ワノ国編
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ロー視点
被せた帽子の影で前触れもなく大粒の涙をこぼし始めたペンギンに驚く。そんな泣かせるようなことを言った覚えはなかったし、ペンギンのことを気味が悪いと思った訳でも無い。
気味が悪いだなんて思う訳がなかった。どんな姿をしていようとどんな過去があろうとペンギンはローの船のローのクルーだ。本当は何億歳だとか獣の姿が本当の姿だとかそんなことは正直、どうでもいい。
ただ、そんなことでローのクルーでいられなくなるのではと何度も悩まれる方がどうでも良くなかった。
「泣くようなコトは言ってねェだろ!」
「ちが……嬉しく、てぇ」
こぼれて止まない涙をペンギンが手の甲で拭う。嬉しくて泣いているのだと主張してローを見上げて笑みを浮かべる姿は、確かに嬉しいのかもしれない。
けれども心臓に悪かった。
「昔、大好きなお父さんが同じ様なことを言ってくれたんです」
「お前の父親はお前を殺そうとするヤツじゃなかったか?」
「それは生物学上の父親ですね。お父さんは――ジャックとサブジェイは『ブルーライトニング』という海賊船の船長だったんです」
聞き覚えのない船。
「迷子だった俺を助けてくれた人でした。化け物だって分かってても俺を息子だと言って愛してくれたんです。俺にとってジャックとサブジェイ以上の素晴らしい『船長』は居ねぇ」
ペンギンにとっての『船長』のイメージはその人なのだろう。それはきっとローにとってのコラさんの様な、何者にも代え難い大切な存在の一人。
自分にコラさんという存在があることもあって、ローはその『ジャックとサブジェイ』という人物に嫉妬に似た感情を覚えつつ、口に出しては何も言えなかった。そんな人物より自分が居るだろうなどとは、世界が海に沈んでも言える訳がない。
だからただ、黙って先を促す。
「嬉しい」
「何がだ」
「貴方が、俺の船長が、俺を愛してくれた人と同じことを言ってくれたことが」
そう言ってペンギンは、止まらない涙を拭うことを諦めたように被っていた帽子を掴んで笑った。
「俺の、船長」
改めて言われたそれが、初めて言われた訳ではないのに胸に響く。ようやくペンギンの本当の船長として認められたかのような、ずっと昔から聞いてきたものと何の変わりも無くて当たり前のような。
少なくとも大乱闘直後の夜に受け入れるには、少しばかり感動が強いそれに思えた。
荒く目元をこすって今度こそ涙を止めたペンギンが、小さく鼻を啜って被っていた帽子を脱ぐ。赤くなった目元は冷やした方が良さそうだ。
「でもこの帽子は埃っぽいんですよやっぱりぃ」
被せた帽子の影で前触れもなく大粒の涙をこぼし始めたペンギンに驚く。そんな泣かせるようなことを言った覚えはなかったし、ペンギンのことを気味が悪いと思った訳でも無い。
気味が悪いだなんて思う訳がなかった。どんな姿をしていようとどんな過去があろうとペンギンはローの船のローのクルーだ。本当は何億歳だとか獣の姿が本当の姿だとかそんなことは正直、どうでもいい。
ただ、そんなことでローのクルーでいられなくなるのではと何度も悩まれる方がどうでも良くなかった。
「泣くようなコトは言ってねェだろ!」
「ちが……嬉しく、てぇ」
こぼれて止まない涙をペンギンが手の甲で拭う。嬉しくて泣いているのだと主張してローを見上げて笑みを浮かべる姿は、確かに嬉しいのかもしれない。
けれども心臓に悪かった。
「昔、大好きなお父さんが同じ様なことを言ってくれたんです」
「お前の父親はお前を殺そうとするヤツじゃなかったか?」
「それは生物学上の父親ですね。お父さんは――ジャックとサブジェイは『ブルーライトニング』という海賊船の船長だったんです」
聞き覚えのない船。
「迷子だった俺を助けてくれた人でした。化け物だって分かってても俺を息子だと言って愛してくれたんです。俺にとってジャックとサブジェイ以上の素晴らしい『船長』は居ねぇ」
ペンギンにとっての『船長』のイメージはその人なのだろう。それはきっとローにとってのコラさんの様な、何者にも代え難い大切な存在の一人。
自分にコラさんという存在があることもあって、ローはその『ジャックとサブジェイ』という人物に嫉妬に似た感情を覚えつつ、口に出しては何も言えなかった。そんな人物より自分が居るだろうなどとは、世界が海に沈んでも言える訳がない。
だからただ、黙って先を促す。
「嬉しい」
「何がだ」
「貴方が、俺の船長が、俺を愛してくれた人と同じことを言ってくれたことが」
そう言ってペンギンは、止まらない涙を拭うことを諦めたように被っていた帽子を掴んで笑った。
「俺の、船長」
改めて言われたそれが、初めて言われた訳ではないのに胸に響く。ようやくペンギンの本当の船長として認められたかのような、ずっと昔から聞いてきたものと何の変わりも無くて当たり前のような。
少なくとも大乱闘直後の夜に受け入れるには、少しばかり感動が強いそれに思えた。
荒く目元をこすって今度こそ涙を止めたペンギンが、小さく鼻を啜って被っていた帽子を脱ぐ。赤くなった目元は冷やした方が良さそうだ。
「でもこの帽子は埃っぽいんですよやっぱりぃ」