ワノ国編
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ロー視点
どこからともなく少し高い笛の音が聞こえる。戦っていた時に聞こえたものと同じ楽器ではあるようだが、そのリズムは激しいそれではなくむしろ穏やかだった。
ビッグマム相手に大技を駆使し、カイドウが倒された後もサムライ共の治療でローの様な医療技術を持つ者は慌ただしく、ローが休めたのも患者の半分以上の治療が終わってからだ。カイドウ軍側の兵士共の治療もやらされたのである意味では半分どころではなかったかもしれない。
休息は当然の様に足らないが目が覚めてしまったのは仕方なく、ローは帽子の角度を直しながらライブフロアを見回した。治療戦争の途中で戻ってきたペンギンの姿が見当たらない。
怪我人の治療をして回るのに忙しくて、まだ戻ってきたペンギンと話は出来ていなかった。
モモの助が勝利宣言をした映像に映っていた白い獣を、ベポが『ペンギンだ』と言っていたのを思い出す。カイドウとビッグマムを分断させた時に見た白い尾と蹄になったペンギンの手も。
笛の音は穏やかに流れている。聞かせる相手がいるかどうかも分からないそれに、ローは自分に寄りかかって寝ていたバンダナを押しやって静かに立ち上がった。
麦わらの一味はルフィとゾロを囲むようにして眠っている。キッド達もロー達同様クルーが一纏まりになって休んでいるようだった。
小さく呻いていた誰かの声が安らかなものへと変わる。数少ない起きていた者達が出所の分からない笛の音に耳を澄ませているようだった。
「……歌は下手なのに、演奏は上手いのか」
行く手を阻む瓦礫を乗り越え崩れた道を飛び越える。ようやくたどり着いた屋上ではライブフロアよりもはっきりした笛の音が響いていた。
瓦礫に座って笛を吹くペンギンの後ろ姿に足を止める。演奏が終わるまで待って、笛から口を離したところでローはペンギンに呼びかけた。
「ペンギン」
お疲れ、とか何処へ行っていた、とは続けられない。そんな会話はもういらない。
振り返ったペンギンがローを見てその目を悲しげに歪める。帽子は被っていない。
「鎮魂歌のつもりか」
「そう、聞こえました?」
多くの者が犠牲になった。戦に勝っても治療が間に合わず命を落とした者も大勢居る。その亡骸にしがみついて泣く者だって治療の最中には目撃していた。
歩み寄った先で俯いたペンギンが膝の上で笛を握る。ローは息を吐いた。
「戻るぞ」
勢いよく顔を上げたペンギンと目が合う。言わなければ分からない訳ではないだろうにどうしてそう言われたのか分からない様子のペンギンに、ローはもう一度ため息を吐いた。
「迎えに来た」
どこからともなく少し高い笛の音が聞こえる。戦っていた時に聞こえたものと同じ楽器ではあるようだが、そのリズムは激しいそれではなくむしろ穏やかだった。
ビッグマム相手に大技を駆使し、カイドウが倒された後もサムライ共の治療でローの様な医療技術を持つ者は慌ただしく、ローが休めたのも患者の半分以上の治療が終わってからだ。カイドウ軍側の兵士共の治療もやらされたのである意味では半分どころではなかったかもしれない。
休息は当然の様に足らないが目が覚めてしまったのは仕方なく、ローは帽子の角度を直しながらライブフロアを見回した。治療戦争の途中で戻ってきたペンギンの姿が見当たらない。
怪我人の治療をして回るのに忙しくて、まだ戻ってきたペンギンと話は出来ていなかった。
モモの助が勝利宣言をした映像に映っていた白い獣を、ベポが『ペンギンだ』と言っていたのを思い出す。カイドウとビッグマムを分断させた時に見た白い尾と蹄になったペンギンの手も。
笛の音は穏やかに流れている。聞かせる相手がいるかどうかも分からないそれに、ローは自分に寄りかかって寝ていたバンダナを押しやって静かに立ち上がった。
麦わらの一味はルフィとゾロを囲むようにして眠っている。キッド達もロー達同様クルーが一纏まりになって休んでいるようだった。
小さく呻いていた誰かの声が安らかなものへと変わる。数少ない起きていた者達が出所の分からない笛の音に耳を澄ませているようだった。
「……歌は下手なのに、演奏は上手いのか」
行く手を阻む瓦礫を乗り越え崩れた道を飛び越える。ようやくたどり着いた屋上ではライブフロアよりもはっきりした笛の音が響いていた。
瓦礫に座って笛を吹くペンギンの後ろ姿に足を止める。演奏が終わるまで待って、笛から口を離したところでローはペンギンに呼びかけた。
「ペンギン」
お疲れ、とか何処へ行っていた、とは続けられない。そんな会話はもういらない。
振り返ったペンギンがローを見てその目を悲しげに歪める。帽子は被っていない。
「鎮魂歌のつもりか」
「そう、聞こえました?」
多くの者が犠牲になった。戦に勝っても治療が間に合わず命を落とした者も大勢居る。その亡骸にしがみついて泣く者だって治療の最中には目撃していた。
歩み寄った先で俯いたペンギンが膝の上で笛を握る。ローは息を吐いた。
「戻るぞ」
勢いよく顔を上げたペンギンと目が合う。言わなければ分からない訳ではないだろうにどうしてそう言われたのか分からない様子のペンギンに、ローはもう一度ため息を吐いた。
「迎えに来た」