原作前日常編
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クルー視点
当然だが無理だった。
「……まぁそう簡単に同じカップが見つかるわけ無いわな」
こっそり船を降りて雑貨屋へ探しに走ったものの、違う島で買ったものだし量販品でもなかったのか同じデザインどころか同じメーカーのものさえ無かったのである。
仕方無しにせめて継ぎ接ぎが出来ないかと試してみたが、どう見ても不恰好だしこれでバレない訳が無い。
ではどうしようかとクルーが顔を見合わせて唸っている間も、ベポがイルカの膝の上で酷く落ち込んでいる。せめてその落ち込み様だけでも何とかした方がいいだろう。
カップを落として割ってしまったのは確かに悪いが、それでも片付けを手伝ってくれようという善意の行動からだったし、片付けていかなかった船長だってきっと少し悪いところがある。与り知らぬところで責任を擦り付けられている船長はさておき、再びさてどうするかという相談だ。
「素直に謝るのは当然として、カップの代わりが必要だよな」
「似たようなヤツじゃ駄目かな」
「駄目だろうねぇ。結構こだわりがあるお人だよ?」
「うーん……あ、じゃあさ、ベポに代わりのカップ選んでもらえばいんじゃね?」
「つまり?」
「『ベポが選んだ』のなら趣味じゃなくても怒れなさそう」
割ってしまったのはベポだし、そのベポが選んだのものなら船長も流石に下手に怒ることは出来まい。少なくともベポが叱られて今以上にへこむ事は回避できそうである。
良い案だと思うが問題が一つ。
「ベポ、船から降ろしていいの?」
全員の視線がイルカの膝の上のベポへ向けられた。ベポはこの船へ乗せられて以来、まだ一度も船から降りた事が無い。
過保護と言う訳ではなくまだ歩くのが不完全だからだったが、ペンギンが『そろそろ地上を歩かせた方が良い』と言っていたのを、バンダナは知っている。
ベポから互いの顔へ視線を移し、目を見合わせてバンダナ達は殆ど同時に頷いた。船長とペンギンが帰ってくるまでの時間があとどれくらいあるのかも分からないので、実行に移すには早い方が良い。
「ベポ、船長の新しいカップ買いに行こうか」
「……かっふ」
まだ濁音半濁音が上手く言えないのはご愛嬌だ。そのせいでバンダナやペンギンのような、名前に濁音半濁音がある者はちゃんと名前を呼ばれた覚えが無い。
「そうカップ。それで船長にゴメンナサイして許してもらうの。分かるか?」
「かっふ、かう!」
挽回のチャンスだと理解しているのかいないのか。ともあれやる気を出したベポにクルーたちもとりあえずは安堵した。
当然だが無理だった。
「……まぁそう簡単に同じカップが見つかるわけ無いわな」
こっそり船を降りて雑貨屋へ探しに走ったものの、違う島で買ったものだし量販品でもなかったのか同じデザインどころか同じメーカーのものさえ無かったのである。
仕方無しにせめて継ぎ接ぎが出来ないかと試してみたが、どう見ても不恰好だしこれでバレない訳が無い。
ではどうしようかとクルーが顔を見合わせて唸っている間も、ベポがイルカの膝の上で酷く落ち込んでいる。せめてその落ち込み様だけでも何とかした方がいいだろう。
カップを落として割ってしまったのは確かに悪いが、それでも片付けを手伝ってくれようという善意の行動からだったし、片付けていかなかった船長だってきっと少し悪いところがある。与り知らぬところで責任を擦り付けられている船長はさておき、再びさてどうするかという相談だ。
「素直に謝るのは当然として、カップの代わりが必要だよな」
「似たようなヤツじゃ駄目かな」
「駄目だろうねぇ。結構こだわりがあるお人だよ?」
「うーん……あ、じゃあさ、ベポに代わりのカップ選んでもらえばいんじゃね?」
「つまり?」
「『ベポが選んだ』のなら趣味じゃなくても怒れなさそう」
割ってしまったのはベポだし、そのベポが選んだのものなら船長も流石に下手に怒ることは出来まい。少なくともベポが叱られて今以上にへこむ事は回避できそうである。
良い案だと思うが問題が一つ。
「ベポ、船から降ろしていいの?」
全員の視線がイルカの膝の上のベポへ向けられた。ベポはこの船へ乗せられて以来、まだ一度も船から降りた事が無い。
過保護と言う訳ではなくまだ歩くのが不完全だからだったが、ペンギンが『そろそろ地上を歩かせた方が良い』と言っていたのを、バンダナは知っている。
ベポから互いの顔へ視線を移し、目を見合わせてバンダナ達は殆ど同時に頷いた。船長とペンギンが帰ってくるまでの時間があとどれくらいあるのかも分からないので、実行に移すには早い方が良い。
「ベポ、船長の新しいカップ買いに行こうか」
「……かっふ」
まだ濁音半濁音が上手く言えないのはご愛嬌だ。そのせいでバンダナやペンギンのような、名前に濁音半濁音がある者はちゃんと名前を呼ばれた覚えが無い。
「そうカップ。それで船長にゴメンナサイして許してもらうの。分かるか?」
「かっふ、かう!」
挽回のチャンスだと理解しているのかいないのか。ともあれやる気を出したベポにクルーたちもとりあえずは安堵した。