原作前日常編
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夢主視点
「海図は読めるんだよな?」
「はい。宙図……じゃねぇ。海図は読めますよ。でなけりゃ一人で海を渡るのも面倒臭せぇですから」
現在進んでいる海域の海図を渡せば当たり前のことを、とばかりに肯定された。ここまで来ると出来ない事を尋ねる方が早そうだと思えたのはバンダナだけか。
食べ終えたチャーハンの皿やフライパンを洗うシルビは、背後で悩んでいる船長とバンダナを楽しげに肩越しに振り返った。バンダナと目が合うと微笑む。
女顔で体格も細くて、性別以外はある意味立派な世間の奥さんだが、それを言ったら怒られる気がするので黙っておく。多分今後も絶対言わない。
バンダナは生憎一人旅というものをしたことがないので分からないが、自分しか居ないのなら確かに何でも自分で出来るようになっていると楽なのだろう。まだ若いのにそこまでして一人旅というのも酔狂な話だが。
「もう雑用でよくないか?」
「船長がそれでいいならオレは構いませんよ」
「専門職が一人しかいねぇこの船で、雑用以前にもっと色々必要じゃねぇんですかぁ?」
「だったらもう少し専門性を持て!」
「生憎器用貧乏なものでぇ」
絶対『器用貧乏』ではない。
「つか、バンダナさんもいるし、自分から言うのもどうかと思って黙ってましたけど、『副船長』じゃ駄目なんですかぁ?」
食器を洗い終えてご丁寧にお茶を淹れてまでくれたシルビが首を傾げる。それを見て思わずバンダナが船長を見れば、船長も同じ様にバンダナを見ていた。
二人してどうしてそれを思いつかなかったのか。
『副船長』は船長の次に偉い代わりに、航海へ携わる様々な仕事について知っていたほうがいいという面倒臭さがある。二番目の責任者としてやる仕事となると少ないが、これから船員が増えた時にその船員の仕事を把握できていなければ困るのだ。
船長がその船の大黒柱になるのなら、副船長はその支えだろう。
「これからよろしく頼む。『副船長』」
改めて船長がシルビを『任命』する。シルビは持っていたカップを置いて微笑んだ。
「『副船長』になるのは初めてですねぇ」
「のは、って事は他にはなったことがあんのかい?」
「えーと……色々やってますよ。『一人旅』も長げぇですからねぇ」
そう言って自分の役割が決まったからか嬉しそうにしているシルビに、一体何をしてきたのだろうかと不思議に思った。薬師だけじゃないのか。
「あ、でも料理番乗せるまでは俺が食事作りますからぁ」
「……もしかして、今までの食事不満だった?」
「不満じゃねぇですけど、二人とも野菜が足りねぇんですよ。ビタミン摂りましょうビタミン!」
「海図は読めるんだよな?」
「はい。宙図……じゃねぇ。海図は読めますよ。でなけりゃ一人で海を渡るのも面倒臭せぇですから」
現在進んでいる海域の海図を渡せば当たり前のことを、とばかりに肯定された。ここまで来ると出来ない事を尋ねる方が早そうだと思えたのはバンダナだけか。
食べ終えたチャーハンの皿やフライパンを洗うシルビは、背後で悩んでいる船長とバンダナを楽しげに肩越しに振り返った。バンダナと目が合うと微笑む。
女顔で体格も細くて、性別以外はある意味立派な世間の奥さんだが、それを言ったら怒られる気がするので黙っておく。多分今後も絶対言わない。
バンダナは生憎一人旅というものをしたことがないので分からないが、自分しか居ないのなら確かに何でも自分で出来るようになっていると楽なのだろう。まだ若いのにそこまでして一人旅というのも酔狂な話だが。
「もう雑用でよくないか?」
「船長がそれでいいならオレは構いませんよ」
「専門職が一人しかいねぇこの船で、雑用以前にもっと色々必要じゃねぇんですかぁ?」
「だったらもう少し専門性を持て!」
「生憎器用貧乏なものでぇ」
絶対『器用貧乏』ではない。
「つか、バンダナさんもいるし、自分から言うのもどうかと思って黙ってましたけど、『副船長』じゃ駄目なんですかぁ?」
食器を洗い終えてご丁寧にお茶を淹れてまでくれたシルビが首を傾げる。それを見て思わずバンダナが船長を見れば、船長も同じ様にバンダナを見ていた。
二人してどうしてそれを思いつかなかったのか。
『副船長』は船長の次に偉い代わりに、航海へ携わる様々な仕事について知っていたほうがいいという面倒臭さがある。二番目の責任者としてやる仕事となると少ないが、これから船員が増えた時にその船員の仕事を把握できていなければ困るのだ。
船長がその船の大黒柱になるのなら、副船長はその支えだろう。
「これからよろしく頼む。『副船長』」
改めて船長がシルビを『任命』する。シルビは持っていたカップを置いて微笑んだ。
「『副船長』になるのは初めてですねぇ」
「のは、って事は他にはなったことがあんのかい?」
「えーと……色々やってますよ。『一人旅』も長げぇですからねぇ」
そう言って自分の役割が決まったからか嬉しそうにしているシルビに、一体何をしてきたのだろうかと不思議に思った。薬師だけじゃないのか。
「あ、でも料理番乗せるまでは俺が食事作りますからぁ」
「……もしかして、今までの食事不満だった?」
「不満じゃねぇですけど、二人とも野菜が足りねぇんですよ。ビタミン摂りましょうビタミン!」