原作前日常編
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バンダナ視点
不機嫌も露わに仁王立ちをしているペンギンの前には、神妙な様子で正座している船長。
他の海賊船ではどうなのかなんて分かりもしないが、ハートの海賊団ではさほど珍しい光景ではないそれに、バンダナは煙草に火を点けようとして近くにベポがいる事に気付いて咥えた煙草を箱に戻した。
船長を筆頭に、ハートの海賊団は医者の集まりでもある。医者となると日々患者を治す為に医療知識を欲する者が多く、ハートのクルーもそれは間違いなかった。
停泊する島に本屋があれば医学書はないかと探しに行き、その島に伝わる民間療法があると聞けば詳しく調べに行く。珍しい薬草の原料ともなればこぞって収穫に行くのもよくあることだ。
そんな知識を貪欲に貪る者達の頂点も当然、日々進歩を続ける医学の最先端に興味が無い訳が無く、目新しい医学書を見つけると直ぐに買ってしまう。ハートの帳簿は副船長であるペンギンが握っており、そういう医者の性を考慮して『医学書代』というのがそれぞれに支給される小遣いとは別に用意されているのだが、時々船長はその予算をオーバーして医学書を買ってしまうのだ。
それが小遣いも使って払えるものであるならペンギンも文句は言わないが、船長は小遣いさえオーバーして買ってしまうのである。
「……トラファルガー」
ペンギンが苗字で船長を呼んだ。苗字で呼ぶ時は真剣だという事が今までの付き合いで分かっているので、船長も下手に抵抗はしない。
「俺言いましたよねぇ? 『買ってもいいが予算内に留めろ』ってぇ。それがなんで二百万ベリーも超過してんのか、是非とも教えていただきてぇ所なんですが」
「……その、珍しい症例が載ってる本が」
「それは前にも聞きました。別にいいんですよ本を買うぐらい。でも予算内に抑えきれねぇ買物する時は相談の一つでも買う前にしてくれりゃ、こっちも考えますって言った覚えもあるんですがねぇ」
確かに前にもこんな光景を目の辺りにした時、ペンギンは言っていた気がする。深く溜息を吐いたペンギンに船長は返す言葉が見つからないのか、ただただ俯いていた。
言い返せば言い返すだけ叱られるという事は勉強したらしい。
さて今回はどうするのかと他人事の様にバンダナが見物していると、イルカが紙の束を持ってペンギンの元へと駆けていく。どうやらペンギンに持って来る様に頼まれたらしい。
イルカからその紙の束を受け取ったペンギンは、一枚一枚捲りながら何かを確認していき、束の中から二枚ほど抜き出して船長の前にしゃがむ。
「これは次の島でいるだろう賞金首の手配書です。どちらか一人でも捕まえて、超過で不足した分を補ってください」
「……出稼ぎかよ」
「嫌なら貴方の買った本を売り飛ばすだけです」
どうします? と言われて、船長は苦虫を噛み潰しながらペンギンの手から手配書を奪った。
不機嫌も露わに仁王立ちをしているペンギンの前には、神妙な様子で正座している船長。
他の海賊船ではどうなのかなんて分かりもしないが、ハートの海賊団ではさほど珍しい光景ではないそれに、バンダナは煙草に火を点けようとして近くにベポがいる事に気付いて咥えた煙草を箱に戻した。
船長を筆頭に、ハートの海賊団は医者の集まりでもある。医者となると日々患者を治す為に医療知識を欲する者が多く、ハートのクルーもそれは間違いなかった。
停泊する島に本屋があれば医学書はないかと探しに行き、その島に伝わる民間療法があると聞けば詳しく調べに行く。珍しい薬草の原料ともなればこぞって収穫に行くのもよくあることだ。
そんな知識を貪欲に貪る者達の頂点も当然、日々進歩を続ける医学の最先端に興味が無い訳が無く、目新しい医学書を見つけると直ぐに買ってしまう。ハートの帳簿は副船長であるペンギンが握っており、そういう医者の性を考慮して『医学書代』というのがそれぞれに支給される小遣いとは別に用意されているのだが、時々船長はその予算をオーバーして医学書を買ってしまうのだ。
それが小遣いも使って払えるものであるならペンギンも文句は言わないが、船長は小遣いさえオーバーして買ってしまうのである。
「……トラファルガー」
ペンギンが苗字で船長を呼んだ。苗字で呼ぶ時は真剣だという事が今までの付き合いで分かっているので、船長も下手に抵抗はしない。
「俺言いましたよねぇ? 『買ってもいいが予算内に留めろ』ってぇ。それがなんで二百万ベリーも超過してんのか、是非とも教えていただきてぇ所なんですが」
「……その、珍しい症例が載ってる本が」
「それは前にも聞きました。別にいいんですよ本を買うぐらい。でも予算内に抑えきれねぇ買物する時は相談の一つでも買う前にしてくれりゃ、こっちも考えますって言った覚えもあるんですがねぇ」
確かに前にもこんな光景を目の辺りにした時、ペンギンは言っていた気がする。深く溜息を吐いたペンギンに船長は返す言葉が見つからないのか、ただただ俯いていた。
言い返せば言い返すだけ叱られるという事は勉強したらしい。
さて今回はどうするのかと他人事の様にバンダナが見物していると、イルカが紙の束を持ってペンギンの元へと駆けていく。どうやらペンギンに持って来る様に頼まれたらしい。
イルカからその紙の束を受け取ったペンギンは、一枚一枚捲りながら何かを確認していき、束の中から二枚ほど抜き出して船長の前にしゃがむ。
「これは次の島でいるだろう賞金首の手配書です。どちらか一人でも捕まえて、超過で不足した分を補ってください」
「……出稼ぎかよ」
「嫌なら貴方の買った本を売り飛ばすだけです」
どうします? と言われて、船長は苦虫を噛み潰しながらペンギンの手から手配書を奪った。