ワノ国編
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夢主視点
ルフィの拳を受けてカイドウが倒れる。意識を奪うほどではないそれはしかし、誰にとっても驚愕の一撃でもあった。
カイドウは不死身とさえ言われていた程強靱な肉体を持つ男だ。ただの拳も武器も効かず、何度死刑を執行されても生きていたとされている。そんな男が一度でも倒れたとすれば、それは驚くに値することだ。
「アレか……『ワノ国』のジジイに習った覇気」
「何だ今の『覇気』……打撃なんかカイドウに効くのか!?」
「ファッファッファ! “勝算”あるじゃねェか!」
「一言言わせて貰わなきゃな……」
ゾロ達がルフィの攻撃の感想を漏らしているのに対して、船長だけどこか違う気がするのは気のせいか。
同時に囚人採掘場で『流桜』の教えを請われた理由を理解する。なるほどあれならカイドウの様な相手であっても有効だろう。人は体内まではそう安易に鍛えられない。
「おめェ『海賊王』ってのがどれ程の存在なのかわかってんのかい!?」
ビッグマムが怒鳴る横でカイドウがゆっくりと立ち上がった。そうして立ち上がり様に金棒を振るう。
「“雷鳴”……“八卦”!」
来ると先読みしたかの様に躱そうとしたルフィはしかし、振るわれた金棒に額を掠めていた。
「くそ! 未来読んだのに! 速ェ!」
「いいぞ……二度目はまともにゃくらわねェか!」
「“天上の”――“火”!」
「“狐火流”――“焔裂き”!」
地面を転がったルフィにビッグマムが従えている太陽の様な炎が振り下ろされるも、ゾロが踏み出してその炎の塊を両断する。
「一瞬でも気を抜くなルフィ! 『四皇』が二人いるんだぞ!」
「“シャンブルズ”!」
間を置かないカイドウの金棒に今度は船長がルフィを自身の傍へと転移させた。戦局を見てサポートに回ったのかと思いきや、船長はルフィに文句を言い出した。
こんな状況だというのに、錦えもん達を下へ移動させてくれという先程のルフィの言葉が嫌だったらしい。
「まるでオレがてめェの命令を聞いたみてェに!」
「いいじゃねェかどっちでも!」
「トラファルガー……お前遂に“麦わら”の子分になったのかと」
「なるかァ!」
加えてキッドまで馬鹿にして茶々を入れてくるものだから、シルビは思わず頭を押さえてため息を吐いた。シルビから言わせて貰えばそこで命令されたと思う時点で船長の懐は狭いし、無関係のキッドは口を挟まないと仲間外れにされた気分にでもなるのだろうか。
終いにはビッグマムから放たれた火の玉に、最初に手を出した奴が格下だのと妙なゲームまで始め出した。
呆れてモノも言えない。
「今の怪我は絶対後で治してやんねぇ。ゾロ君、キラー、あの馬鹿達は放っておこう」
揃って格下にされたくないなんて阿呆なプライドから火の玉の直撃を受けた馬鹿三人を尻目に、シルビは手首に填めている腕輪の位置を調節した。その横で、ゾロが手ぬぐいを頭へ巻きながら前へ出る。
「邪魔するなよ? 人斬り鎌ぞう!」
キラーが気付いていたのかとばかりにゾロを見た。
「そんな妙な笑い方そうそういねェからな。だろペンギン」
「俺は最初から気付いていたというか知ってたというかぁ。それよりそのサッシュ! 俺の肩掛けぇ!」
屋上に来てキラーを目にしてからずっと思っていたが、キラーが腰に巻いているサッシュはどう見てもシルビの肩掛けだったものだ。
鈴後でゾロとキラーこと鎌ぞうの対決の後倒れているキラーに巻いてやった肩掛けはその後、囚人採掘場で再会したキラーの首にあった。採掘場から脱走する際、既にボロボロの泥まみれになっていただろうそれをキラーが持ち去っただろうことも知ってはいる。
知ってはいたが、まさかその後サッシュとして使われているとは思ってもいなかった。そもそも元が肩掛けなのによくサッシュとして使おうとしたものである。
「もう汚ねぇしボロボロだから捨てろぉ!」
「……ファッファ」
「笑って誤魔化さねぇ! 鈴後じゃ寒かろうと思って貸したけど割と使い勝手が良くて気に入ってるヤツだったんだぞぉ! もう! 後で弁償ぅ!」
「いいぞ」
短い返事と共にキラーもその手の刃を構えた。そのあっさりとした返事に逆にシルビの方が拍子抜けしてしまったくらいだ。
「え、ほんとぉ?」
「好きな柄と色を選べ。ストライプがオススメだ」
「緑にしろ緑」
「何故緑。いやストライプも謎だけどぉ」
ゾロが何故か口を挟んできたが、緑一色もストライプも自分に似合うかどうかと言われると少々悩んでしまう。
そうして悩んでいる間にゾロとキラーがカイドウに斬りかかる。強靱なカイドウの体にその刃が貫通することは無かったが、今のはまだ互いに試し斬りといったところか。
肌に内出血を起こさせればいいところ。衝撃に対して僅かに息を詰めた程度のカイドウへ、シルビは彼の意識が自分へ向けられる前に飛んで、カイドウの目の前で手を突きだした。
触れたカイドウの肌が音を鳴らす。それほどの衝撃をもって放った掌底を受けてかカイドウが呻いてふらついた。
「ぐうッ……!?」
驚愕と痛みにあがる声を聞いて、驚いた様子でゾロとキラーが振り返る。
ルフィの拳を受けてカイドウが倒れる。意識を奪うほどではないそれはしかし、誰にとっても驚愕の一撃でもあった。
カイドウは不死身とさえ言われていた程強靱な肉体を持つ男だ。ただの拳も武器も効かず、何度死刑を執行されても生きていたとされている。そんな男が一度でも倒れたとすれば、それは驚くに値することだ。
「アレか……『ワノ国』のジジイに習った覇気」
「何だ今の『覇気』……打撃なんかカイドウに効くのか!?」
「ファッファッファ! “勝算”あるじゃねェか!」
「一言言わせて貰わなきゃな……」
ゾロ達がルフィの攻撃の感想を漏らしているのに対して、船長だけどこか違う気がするのは気のせいか。
同時に囚人採掘場で『流桜』の教えを請われた理由を理解する。なるほどあれならカイドウの様な相手であっても有効だろう。人は体内まではそう安易に鍛えられない。
「おめェ『海賊王』ってのがどれ程の存在なのかわかってんのかい!?」
ビッグマムが怒鳴る横でカイドウがゆっくりと立ち上がった。そうして立ち上がり様に金棒を振るう。
「“雷鳴”……“八卦”!」
来ると先読みしたかの様に躱そうとしたルフィはしかし、振るわれた金棒に額を掠めていた。
「くそ! 未来読んだのに! 速ェ!」
「いいぞ……二度目はまともにゃくらわねェか!」
「“天上の”――“火”!」
「“狐火流”――“焔裂き”!」
地面を転がったルフィにビッグマムが従えている太陽の様な炎が振り下ろされるも、ゾロが踏み出してその炎の塊を両断する。
「一瞬でも気を抜くなルフィ! 『四皇』が二人いるんだぞ!」
「“シャンブルズ”!」
間を置かないカイドウの金棒に今度は船長がルフィを自身の傍へと転移させた。戦局を見てサポートに回ったのかと思いきや、船長はルフィに文句を言い出した。
こんな状況だというのに、錦えもん達を下へ移動させてくれという先程のルフィの言葉が嫌だったらしい。
「まるでオレがてめェの命令を聞いたみてェに!」
「いいじゃねェかどっちでも!」
「トラファルガー……お前遂に“麦わら”の子分になったのかと」
「なるかァ!」
加えてキッドまで馬鹿にして茶々を入れてくるものだから、シルビは思わず頭を押さえてため息を吐いた。シルビから言わせて貰えばそこで命令されたと思う時点で船長の懐は狭いし、無関係のキッドは口を挟まないと仲間外れにされた気分にでもなるのだろうか。
終いにはビッグマムから放たれた火の玉に、最初に手を出した奴が格下だのと妙なゲームまで始め出した。
呆れてモノも言えない。
「今の怪我は絶対後で治してやんねぇ。ゾロ君、キラー、あの馬鹿達は放っておこう」
揃って格下にされたくないなんて阿呆なプライドから火の玉の直撃を受けた馬鹿三人を尻目に、シルビは手首に填めている腕輪の位置を調節した。その横で、ゾロが手ぬぐいを頭へ巻きながら前へ出る。
「邪魔するなよ? 人斬り鎌ぞう!」
キラーが気付いていたのかとばかりにゾロを見た。
「そんな妙な笑い方そうそういねェからな。だろペンギン」
「俺は最初から気付いていたというか知ってたというかぁ。それよりそのサッシュ! 俺の肩掛けぇ!」
屋上に来てキラーを目にしてからずっと思っていたが、キラーが腰に巻いているサッシュはどう見てもシルビの肩掛けだったものだ。
鈴後でゾロとキラーこと鎌ぞうの対決の後倒れているキラーに巻いてやった肩掛けはその後、囚人採掘場で再会したキラーの首にあった。採掘場から脱走する際、既にボロボロの泥まみれになっていただろうそれをキラーが持ち去っただろうことも知ってはいる。
知ってはいたが、まさかその後サッシュとして使われているとは思ってもいなかった。そもそも元が肩掛けなのによくサッシュとして使おうとしたものである。
「もう汚ねぇしボロボロだから捨てろぉ!」
「……ファッファ」
「笑って誤魔化さねぇ! 鈴後じゃ寒かろうと思って貸したけど割と使い勝手が良くて気に入ってるヤツだったんだぞぉ! もう! 後で弁償ぅ!」
「いいぞ」
短い返事と共にキラーもその手の刃を構えた。そのあっさりとした返事に逆にシルビの方が拍子抜けしてしまったくらいだ。
「え、ほんとぉ?」
「好きな柄と色を選べ。ストライプがオススメだ」
「緑にしろ緑」
「何故緑。いやストライプも謎だけどぉ」
ゾロが何故か口を挟んできたが、緑一色もストライプも自分に似合うかどうかと言われると少々悩んでしまう。
そうして悩んでいる間にゾロとキラーがカイドウに斬りかかる。強靱なカイドウの体にその刃が貫通することは無かったが、今のはまだ互いに試し斬りといったところか。
肌に内出血を起こさせればいいところ。衝撃に対して僅かに息を詰めた程度のカイドウへ、シルビは彼の意識が自分へ向けられる前に飛んで、カイドウの目の前で手を突きだした。
触れたカイドウの肌が音を鳴らす。それほどの衝撃をもって放った掌底を受けてかカイドウが呻いてふらついた。
「ぐうッ……!?」
驚愕と痛みにあがる声を聞いて、驚いた様子でゾロとキラーが振り返る。