原作前日常編
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ロー視点
前から薄々勘付いていたが、ペンギンは自分の痛みに非常に鈍い。クルーの怪我にはいち早く気付いたりするが、自分の身に受けた怪我だと放置する。
別に隠そうとする訳ではないのだが、平然としているので場合によっては見逃してしまうのだ。けれども流石に自分で自分を傷付ける事はないと思っていた矢先の出来事。
「船長?」
控えめに部屋の扉をノックして顔を覗かせたペンギンに、一応反省はしているのだなと思った。ペンギンの手には新しい包帯。
「包帯、巻いてもらえますか」
読んでいた本を閉じて座り直せば目の前に移動したペンギンに腕を差し出される。巻かれていた包帯をまとめながら取り払えば、出てきたガーゼにはまだ血が滲んでいた。
普段であればクルーが怪我をしたら処方する鎮痛剤は渡していない。その鎮痛剤の管理をしているのがペンギンだという事もあるが、それ以前にペンギンがまだ一言も『痛い』と言わないからだ。
ガーゼも取り替えた方がいいと判断して血の付いたガーゼを剥がした。血で張り付いたそれがペリ、と音を立てる。
痛くないのかと尋ねたら負けだ。
「綺麗に剥がしたモンだな」
「一応知識はありますしねぇ」
それをもっと有意義に活用しろと言いたい。痕さえ残らずいつか治るのだろうそこにある刺青を見て、ローは顔を上げた。
「お前、刺青を彫り直す時はなんて言うつもりだったんだ?」
「『消えてしまったのでもう一回彫ってください』?」
「彫り直す必要あんのか。お前コレ彫るときも嫌そうだっただろ」
「だって痛てぇし」
「お前……」
「でも彫ってる最中や完成した後貴方嬉しそうでしたし、一つくらいなら所有物である証として入れててもいいかなってぇ」
包帯を巻きえた腕を確認するペンギンはローを見ない。
「それに……貴方なら何度でも彫ってくれると思ってたんですけどね」
礼を言って部屋を出て行こうとするペンギンの腕を掴んで呼び止める。うっかり怪我をしている右腕を掴んでしまったものだから、ペンギンが顔をしかめていたがそうしていたほうがいいので謝る気はない。
「もうちょっと明確に甘えろ!」
「よく言われますけど、そんなに控えめですかねぇ俺」
バンダナさんにも言われたと本気で不可解だとばかりに言うペンギンに、いっそ脱力してローは頭を抱える。
多分ペンギン本人は、頼る事をしていない訳でも甘えていない訳でもないのだ。ただそれは周囲が気付かない程度か、本人の中で暗黙の了解になってしまっている。
昔ペンギンへ同じ事を言ったという相手はきっと偉大だ。その時はもっと酷かったのだろう。殆ど改善していないペンギンも逆に凄いが。
「……いいかシルビ。明日は重いものは持つな。必要があったら誰かに運んでもらえ。遠慮は絶対するな」
「それ、本名呼んでまで言うことですか?」
「船長命令」
「……了解、船長」
二日後、クルーに面倒を掛けている事に申し訳なさでいっぱいになったペンギンが、心底困り果てた様子で『もう止めて下さいお願いします』と懇願してきた。二日で駄目だとは重傷だが、懇願してきただけ良しとする。
仕返しなのかベポへプレゼントするスカーフの刺繍をさせられたので、ローだけではなくクルー全員で喜んでやってやった。
前から薄々勘付いていたが、ペンギンは自分の痛みに非常に鈍い。クルーの怪我にはいち早く気付いたりするが、自分の身に受けた怪我だと放置する。
別に隠そうとする訳ではないのだが、平然としているので場合によっては見逃してしまうのだ。けれども流石に自分で自分を傷付ける事はないと思っていた矢先の出来事。
「船長?」
控えめに部屋の扉をノックして顔を覗かせたペンギンに、一応反省はしているのだなと思った。ペンギンの手には新しい包帯。
「包帯、巻いてもらえますか」
読んでいた本を閉じて座り直せば目の前に移動したペンギンに腕を差し出される。巻かれていた包帯をまとめながら取り払えば、出てきたガーゼにはまだ血が滲んでいた。
普段であればクルーが怪我をしたら処方する鎮痛剤は渡していない。その鎮痛剤の管理をしているのがペンギンだという事もあるが、それ以前にペンギンがまだ一言も『痛い』と言わないからだ。
ガーゼも取り替えた方がいいと判断して血の付いたガーゼを剥がした。血で張り付いたそれがペリ、と音を立てる。
痛くないのかと尋ねたら負けだ。
「綺麗に剥がしたモンだな」
「一応知識はありますしねぇ」
それをもっと有意義に活用しろと言いたい。痕さえ残らずいつか治るのだろうそこにある刺青を見て、ローは顔を上げた。
「お前、刺青を彫り直す時はなんて言うつもりだったんだ?」
「『消えてしまったのでもう一回彫ってください』?」
「彫り直す必要あんのか。お前コレ彫るときも嫌そうだっただろ」
「だって痛てぇし」
「お前……」
「でも彫ってる最中や完成した後貴方嬉しそうでしたし、一つくらいなら所有物である証として入れててもいいかなってぇ」
包帯を巻きえた腕を確認するペンギンはローを見ない。
「それに……貴方なら何度でも彫ってくれると思ってたんですけどね」
礼を言って部屋を出て行こうとするペンギンの腕を掴んで呼び止める。うっかり怪我をしている右腕を掴んでしまったものだから、ペンギンが顔をしかめていたがそうしていたほうがいいので謝る気はない。
「もうちょっと明確に甘えろ!」
「よく言われますけど、そんなに控えめですかねぇ俺」
バンダナさんにも言われたと本気で不可解だとばかりに言うペンギンに、いっそ脱力してローは頭を抱える。
多分ペンギン本人は、頼る事をしていない訳でも甘えていない訳でもないのだ。ただそれは周囲が気付かない程度か、本人の中で暗黙の了解になってしまっている。
昔ペンギンへ同じ事を言ったという相手はきっと偉大だ。その時はもっと酷かったのだろう。殆ど改善していないペンギンも逆に凄いが。
「……いいかシルビ。明日は重いものは持つな。必要があったら誰かに運んでもらえ。遠慮は絶対するな」
「それ、本名呼んでまで言うことですか?」
「船長命令」
「……了解、船長」
二日後、クルーに面倒を掛けている事に申し訳なさでいっぱいになったペンギンが、心底困り果てた様子で『もう止めて下さいお願いします』と懇願してきた。二日で駄目だとは重傷だが、懇願してきただけ良しとする。
仕返しなのかベポへプレゼントするスカーフの刺繍をさせられたので、ローだけではなくクルー全員で喜んでやってやった。