原作前日常編
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マルコ視点
この男は自身を『何』だと言いたいのか分からず首を傾げれば呆れられた。一言も喋っていないせいか野生の不死鳥(そんなものがいるとすれば)と思い込んでいるようなので、それを利用させてもらう。
もし今自分が抱いている不死鳥が『不死鳥マルコ』だと知れば、治療など止めて海軍の元へ連れて行かれる可能性だってあるからだ。不死鳥に優しいからとはいえ海賊に優しいかはまた別の話である。
男が再び指を鳴らして炎を灯すのに、今度は暴れずに炎を見た。マルコとは違う赤いそれは末弟のエースとも違う色合いをしている。
「最近はちゃんとした医療しかしてなかったけど、やっぱりこっちの方が楽だなぁ。薬を煎じるのも結構楽しいけど、船の中じゃ揺れるし長時間煮込むのとか難しいもんなぁ」
マルコへ話しかけるでもなく喋る男の言葉に、彼が普段は船へ乗っているのだと推測した。それから薬を扱う仕事をしているのだとも。
男の手に灯された炎が弾のめり込んでいる部位に触れる。ぞわぞわとした違和感は最初だけで、すぐに異物感も再生を繰り返している感覚も消えうせた。
「海楼石の銃弾……『不死鳥マルコ』と間違えられたのかもなぁ。彼も青い炎だと聞いたことがある」
正しく自分だ、と言う事は出来ずに傷口から男へ視線を向けるとやはり微笑まれる。
「俺は『不死鳥マルコ』は見たこと無ぇけど、『先代の不死鳥』は見たことがあるんだぁ。彼は君よりもう少し濃い青色だったんだぜぇ。雲一つ無ぇ空を飛んでると、海の青と同化しそうな綺麗な青色」
空を見上げ手を伸ばす男の言っていることが分からない。この男はマルコより若そうなのに、もう数十年はマルコの能力である悪魔の実を、マルコの前に食べた男を知っているらしかった。
「でもお前は空に溶け込みそうな青色だなぁ。それはそれで綺麗だと思うよ」
視線をマルコへ戻して背中を撫でる男の手付きに目を細めてから、マルコは羽を広げて男の膝から砂浜へと降りる。振り返れば男はマルコを見下ろしていた。
「もう行くのかぁ?」
男の言葉に頷きを返す。男は笑ってマルコの前にしゃがんでもう一度マルコの頭を撫でた。その右腕に包帯を巻いていたことに今更ながら気付いて、喋って問い掛ける代わりにくちばしの先で突けばくちばしを掴まれる。
「これは怪我じゃねぇからいいんだよ。ほら、今度は撃たれねぇようになぁ」
羽を広げて羽ばたいて、空に舞い上がれば地上で男が見上げていた。礼の一つも言えなかったなと代わりに男の頭上を二回ほど旋回してから、白ひげの船であるモビーディック号がある方向へ向かう。
空に溶け込むような青。そう言われたのは初めてだった。
この男は自身を『何』だと言いたいのか分からず首を傾げれば呆れられた。一言も喋っていないせいか野生の不死鳥(そんなものがいるとすれば)と思い込んでいるようなので、それを利用させてもらう。
もし今自分が抱いている不死鳥が『不死鳥マルコ』だと知れば、治療など止めて海軍の元へ連れて行かれる可能性だってあるからだ。不死鳥に優しいからとはいえ海賊に優しいかはまた別の話である。
男が再び指を鳴らして炎を灯すのに、今度は暴れずに炎を見た。マルコとは違う赤いそれは末弟のエースとも違う色合いをしている。
「最近はちゃんとした医療しかしてなかったけど、やっぱりこっちの方が楽だなぁ。薬を煎じるのも結構楽しいけど、船の中じゃ揺れるし長時間煮込むのとか難しいもんなぁ」
マルコへ話しかけるでもなく喋る男の言葉に、彼が普段は船へ乗っているのだと推測した。それから薬を扱う仕事をしているのだとも。
男の手に灯された炎が弾のめり込んでいる部位に触れる。ぞわぞわとした違和感は最初だけで、すぐに異物感も再生を繰り返している感覚も消えうせた。
「海楼石の銃弾……『不死鳥マルコ』と間違えられたのかもなぁ。彼も青い炎だと聞いたことがある」
正しく自分だ、と言う事は出来ずに傷口から男へ視線を向けるとやはり微笑まれる。
「俺は『不死鳥マルコ』は見たこと無ぇけど、『先代の不死鳥』は見たことがあるんだぁ。彼は君よりもう少し濃い青色だったんだぜぇ。雲一つ無ぇ空を飛んでると、海の青と同化しそうな綺麗な青色」
空を見上げ手を伸ばす男の言っていることが分からない。この男はマルコより若そうなのに、もう数十年はマルコの能力である悪魔の実を、マルコの前に食べた男を知っているらしかった。
「でもお前は空に溶け込みそうな青色だなぁ。それはそれで綺麗だと思うよ」
視線をマルコへ戻して背中を撫でる男の手付きに目を細めてから、マルコは羽を広げて男の膝から砂浜へと降りる。振り返れば男はマルコを見下ろしていた。
「もう行くのかぁ?」
男の言葉に頷きを返す。男は笑ってマルコの前にしゃがんでもう一度マルコの頭を撫でた。その右腕に包帯を巻いていたことに今更ながら気付いて、喋って問い掛ける代わりにくちばしの先で突けばくちばしを掴まれる。
「これは怪我じゃねぇからいいんだよ。ほら、今度は撃たれねぇようになぁ」
羽を広げて羽ばたいて、空に舞い上がれば地上で男が見上げていた。礼の一つも言えなかったなと代わりに男の頭上を二回ほど旋回してから、白ひげの船であるモビーディック号がある方向へ向かう。
空に溶け込むような青。そう言われたのは初めてだった。