原作前日常編
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ワカメ視点
「いらっしゃいませ」
カップの売っている雑貨屋の扉を開けると、店員がにこやかに挨拶をして、それからベポを見て目を見開いた。普通にしてシロクマを連れて来る客なんて初めてだろう。
だが店員はその動揺を一瞬で内側に押し隠し、平然と足にベポをしがみ付かせているワカメの元へ近付いてきた。それなりに広い店内をベポは怯えながらも見回している。
「えっと、カップを探しているんですけど……」
「カップでしたらあちらの棚です。日用品ですか? それとも贈り物で?」
「に……いや、贈り物で!」
ワカメの言葉に店員が微笑んだ。シロクマを連れて来た謎の客に対しても華麗に接客する辺り、この店員はできる。
そう確信して先導する店員の後を付いていけば、ベポも足にしがみ付いたまま付いてきた。下手に離れて他の商品を壊すとかはぐれてしまうよりはいいが、少し重い。
多彩なカップの並ぶ棚の前で店員が振り返る。見張っているつもりなのかその場を離れずにこやかに微笑んでいた。なのでワカメもそのままベポを抱え上げる。
「ほらベポ。どれがいいか選べ」
「んー」
いっぱしに悩んでみせるが分かっているのかいないのか。勝手に手を伸ばしては駄目だと店へ入る前に言い含めてあるので、ワカメにしがみ付いたまま手を伸ばそうとはしない。
それを見つめていた店員は、何を思ったのか見張りを止めて店の奥へと行ってしまった。正直見られていても困っていたのでそれはありがたいが、相談に乗ってくれるとかはしても良かったと思う。
「これ?」
「……ベポ、それは止めよう。なんか嫌な予感がする」
ベポが選んだフラミンゴが側面全体に並んでいるカップを棚に戻す。
「いいか? 船長が喜んで使ってくれそうなカップだぞ? 喜んで割りそうなカップじゃないからな?」
「アイ」
「それもダメだ。子供用だし、そもそも両側に取っ手とか船長が持つんじゃ変だって」
「ウー」
「……まぁ、セーフかな」
三つ目に選ばれたのは割れた氷河の上でシロクマが座って釣りをしているイラストが描かれていた。一つ目二つ目に比べれば無難といえば無難な代物である。
それをベポから受け取って会計へ向かえば、先程の店員が箱やリボンを用意して待っていた。ベポを降ろして預かってきた金を出していると、レジ台に手を掛けて背伸びしているベポへ向けて店員が話しかける。
「お客様、どれがよろしいですか?」
「……これ?」
わざわざベポに話しかけてリボンの色を選ばせるところといい、この店員、本気で店員の鑑だ。
「いらっしゃいませ」
カップの売っている雑貨屋の扉を開けると、店員がにこやかに挨拶をして、それからベポを見て目を見開いた。普通にしてシロクマを連れて来る客なんて初めてだろう。
だが店員はその動揺を一瞬で内側に押し隠し、平然と足にベポをしがみ付かせているワカメの元へ近付いてきた。それなりに広い店内をベポは怯えながらも見回している。
「えっと、カップを探しているんですけど……」
「カップでしたらあちらの棚です。日用品ですか? それとも贈り物で?」
「に……いや、贈り物で!」
ワカメの言葉に店員が微笑んだ。シロクマを連れて来た謎の客に対しても華麗に接客する辺り、この店員はできる。
そう確信して先導する店員の後を付いていけば、ベポも足にしがみ付いたまま付いてきた。下手に離れて他の商品を壊すとかはぐれてしまうよりはいいが、少し重い。
多彩なカップの並ぶ棚の前で店員が振り返る。見張っているつもりなのかその場を離れずにこやかに微笑んでいた。なのでワカメもそのままベポを抱え上げる。
「ほらベポ。どれがいいか選べ」
「んー」
いっぱしに悩んでみせるが分かっているのかいないのか。勝手に手を伸ばしては駄目だと店へ入る前に言い含めてあるので、ワカメにしがみ付いたまま手を伸ばそうとはしない。
それを見つめていた店員は、何を思ったのか見張りを止めて店の奥へと行ってしまった。正直見られていても困っていたのでそれはありがたいが、相談に乗ってくれるとかはしても良かったと思う。
「これ?」
「……ベポ、それは止めよう。なんか嫌な予感がする」
ベポが選んだフラミンゴが側面全体に並んでいるカップを棚に戻す。
「いいか? 船長が喜んで使ってくれそうなカップだぞ? 喜んで割りそうなカップじゃないからな?」
「アイ」
「それもダメだ。子供用だし、そもそも両側に取っ手とか船長が持つんじゃ変だって」
「ウー」
「……まぁ、セーフかな」
三つ目に選ばれたのは割れた氷河の上でシロクマが座って釣りをしているイラストが描かれていた。一つ目二つ目に比べれば無難といえば無難な代物である。
それをベポから受け取って会計へ向かえば、先程の店員が箱やリボンを用意して待っていた。ベポを降ろして預かってきた金を出していると、レジ台に手を掛けて背伸びしているベポへ向けて店員が話しかける。
「お客様、どれがよろしいですか?」
「……これ?」
わざわざベポに話しかけてリボンの色を選ばせるところといい、この店員、本気で店員の鑑だ。