原作前日常編
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夢主視点
不死鳥は空高くを飛んでいってしまって、直ぐに空の青と分からなくなって見えなくなった。たった一匹でこんな場所を飛んでいたのは何故だか知らないが、下手な人間に見つかる前に見つけて治療出来てよかったと思う。
「あ、涙貰っときゃ良かったぁ」
飛び去ってしまってから万能薬の原料にもなる涙の事を思い出したが、まぁそれを材料にした薬を作る予定も無いので構わない。欲しかったら不死鳥の生息地へ行けばいいだけだ。
シルビが覚えている生息地とは間逆の方向へ飛び去った不死鳥の余韻を追うように空を見上げていれば、さくさくと砂を踏み締める音が近付いてきて振り返る。
「シャチが昼食買ってきたから呼びに来たよ。こんな砂浜じゃなくて町の方へ行けばいいのに」
「町にも行くつもりだったんですけどねぇ。だからホラ、刺青隠してる」
右腕の刺青の上に巻いていた包帯を見せれば、煙草を咥えていたバンダナが肩を竦めた。
歩き煙草は危ないので止めて欲しいが、そんな事を言ったら喫煙自体止めて欲しいと思ってしまうので言わない。それにここはもし火事になっても町から距離があるので平気だろう。
「行くつもりだったのに行かなかったって事は、何かあったのかい?」
「……空が青いなって」
「はは、最近潜りっぱなしだったからねえ。こんなに天気がいいとオレも昼寝したくなっちまうよ」
船へ戻ろうと踵を返したバンダナの後を追いかけながらもう一度空を見上げた。
不死鳥に出会ったことは言わない方がいい。言ったところでバンダナが思い出すのは『不死鳥マルコ』だけだろうし、そしたら『白ひげが近くにいるのか』とちょっとした騒ぎになってしまいそうで嫌だ。
勘違いを訂正しても今度は『不死鳥を見てみたい』と言い出しそうな船長がいるし。機会があれば見せてもいいのだけれど解剖したいと言い出されては困る。それに生息地へ案内するまで、不死鳥達が生き残っているかどうかも。
一人で海を渡っていたのだろうあの青い不死鳥の、眠たげな眼と眼鏡の様な模様を思い出し、なかなか面白い顔をしていたなとこっそり笑う。新天地を求めていたのか帰る場所を探していた迷子か、後者なら生息地の方角を教えてやればよかった。
もしくは『不死鳥マルコ』の名前に、好奇心で会いに行ったのだろうか。
「それにしても……火に驚くなんて本当に若い不死鳥だったなぁ」
老いたら火の中へ飛び込んでいく特性をもつくせに、シルビの灯した炎に驚いていた不死鳥に首を傾げる。本当に、まだ若い不死鳥だったのだろう。
出来る事なら長生きをして欲しいものだと思った。
不死鳥は空高くを飛んでいってしまって、直ぐに空の青と分からなくなって見えなくなった。たった一匹でこんな場所を飛んでいたのは何故だか知らないが、下手な人間に見つかる前に見つけて治療出来てよかったと思う。
「あ、涙貰っときゃ良かったぁ」
飛び去ってしまってから万能薬の原料にもなる涙の事を思い出したが、まぁそれを材料にした薬を作る予定も無いので構わない。欲しかったら不死鳥の生息地へ行けばいいだけだ。
シルビが覚えている生息地とは間逆の方向へ飛び去った不死鳥の余韻を追うように空を見上げていれば、さくさくと砂を踏み締める音が近付いてきて振り返る。
「シャチが昼食買ってきたから呼びに来たよ。こんな砂浜じゃなくて町の方へ行けばいいのに」
「町にも行くつもりだったんですけどねぇ。だからホラ、刺青隠してる」
右腕の刺青の上に巻いていた包帯を見せれば、煙草を咥えていたバンダナが肩を竦めた。
歩き煙草は危ないので止めて欲しいが、そんな事を言ったら喫煙自体止めて欲しいと思ってしまうので言わない。それにここはもし火事になっても町から距離があるので平気だろう。
「行くつもりだったのに行かなかったって事は、何かあったのかい?」
「……空が青いなって」
「はは、最近潜りっぱなしだったからねえ。こんなに天気がいいとオレも昼寝したくなっちまうよ」
船へ戻ろうと踵を返したバンダナの後を追いかけながらもう一度空を見上げた。
不死鳥に出会ったことは言わない方がいい。言ったところでバンダナが思い出すのは『不死鳥マルコ』だけだろうし、そしたら『白ひげが近くにいるのか』とちょっとした騒ぎになってしまいそうで嫌だ。
勘違いを訂正しても今度は『不死鳥を見てみたい』と言い出しそうな船長がいるし。機会があれば見せてもいいのだけれど解剖したいと言い出されては困る。それに生息地へ案内するまで、不死鳥達が生き残っているかどうかも。
一人で海を渡っていたのだろうあの青い不死鳥の、眠たげな眼と眼鏡の様な模様を思い出し、なかなか面白い顔をしていたなとこっそり笑う。新天地を求めていたのか帰る場所を探していた迷子か、後者なら生息地の方角を教えてやればよかった。
もしくは『不死鳥マルコ』の名前に、好奇心で会いに行ったのだろうか。
「それにしても……火に驚くなんて本当に若い不死鳥だったなぁ」
老いたら火の中へ飛び込んでいく特性をもつくせに、シルビの灯した炎に驚いていた不死鳥に首を傾げる。本当に、まだ若い不死鳥だったのだろう。
出来る事なら長生きをして欲しいものだと思った。