原作前日常編
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
夢主視点
ベポを抱いて船長を探していると、食堂で遅めの朝食を摂っていた。もうすぐ昼食の時間なのに今かよと呆れつつ、他のクルーもいる食堂を見回してからシルビは足を踏み入れる。
「船長!」
「どうした」
「まぁちょっとお付き合いください」
勝手に隣の席へベポを抱いたまま腰を降ろして、ベポを船長へ向けて膝へ座らせる。何事かとまだ寝起きの顔で振り返る船長へ、ベポの前足を掴んで手招きさせた。
「名前を呼んでもらえますか?」
「ペンギン」
「俺じゃねぇよ。ベポだよベポ」
「……ベポ?」
「アイッ」
ベポが船長に名前を呼ばれ元気良く『返事』をした途端、鳩が豆鉄砲を食らったような顔をする船長に、シルビはしてやったりと思わずニヤリと笑ってしまう。
船長含めクルー全員の事は覚えて怯えなくなったので、少し前から人語を話せるようになる為に特訓を始めていたのだ。
拾ってきたのが船長だったので、最初に覚えさせる言葉は『キャプテン』にしようと思ったのだが、どうも濁音半濁音や、破裂音の発音が不得手なようでキャプテンの『プ』がなかなか言えなかった。
その練習過程がくしゃみと勘違いされてしまったので、最初から難易度が高かったのだと反省し作戦変更して『とりあえず返事が出来るようになる』に変えたのである。
余談だがシルビには『キャプテン』もちゃんと『キャフ』と言っている様に聞こえていたのだが、後になって多分それは最初のもっと言えていない段階から聞いていたからだと気付いた。
ともあれ返事だけは出来るようになったベポが、驚いて固まっている船長の様子に不安を覚えてかシルビを振り返るので、安心させるように頭を撫でてやる。
「ほら船長。言う事があるんじゃねぇですかぁ?」
「……、ベポ」
「アイッ」
「……偉いなベポ」
伸びてきた船長の手にベポを渡せば感極まった様子でベポを抱き締めた。抱き締められて嬉しげに上げられるのはまだ鳴き声に近いが、そのうち他の言葉も覚えられるだろう。
何事かと集まってくるクルー達もベポが返事を覚えた事を知って驚いていた。我先にとベポを呼んで返事をしてもらおうとしているが、そんなに一気に声を掛けるのは良くない。
「カーッ!」
「うわっ!?」
「んな一気に呼んだら混乱して怒るぜぇ」
「もっと早く言って!」
「でもスゲー! ベポって人語喋れるんだー」
この『返事』を人語と認識していいのかは甚だ疑わしいが、将来的には人語を喋るのでいいのだろう。
それにしても。
船長の抱いているベポを中心に盛り上がっているクルー達を見て、ちょっとくらいシルビを褒めてくれたっていいだろと思った。
ベポを抱いて船長を探していると、食堂で遅めの朝食を摂っていた。もうすぐ昼食の時間なのに今かよと呆れつつ、他のクルーもいる食堂を見回してからシルビは足を踏み入れる。
「船長!」
「どうした」
「まぁちょっとお付き合いください」
勝手に隣の席へベポを抱いたまま腰を降ろして、ベポを船長へ向けて膝へ座らせる。何事かとまだ寝起きの顔で振り返る船長へ、ベポの前足を掴んで手招きさせた。
「名前を呼んでもらえますか?」
「ペンギン」
「俺じゃねぇよ。ベポだよベポ」
「……ベポ?」
「アイッ」
ベポが船長に名前を呼ばれ元気良く『返事』をした途端、鳩が豆鉄砲を食らったような顔をする船長に、シルビはしてやったりと思わずニヤリと笑ってしまう。
船長含めクルー全員の事は覚えて怯えなくなったので、少し前から人語を話せるようになる為に特訓を始めていたのだ。
拾ってきたのが船長だったので、最初に覚えさせる言葉は『キャプテン』にしようと思ったのだが、どうも濁音半濁音や、破裂音の発音が不得手なようでキャプテンの『プ』がなかなか言えなかった。
その練習過程がくしゃみと勘違いされてしまったので、最初から難易度が高かったのだと反省し作戦変更して『とりあえず返事が出来るようになる』に変えたのである。
余談だがシルビには『キャプテン』もちゃんと『キャフ』と言っている様に聞こえていたのだが、後になって多分それは最初のもっと言えていない段階から聞いていたからだと気付いた。
ともあれ返事だけは出来るようになったベポが、驚いて固まっている船長の様子に不安を覚えてかシルビを振り返るので、安心させるように頭を撫でてやる。
「ほら船長。言う事があるんじゃねぇですかぁ?」
「……、ベポ」
「アイッ」
「……偉いなベポ」
伸びてきた船長の手にベポを渡せば感極まった様子でベポを抱き締めた。抱き締められて嬉しげに上げられるのはまだ鳴き声に近いが、そのうち他の言葉も覚えられるだろう。
何事かと集まってくるクルー達もベポが返事を覚えた事を知って驚いていた。我先にとベポを呼んで返事をしてもらおうとしているが、そんなに一気に声を掛けるのは良くない。
「カーッ!」
「うわっ!?」
「んな一気に呼んだら混乱して怒るぜぇ」
「もっと早く言って!」
「でもスゲー! ベポって人語喋れるんだー」
この『返事』を人語と認識していいのかは甚だ疑わしいが、将来的には人語を喋るのでいいのだろう。
それにしても。
船長の抱いているベポを中心に盛り上がっているクルー達を見て、ちょっとくらいシルビを褒めてくれたっていいだろと思った。