーアンと名乗った。島の中でちょうどハートの海賊団が停泊した港周囲を納めている領主だという。
元々は彼女の旦那が領主だったらしいが数年前に亡くなり、妻である彼女がその後を継いで領主になったそうだ。赤い口紅の塗られた口角を上げて微笑む姿は男なら鼻の下が伸びてもおかしくはないだろう。
彼女は船長が賞金首であることを理解しつつも、海軍へ差し出すつもりは無いと言った。その代わり夕食へ招待するので島の外の話を聞かせてくれと、そう言ったのだ。
無論それは船長だけではなくクルーも連れて来ていいとの話に、船長はその場で返事を返さず、女領主もそれでも構わないと去っていく。馬車が見えなくなって、船長が歩き出すのをバンダナは無言で追いかけた。
「どう思った?」
「へ? ああ、抱くにはちょっと高級そうでしたねぇ」
下世話な返事を返せばそれで良かったのか、船長が喉で笑う。
「溜まってんのなら娼館に行け。病気は移されんなよ」
「美味い酒とつまみで充分です。……行くんですかい?」
「ああ」
いつの間にか通りに人のざわめきが復活していた。それに紛れて歩くバンダナ達は、海軍へ通報される気配さえない。
それが少し引っかかりつつも、バンダナはあの女領主の誘いへ乗るという船長を見やる。
普段であればああいった成金風の女性に靡くとは思えない。自分勝手な行動が多い人だか判断力などはあるので、ハートにとって害があると少しでも可能性があると絶対にそちらへは向かわないお人だ。
なのに今回は『行く』という。あんなに怪しいのに。
「オレは行きませんよ。夜じゃ船番がありますし、お堅い席のお食事なんて作法も分かりませんからねえ」
「そりゃ残念だな。一人じゃ寂しいだろ」
「思っても無いことを」
船へ戻れば買出しに行っていた料理番や、その手伝いで付いて行ったクルー達は既に帰ってきていて、船長が女領主の誘いの事を話すと数人が喜んで付いて行くと手を挙げ、船番で行けない奴が羨ましがっていた。
美味い酒があったらこっそり持ち帰るだの何だのと騒いでいるクルー達の中に、ペンギンの姿は無い。
「ペンギンはどうした?」
「ワカメとベポと部屋に居ますよ。呼んできましょうか?」
「いや、オレが行くからいい」
クルーに軽く手を上げて船長が食堂を出て行く。それを見送って、ペンギンを連れて行くのなら心配はあまり無いかなと思った。
「ところでバンダナ、煙草は?」
「……店に忘れたわ」
馬車から降りてきた女性はメアリーアンと名乗った。島の中でちょうどハートの海賊団が停泊した港周囲を納めている領主だという。
元々は彼女の旦那が領主だったらしいが数年前に亡くなり、妻である彼女がその後を継いで領主になったそうだ。赤い口紅の塗られた口角を上げて微笑む姿は男なら鼻の下が伸びてもおかしくはないだろう。
彼女は船長が賞金首であることを理解しつつも、海軍へ差し出すつもりは無いと言った。その代わり夕食へ招待するので島の外の話を聞かせてくれと、そう言ったのだ。
無論それは船長だけではなくクルーも連れて来ていいとの話に、船長はその場で返事を返さず、女領主もそれでも構わないと去っていく。馬車が見えなくなって、船長が歩き出すのをバンダナは無言で追いかけた。
「どう思った?」
「へ? ああ、抱くにはちょっと高級そうでしたねぇ」
下世話な返事を返せばそれで良かったのか、船長が喉で笑う。
「溜まってんのなら娼館に行け。病気は移されんなよ」
「美味い酒とつまみで充分です。……行くんですかい?」
「ああ」
いつの間にか通りに人のざわめきが復活していた。それに紛れて歩くバンダナ達は、海軍へ通報される気配さえない。
それが少し引っかかりつつも、バンダナはあの女領主の誘いへ乗るという船長を見やる。
普段であればああいった成金風の女性に靡くとは思えない。自分勝手な行動が多い人だか判断力などはあるので、ハートにとって害があると少しでも可能性があると絶対にそちらへは向かわないお人だ。
なのに今回は『行く』という。あんなに怪しいのに。
「オレは行きませんよ。夜じゃ船番がありますし、お堅い席のお食事なんて作法も分かりませんからねえ」
「そりゃ残念だな。一人じゃ寂しいだろ」
「思っても無いことを」
船へ戻れば買出しに行っていた料理番や、その手伝いで付いて行ったクルー達は既に帰ってきていて、船長が女領主の誘いの事を話すと数人が喜んで付いて行くと手を挙げ、船番で行けない奴が羨ましがっていた。
美味い酒があったらこっそり持ち帰るだの何だのと騒いでいるクルー達の中に、ペンギンの姿は無い。
「ペンギンはどうした?」
「ワカメとベポと部屋に居ますよ。呼んできましょうか?」
「いや、オレが行くからいい」
クルーに軽く手を上げて船長が食堂を出て行く。それを見送って、ペンギンを連れて行くのなら心配はあまり無いかなと思った。
「ところでバンダナ、煙草は?」
「……店に忘れたわ」