原作前日常編
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
夢主視点
血の匂いが気になるものの太陽の下で遊ぶ誘惑には勝てなかったのか、ワカメに誘われたベポが甲板でボール遊びをしている。ゴム製のそのボールなら持ったまま転んでも大して怪我はしないし、『物を持って歩く』練習になるので丁度いい。
ワカメが相手をしているにしても、いい天気なのでシルビも甲板にいることにしてタラップの見える位置で壁に寄りかかって座り雑巾を縫っていると、子供の気配が船へと近付いてくる事に気付いた。
海賊船、あるいは潜水艦に興味がある子供か。いずれにせよタラップさえ見張っておけば乗り込んでくる事も無かろう。そう判断して無視をしていると、予想に反して子供はタラップを渡ってきているようだった。
タラップの上でしゃがんで甲板の様子を探っているその子供は、シルビが見ている事に気付いてはいない。ワカメとベポがボール遊びに夢中になっているのを確認し、こそこそと身を低くして甲板へと足を踏み出す。
海賊相手に泥棒なんて度胸があるなと思って眺めていれば、船内に向かおうとした子供がシルビに気付いて固まった。どうするのかと内心面白がっていれば、子供は一直線に船内へ入る為の扉へ向かって駆け出す。
「いやいや無理しちゃ駄目だろぉ」
指を鳴らして手元に第八の炎を灯し、そこへ手を突っ込んで子供の足を掴んだ。子供が盛大に床へ顔面ダイブするのを確認して手を引っ込め立ち上がる。
転んだ音で気付いたらしいワカメとベポも子供を見ていた。
「ぅう……」
「泥棒するにはちょっと相手が悪かったかもなぁ」
「え、誰それ?」
「ワカメはもうちょっと警戒しようなぁ」
起き上がりはしたものの、盛大に打ったであろう顔を抑えて座り込む子供の傍でしゃがんで顔を覗き込めば、子供は涙目でシルビを睨んでくる。船長ではない船員相手とはいえ威勢もいいらしい。
「鼻血は出てなくて良かったなぁ」
「ぜんっぜん良くないし」
「そっか。俺としても君に船に乗り込まれるのはよろしくねぇんだよ。本当は海側へ放り捨ててもいいんだけど、まぁ、思ったより痛そうだからそれはしねぇであげよう」
「……子供好きの変たっ――」
「大事な事だからもう一度分かりやすく教えてあげよう。君の生殺与奪の権利は俺に見つかった時点で俺に与えられてる。分かったら俺の気分が変わるような発言は止めなさい」
首筋に押し当てたナイフに子供は顔を青くしてシルビを見た。ベポを抱えたワカメが苦笑しながら近付いてきたのでナイフをしまう。
「怯えてんじゃん」
「何事も最初が肝心だろぉ?」
「それにしたってさ。ベポもそう思うだろ?」
「アイ?」
血の匂いが気になるものの太陽の下で遊ぶ誘惑には勝てなかったのか、ワカメに誘われたベポが甲板でボール遊びをしている。ゴム製のそのボールなら持ったまま転んでも大して怪我はしないし、『物を持って歩く』練習になるので丁度いい。
ワカメが相手をしているにしても、いい天気なのでシルビも甲板にいることにしてタラップの見える位置で壁に寄りかかって座り雑巾を縫っていると、子供の気配が船へと近付いてくる事に気付いた。
海賊船、あるいは潜水艦に興味がある子供か。いずれにせよタラップさえ見張っておけば乗り込んでくる事も無かろう。そう判断して無視をしていると、予想に反して子供はタラップを渡ってきているようだった。
タラップの上でしゃがんで甲板の様子を探っているその子供は、シルビが見ている事に気付いてはいない。ワカメとベポがボール遊びに夢中になっているのを確認し、こそこそと身を低くして甲板へと足を踏み出す。
海賊相手に泥棒なんて度胸があるなと思って眺めていれば、船内に向かおうとした子供がシルビに気付いて固まった。どうするのかと内心面白がっていれば、子供は一直線に船内へ入る為の扉へ向かって駆け出す。
「いやいや無理しちゃ駄目だろぉ」
指を鳴らして手元に第八の炎を灯し、そこへ手を突っ込んで子供の足を掴んだ。子供が盛大に床へ顔面ダイブするのを確認して手を引っ込め立ち上がる。
転んだ音で気付いたらしいワカメとベポも子供を見ていた。
「ぅう……」
「泥棒するにはちょっと相手が悪かったかもなぁ」
「え、誰それ?」
「ワカメはもうちょっと警戒しようなぁ」
起き上がりはしたものの、盛大に打ったであろう顔を抑えて座り込む子供の傍でしゃがんで顔を覗き込めば、子供は涙目でシルビを睨んでくる。船長ではない船員相手とはいえ威勢もいいらしい。
「鼻血は出てなくて良かったなぁ」
「ぜんっぜん良くないし」
「そっか。俺としても君に船に乗り込まれるのはよろしくねぇんだよ。本当は海側へ放り捨ててもいいんだけど、まぁ、思ったより痛そうだからそれはしねぇであげよう」
「……子供好きの変たっ――」
「大事な事だからもう一度分かりやすく教えてあげよう。君の生殺与奪の権利は俺に見つかった時点で俺に与えられてる。分かったら俺の気分が変わるような発言は止めなさい」
首筋に押し当てたナイフに子供は顔を青くしてシルビを見た。ベポを抱えたワカメが苦笑しながら近付いてきたのでナイフをしまう。
「怯えてんじゃん」
「何事も最初が肝心だろぉ?」
「それにしたってさ。ベポもそう思うだろ?」
「アイ?」