原作前日常編
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クルー視点
それから慌てて止血と応急処置をして、部屋の掃除もクルー数人に任せて落ち着きを取り戻し、船長が改めてペンギンに怪我の理由を聞いたのだがそれが何とも馬鹿なもので、シャチは船長の血管が切れる瞬間を見た気がした。
「……つまり、ジョリーロジャーを描くのに原型が欲しくて、腕の刺青を元にしようとしたってんだな?」
ペンギンの話では、ハートのジョリーロジャーを描く必要が出来たものの自分は絵が下手で、原型が無いと簡単なものさえ上手く描けない為、原型を探していたが目ぼしいものが手元に無かったらしい。そんな時に目に入ったのが腕に彫った刺青で、刺青の彫られた肌を剥がして原型にしようと思いついた。
皮膚なら多少時間は掛かるが再生するし、刺青ならまた彫ればいいと考えたそうである。そしてさっそく皮膚をナイフで剥がしていたところに、シャチに声を掛けられて手元が狂い腕を斬ってしまった。
「お前はサイコパスか」
「失敬な。今の俺の精神は至って平常だと信じてぇです」
「普通は自分の皮膚を剥がそうなんてしねえよ!」
「だって他に何も無くて……」
「オレのパーカーや他の奴の刺青を見せてもらうとか、旗を降ろして持ってくとかツナギを確認するとかだって出来ただろうが!」
言われて思い至ったとばかりにペンギンが顔を上げて船長を見る。本気で刺青しか思いつかなったらしいと悟って、怒りを通り越して脱力した船長が椅子へ腰を降ろして溜息を吐いた。その溜息を聞いてペンギンが肩を竦ませる。
「……その、船長」
「なんだ」
「すみませんでした。刺青なら迷惑掛けねぇと思って」
「思いっきり迷惑だろうが」
ペンギンは再び俯いて何も言わない。珍しい光景だと誰一人囃し立てることはなかった。全員がペンギンのその意味の分からない自傷行為に腹を立てていたし、心配だってしたのだ。
「オレが言うのも何だけどな。お前はもう少し周りを頼れ」
「昔も同じ様な事を言われた覚えがあります」
「だったら全然直ってないんだろ。それが治るまで当分仕事と武器は没収だ。お前らもコイツに仕事させんなよ」
クルーが揃って返事をするのに船長はペンギンへ手を差し出す。ペンギンは渋々といった様子ながらも自分が悪いと分かっているのか、大人しくナイフと銃を船長へ渡した。隠し持っていた銃を渡すその右腕の、白かったはずの包帯に赤く血が滲んでいる。
怪我をしてしまってからも処置の間も、一度だって『痛い』と言っていないペンギンの頭に手を乗せて、船長が食堂を出て行った。
それから慌てて止血と応急処置をして、部屋の掃除もクルー数人に任せて落ち着きを取り戻し、船長が改めてペンギンに怪我の理由を聞いたのだがそれが何とも馬鹿なもので、シャチは船長の血管が切れる瞬間を見た気がした。
「……つまり、ジョリーロジャーを描くのに原型が欲しくて、腕の刺青を元にしようとしたってんだな?」
ペンギンの話では、ハートのジョリーロジャーを描く必要が出来たものの自分は絵が下手で、原型が無いと簡単なものさえ上手く描けない為、原型を探していたが目ぼしいものが手元に無かったらしい。そんな時に目に入ったのが腕に彫った刺青で、刺青の彫られた肌を剥がして原型にしようと思いついた。
皮膚なら多少時間は掛かるが再生するし、刺青ならまた彫ればいいと考えたそうである。そしてさっそく皮膚をナイフで剥がしていたところに、シャチに声を掛けられて手元が狂い腕を斬ってしまった。
「お前はサイコパスか」
「失敬な。今の俺の精神は至って平常だと信じてぇです」
「普通は自分の皮膚を剥がそうなんてしねえよ!」
「だって他に何も無くて……」
「オレのパーカーや他の奴の刺青を見せてもらうとか、旗を降ろして持ってくとかツナギを確認するとかだって出来ただろうが!」
言われて思い至ったとばかりにペンギンが顔を上げて船長を見る。本気で刺青しか思いつかなったらしいと悟って、怒りを通り越して脱力した船長が椅子へ腰を降ろして溜息を吐いた。その溜息を聞いてペンギンが肩を竦ませる。
「……その、船長」
「なんだ」
「すみませんでした。刺青なら迷惑掛けねぇと思って」
「思いっきり迷惑だろうが」
ペンギンは再び俯いて何も言わない。珍しい光景だと誰一人囃し立てることはなかった。全員がペンギンのその意味の分からない自傷行為に腹を立てていたし、心配だってしたのだ。
「オレが言うのも何だけどな。お前はもう少し周りを頼れ」
「昔も同じ様な事を言われた覚えがあります」
「だったら全然直ってないんだろ。それが治るまで当分仕事と武器は没収だ。お前らもコイツに仕事させんなよ」
クルーが揃って返事をするのに船長はペンギンへ手を差し出す。ペンギンは渋々といった様子ながらも自分が悪いと分かっているのか、大人しくナイフと銃を船長へ渡した。隠し持っていた銃を渡すその右腕の、白かったはずの包帯に赤く血が滲んでいる。
怪我をしてしまってからも処置の間も、一度だって『痛い』と言っていないペンギンの頭に手を乗せて、船長が食堂を出て行った。