原作前日常編
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夢主視点
次の島は近く大体四日ぐらいで着いてしまうので、前の島でちゃんと備蓄の補充を行なった船であればあまりその島へ寄る船は無い。ハートの潜水艦も当初の予定ではその島をスルーしていくつもりだったのだが、予定外の乗客の為に変更になった。
そしてその『乗客』は、日を追う毎にあからさまな『こんな筈じゃなかった』という失意と慣れない仕事への疲れからか、サボったり途中で止めてしまったりし始めていた。
殆どの仕事はメインの専門の知識を持つ当番がいて、その雑用というものだったので男がいないと酷く困るということは無いものの、その分だけ振り分けられる仕事が増えるというのも確かで支障が出てくる。それに最初から好意的ではないクルー達が『やはりコイツは駄目だ』とレッテルを貼っていくので、男が更に苛々して仕事をやらなくなるという悪循環。
シルビが見ていられなくて男が放棄した仕事を片付け始めたのが三日目。つまり明日には男を降ろすか降ろさないかの最終決定が為される。
夕食後の眠気を訴えるベポを部屋へ連れて行って寝かせ、今夜は夜番なのでと寒さ対策の外套を持ってシルビが通路を歩いていると、前方から男がやって来た。
酷く苛々としているのか爪を噛んで何かを呟いている。その目の下には船長ほどでは無いものの隈が浮かんでおり、髪の質も悪くなっているように思えた。船乗りなら潮風にやられて髪質が悪くなるのは致し方ないことだが、それにしたって悪くなり過ぎな様子にストレスによるものかと判断する。
何か声を掛けたほうがいいのだろうかと思っていると、男がシルビに気付いて顔を上げ、親の仇だとばかりに睨んできた。
「お、お前が、お前が……」
シルビは何もしていない。
「お前が、こんな、おれはこんなつまんないものは望んじゃいなかった!」
だろうな、と思いつつシルビは黙っておく。
「おれが望んだのはもっと刺激的で! こんな下っ端みたいなことしないで有名な海賊になって! 屑共を見返して――」
「君にはそんな実力があるのかぁ?」
「ぁ、あるに決まってんだろ! おれを誰だと思ってる! 今に、今に」
「でも君には、自力で海に出る度量は無かったんだなぁ」
そう言った途端男はポカンとした顔をしてシルビを凝視した。これ以上話をするのも面倒になって、そのまま男の横をすり抜けて甲板へ向かう。
簡単にではあるが男の持つコンプレックスは把握出来た。だからなんだという話ではあるが、それを知っているだけでも見識の狭い相手は操りやすい。
船長にも言ったが男は『嫌いなタイプ』だ。
次の島は近く大体四日ぐらいで着いてしまうので、前の島でちゃんと備蓄の補充を行なった船であればあまりその島へ寄る船は無い。ハートの潜水艦も当初の予定ではその島をスルーしていくつもりだったのだが、予定外の乗客の為に変更になった。
そしてその『乗客』は、日を追う毎にあからさまな『こんな筈じゃなかった』という失意と慣れない仕事への疲れからか、サボったり途中で止めてしまったりし始めていた。
殆どの仕事はメインの専門の知識を持つ当番がいて、その雑用というものだったので男がいないと酷く困るということは無いものの、その分だけ振り分けられる仕事が増えるというのも確かで支障が出てくる。それに最初から好意的ではないクルー達が『やはりコイツは駄目だ』とレッテルを貼っていくので、男が更に苛々して仕事をやらなくなるという悪循環。
シルビが見ていられなくて男が放棄した仕事を片付け始めたのが三日目。つまり明日には男を降ろすか降ろさないかの最終決定が為される。
夕食後の眠気を訴えるベポを部屋へ連れて行って寝かせ、今夜は夜番なのでと寒さ対策の外套を持ってシルビが通路を歩いていると、前方から男がやって来た。
酷く苛々としているのか爪を噛んで何かを呟いている。その目の下には船長ほどでは無いものの隈が浮かんでおり、髪の質も悪くなっているように思えた。船乗りなら潮風にやられて髪質が悪くなるのは致し方ないことだが、それにしたって悪くなり過ぎな様子にストレスによるものかと判断する。
何か声を掛けたほうがいいのだろうかと思っていると、男がシルビに気付いて顔を上げ、親の仇だとばかりに睨んできた。
「お、お前が、お前が……」
シルビは何もしていない。
「お前が、こんな、おれはこんなつまんないものは望んじゃいなかった!」
だろうな、と思いつつシルビは黙っておく。
「おれが望んだのはもっと刺激的で! こんな下っ端みたいなことしないで有名な海賊になって! 屑共を見返して――」
「君にはそんな実力があるのかぁ?」
「ぁ、あるに決まってんだろ! おれを誰だと思ってる! 今に、今に」
「でも君には、自力で海に出る度量は無かったんだなぁ」
そう言った途端男はポカンとした顔をしてシルビを凝視した。これ以上話をするのも面倒になって、そのまま男の横をすり抜けて甲板へ向かう。
簡単にではあるが男の持つコンプレックスは把握出来た。だからなんだという話ではあるが、それを知っているだけでも見識の狭い相手は操りやすい。
船長にも言ったが男は『嫌いなタイプ』だ。