原作前日常編
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ロー視点
備蓄の補充に寄った島を出向して直ぐ、船に不審者が乗っていたとクルーによって連れてこられた男は、ローを見て第一声で『クルーにしてください!』と叫んだ。
「オレは医師免許を持ってる奴しか乗せねえ」
「い、医師免許は持ってないですけど、薬剤師の資格は持ってます! おれもアンタみたいに海賊になりたいんです!」
必死な様子で懇願してくる男には悪いが、この船には『薬剤師』が既にいる。その当の本人は男の懇願を聞いても他人事の様にベポを抱いて海を眺めていたが。
いつもであれば副船長としてローの相談相手になり意見を言ってくるものだが、今回はその様子すらない。という事はこの男は完全に『どうでもいい奴』なのだろうと、こっそりペンギンの態度を判断基準の一つにしているローは思った。
今までにだってローが賞金首になって手配書が出回ってから、何度かこういう事はあったのだ。そうして乗せたクルーだっている。逆に拒絶したクルーもいたが、その殆どはペンギンが何らかの形で反論していた。
乗せても乗せなくても構わない相手なら、ペンギンはローの相談には乗るものの自分の意見は言わない。一度ペンギンの反対を押し切って乗せてみた事があるが、その者は次の島で船の貯蓄を盗み出そうとして粛清する羽目になった。
他のクルーは男の熱心さに早速絆されていたり、冷静にローの判断を待っていたりする。期待の他にも『何か』を眼に宿す男を見やり、ローは決めた。
「駄目だ」
「っなんで……!」
当然のようにクルーになれるとおもっていた男の目に、やはり驚愕と困惑と侮りの色が見える。理由も言った方がいいのだろうかと面倒臭く思っていると男が激昂した。
「っおれは! こんなクマの人形抱いて変な帽子被ってる奴やそこのグラサンのガキよりも絶対役に立つに決まってんだ! 何も知らねえくせにダメって事は無いだろ!」
「……ああ?」
視界の端でシャチが怒っているのをイルカに宥められている。だが他の指摘されなかったクルーも自分達の仲間を貶されて機嫌を悪くしていた。
当然だ。ローだって自分の部下が貶されて顔には出さずとも気分の良いものではない。
男はそれらに気付かずに自分は有能なんだとがなっている。いい加減海上ではあるが船の上から退場してもらうかと考え始めた時、男が威勢良くペンギンを指差した。
「そうだ! 次の島までおれを試していいぜ! そこの奴の仕事を次の島まで完璧にこなしてやるよ! そうすりゃアンタだっておれを認めんだろ!?」
被っていた皮がもう盛大に剥がれているぞと思いつつローがペンギンを見れば、他のクルー達も揃ってペンギンの様子を窺っている。
当のペンギンだけは、男から向けられた敵意と侮りの視線をものともせずに、抱いていたベポを軽く揺すり上げて笑った。
「たまにはいいんじゃねぇですかぁ」
「いいのか」
「船長がそれで宜しいのでしたら。俺は次の島まで休暇を貰ったと思えばいいだけですしぃ?」
「次の島までに荷物をまとめておいた方がいいかもな!」
既に決定事項の様に振舞って男が威勢良く啖呵を切っているが。
誰一人として『お前が敵に回したのはハートの副船長だぞ』とは教えてやらなかった。
備蓄の補充に寄った島を出向して直ぐ、船に不審者が乗っていたとクルーによって連れてこられた男は、ローを見て第一声で『クルーにしてください!』と叫んだ。
「オレは医師免許を持ってる奴しか乗せねえ」
「い、医師免許は持ってないですけど、薬剤師の資格は持ってます! おれもアンタみたいに海賊になりたいんです!」
必死な様子で懇願してくる男には悪いが、この船には『薬剤師』が既にいる。その当の本人は男の懇願を聞いても他人事の様にベポを抱いて海を眺めていたが。
いつもであれば副船長としてローの相談相手になり意見を言ってくるものだが、今回はその様子すらない。という事はこの男は完全に『どうでもいい奴』なのだろうと、こっそりペンギンの態度を判断基準の一つにしているローは思った。
今までにだってローが賞金首になって手配書が出回ってから、何度かこういう事はあったのだ。そうして乗せたクルーだっている。逆に拒絶したクルーもいたが、その殆どはペンギンが何らかの形で反論していた。
乗せても乗せなくても構わない相手なら、ペンギンはローの相談には乗るものの自分の意見は言わない。一度ペンギンの反対を押し切って乗せてみた事があるが、その者は次の島で船の貯蓄を盗み出そうとして粛清する羽目になった。
他のクルーは男の熱心さに早速絆されていたり、冷静にローの判断を待っていたりする。期待の他にも『何か』を眼に宿す男を見やり、ローは決めた。
「駄目だ」
「っなんで……!」
当然のようにクルーになれるとおもっていた男の目に、やはり驚愕と困惑と侮りの色が見える。理由も言った方がいいのだろうかと面倒臭く思っていると男が激昂した。
「っおれは! こんなクマの人形抱いて変な帽子被ってる奴やそこのグラサンのガキよりも絶対役に立つに決まってんだ! 何も知らねえくせにダメって事は無いだろ!」
「……ああ?」
視界の端でシャチが怒っているのをイルカに宥められている。だが他の指摘されなかったクルーも自分達の仲間を貶されて機嫌を悪くしていた。
当然だ。ローだって自分の部下が貶されて顔には出さずとも気分の良いものではない。
男はそれらに気付かずに自分は有能なんだとがなっている。いい加減海上ではあるが船の上から退場してもらうかと考え始めた時、男が威勢良くペンギンを指差した。
「そうだ! 次の島までおれを試していいぜ! そこの奴の仕事を次の島まで完璧にこなしてやるよ! そうすりゃアンタだっておれを認めんだろ!?」
被っていた皮がもう盛大に剥がれているぞと思いつつローがペンギンを見れば、他のクルー達も揃ってペンギンの様子を窺っている。
当のペンギンだけは、男から向けられた敵意と侮りの視線をものともせずに、抱いていたベポを軽く揺すり上げて笑った。
「たまにはいいんじゃねぇですかぁ」
「いいのか」
「船長がそれで宜しいのでしたら。俺は次の島まで休暇を貰ったと思えばいいだけですしぃ?」
「次の島までに荷物をまとめておいた方がいいかもな!」
既に決定事項の様に振舞って男が威勢良く啖呵を切っているが。
誰一人として『お前が敵に回したのはハートの副船長だぞ』とは教えてやらなかった。