原作前日常編
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残酷描写注意 夢主視点
船を寄せた島へ第一歩を踏み降ろして周囲を見回し、シルビは『寂れた島だ』と感想を持つ。何処かしっとりとした空気の匂いに、何故か錆の臭気が混じっている気がした。
偉大なる航路の途中にあるなんて事の無い島だ。観光名所が特にあるわけでもなく、ログを貯めるのに海賊が立ち寄りはするだろうが、それ以外は至って平穏そうな島である。
物資の補給にとシルビの横を料理番とその手伝いクルーが追い越していく。早い者はシルビより先に船を降りて既に町へ行っていた。シルビは先に船番なので居残りだ。
「元気だなぁ」
「久しぶりの陸だしねえ。ペンちゃんだって嬉しくはないのかい?」
「バンダナさん」
煙草を咥えたまま船を降りてきたバンダナがシルビの隣へ並ぶ。吐き出された紫煙に元から薄かった錆の臭気がかき消された。そんな、すぐに他の匂いに消されてしまう程の僅かな匂い。
それが何故かいやに気になりはしたものの、シルビは注意を促すほどではないかと判断する。もしかしたら少し前にこの島の何処かで流血沙汰があったのかもしれない。それなら直ぐに臭いは風に乗って消える筈だ。
「ふぇんー」
「ペンギン、小遣い」
「貴方それが船長としてのお言葉ですか」
船のタラップをベポと一緒に降りてきた船長の言葉に肩を落とす。未だに『ペンギン』と言う事の出来ないベポが寄って来るのに頭を撫でた。
「血の匂いがするな」
「船長も分かりましたか」
「血の匂い? しますかい?」
「バンダナは煙草吸ってるから鼻が利かねえんだろ。……結構濃いな」
船長が軽く鼻を鳴らすのにベポまで真似をして鼻を鳴らして空気の匂いを嗅ぎ、人より鋭い嗅覚の為か不快そうに顔をしかめている。直ぐに薄くなるだろうと思われた臭いはなかなか薄くなる気がしない。
だが今は昼間で血の匂いが濃いままだなんて珍しい事だ。まさか町の近くに処刑場があるのだと言う訳でも無いだろう。時々広場に処刑場を置く町もあるが、この島の港町は処刑場を町の広場に置いていなかった筈だ。
かといって騒ぎがあったという様子でもない。雰囲気はいっそ不気味なほどに落ち着いている。
「何処かで流血沙汰でもあったのかも知れません。散策するならその辺りの情報収集をお願いします」
「覚えてたらな」
そうは言っても船長はちゃんと聞いてくるだろう。命令したわけではなくお願いしたし、情報の大切さは船長も分かっている筈だ。
鼻が不快のなのかくしゃみをしたベポの頭に手を置く。
まだベポは町へ行くには早いのでシルビと一緒に留守番だ。出てきたのは船長の見送りだろうから、歩き出した船長と一緒に行くらしいバンダナを一人と一匹で見送る。
錆の匂いという名の血の臭いはまだしていた。
船を寄せた島へ第一歩を踏み降ろして周囲を見回し、シルビは『寂れた島だ』と感想を持つ。何処かしっとりとした空気の匂いに、何故か錆の臭気が混じっている気がした。
偉大なる航路の途中にあるなんて事の無い島だ。観光名所が特にあるわけでもなく、ログを貯めるのに海賊が立ち寄りはするだろうが、それ以外は至って平穏そうな島である。
物資の補給にとシルビの横を料理番とその手伝いクルーが追い越していく。早い者はシルビより先に船を降りて既に町へ行っていた。シルビは先に船番なので居残りだ。
「元気だなぁ」
「久しぶりの陸だしねえ。ペンちゃんだって嬉しくはないのかい?」
「バンダナさん」
煙草を咥えたまま船を降りてきたバンダナがシルビの隣へ並ぶ。吐き出された紫煙に元から薄かった錆の臭気がかき消された。そんな、すぐに他の匂いに消されてしまう程の僅かな匂い。
それが何故かいやに気になりはしたものの、シルビは注意を促すほどではないかと判断する。もしかしたら少し前にこの島の何処かで流血沙汰があったのかもしれない。それなら直ぐに臭いは風に乗って消える筈だ。
「ふぇんー」
「ペンギン、小遣い」
「貴方それが船長としてのお言葉ですか」
船のタラップをベポと一緒に降りてきた船長の言葉に肩を落とす。未だに『ペンギン』と言う事の出来ないベポが寄って来るのに頭を撫でた。
「血の匂いがするな」
「船長も分かりましたか」
「血の匂い? しますかい?」
「バンダナは煙草吸ってるから鼻が利かねえんだろ。……結構濃いな」
船長が軽く鼻を鳴らすのにベポまで真似をして鼻を鳴らして空気の匂いを嗅ぎ、人より鋭い嗅覚の為か不快そうに顔をしかめている。直ぐに薄くなるだろうと思われた臭いはなかなか薄くなる気がしない。
だが今は昼間で血の匂いが濃いままだなんて珍しい事だ。まさか町の近くに処刑場があるのだと言う訳でも無いだろう。時々広場に処刑場を置く町もあるが、この島の港町は処刑場を町の広場に置いていなかった筈だ。
かといって騒ぎがあったという様子でもない。雰囲気はいっそ不気味なほどに落ち着いている。
「何処かで流血沙汰でもあったのかも知れません。散策するならその辺りの情報収集をお願いします」
「覚えてたらな」
そうは言っても船長はちゃんと聞いてくるだろう。命令したわけではなくお願いしたし、情報の大切さは船長も分かっている筈だ。
鼻が不快のなのかくしゃみをしたベポの頭に手を置く。
まだベポは町へ行くには早いのでシルビと一緒に留守番だ。出てきたのは船長の見送りだろうから、歩き出した船長と一緒に行くらしいバンダナを一人と一匹で見送る。
錆の匂いという名の血の臭いはまだしていた。