原作前日常編
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夢主視点
干していた洗濯物をそろそろ取り込もうと甲板へ出れば、ローが壁へ寄りかかって昼寝をしていた。船長が暇そうなのは航海に問題無しということなので許容しているが、出来れば昼寝ではなく夜にちゃんと寝て欲しいとシルビは思っている。
その壁へ寄りかかり寝ているローの脚には、ベポがしがみ付いて寝ているローを見上げていた。しがみ立ちにも見えなくも無いが、まだ後ろ足で立つのは難しい。
じっと寝ている船長を見上げているベポは、シロクマだ。でもシャチ達は下手にもう仲間意識をしているせいか、ベポをシロクマだと認識してないんじゃなかろうかとシルビは思っていた。矛盾しているが、ベポを仲間だと思いながらも可愛がろうともしているから、どちらかというと『人間の子供のように』接してしまっている。
「ベポ」
シルビが名前を呼ぶと聞こえたらしいベポが振り返った。それからもう一度ローの顔を見上げ、シルビの元へと寄ってくる。その身体を抱き上げて改めてローへと近付き、すぐ傍で腰を降ろした。
ローの手を掴んでベポの鼻面へ差し出す。動物らしく匂いを嗅いだベポがシルビを振り返るのに、防寒帽を少しずらして目を合わせた。
「覚えなさい。お前の恩人の匂いだぁ」
ベポが再びローの手の匂いを嗅ぐのに、シルビはローの手を離してベポを抱き直す。ベポの鼻面へ浮いたままの手にローを見れば、ローは無言で観察するように匂いを嗅いでいるベポを見下ろしていた。
「シャチとワカメに言われましたよ。ベポが懐いてくれねぇって」
「むしろお前がこんだけ懐かれてるほうが不思議だろ」
「この子が威嚇するのは『怖いから』なんですけどねぇ」
自分よりも大きいものに、頭上から迫られる恐怖。動物に近しい故の警戒心。多種族しかいないという孤独。普段クルーへ威嚇してしまうのも、彼らをまだ仲間だと認識できないからだ。
匂いを覚えたのかローの手へちょっかいを出そうとするベポを降ろして、シルビはベポを好きにさせる。ローの手へ近付いていくベポをその手でローが撫でた。けれども爪を立てて抵抗したり噛み付こうとしたりする気配は無い。
両前足で手を掴んで積極的に匂いを嗅ぎ、何を思ったのかシルビを振り返るベポに、シルビは『×××』で言いたい事を理解して思わず微笑んだ。
「そう。あったかい人だなぁ」
故郷の島で抱いて拾われてきたのは覚えていたらしい。ローの手を離してローの脚から腹へとよじ登りはじめたベポは、やがて安定した位置を見つけると丸くなってしまった。嗚呼この子はローへ対する警戒心をやっと消したのかと、この先のことを考えて安堵する。
撫でるより抱き締めるより何より、シャチ達はベポから警戒心を解かねばならない。その為にシルビは昼間の間ベポを放置している訳で。
「……もう少し昼寝していていいですよ」
「副船長のお墨付きじゃ仕方ねえな」
ベポの頭を撫でる船長に、シルビは今度こそ洗濯物を取り込む為に立ち上がった。
干していた洗濯物をそろそろ取り込もうと甲板へ出れば、ローが壁へ寄りかかって昼寝をしていた。船長が暇そうなのは航海に問題無しということなので許容しているが、出来れば昼寝ではなく夜にちゃんと寝て欲しいとシルビは思っている。
その壁へ寄りかかり寝ているローの脚には、ベポがしがみ付いて寝ているローを見上げていた。しがみ立ちにも見えなくも無いが、まだ後ろ足で立つのは難しい。
じっと寝ている船長を見上げているベポは、シロクマだ。でもシャチ達は下手にもう仲間意識をしているせいか、ベポをシロクマだと認識してないんじゃなかろうかとシルビは思っていた。矛盾しているが、ベポを仲間だと思いながらも可愛がろうともしているから、どちらかというと『人間の子供のように』接してしまっている。
「ベポ」
シルビが名前を呼ぶと聞こえたらしいベポが振り返った。それからもう一度ローの顔を見上げ、シルビの元へと寄ってくる。その身体を抱き上げて改めてローへと近付き、すぐ傍で腰を降ろした。
ローの手を掴んでベポの鼻面へ差し出す。動物らしく匂いを嗅いだベポがシルビを振り返るのに、防寒帽を少しずらして目を合わせた。
「覚えなさい。お前の恩人の匂いだぁ」
ベポが再びローの手の匂いを嗅ぐのに、シルビはローの手を離してベポを抱き直す。ベポの鼻面へ浮いたままの手にローを見れば、ローは無言で観察するように匂いを嗅いでいるベポを見下ろしていた。
「シャチとワカメに言われましたよ。ベポが懐いてくれねぇって」
「むしろお前がこんだけ懐かれてるほうが不思議だろ」
「この子が威嚇するのは『怖いから』なんですけどねぇ」
自分よりも大きいものに、頭上から迫られる恐怖。動物に近しい故の警戒心。多種族しかいないという孤独。普段クルーへ威嚇してしまうのも、彼らをまだ仲間だと認識できないからだ。
匂いを覚えたのかローの手へちょっかいを出そうとするベポを降ろして、シルビはベポを好きにさせる。ローの手へ近付いていくベポをその手でローが撫でた。けれども爪を立てて抵抗したり噛み付こうとしたりする気配は無い。
両前足で手を掴んで積極的に匂いを嗅ぎ、何を思ったのかシルビを振り返るベポに、シルビは『×××』で言いたい事を理解して思わず微笑んだ。
「そう。あったかい人だなぁ」
故郷の島で抱いて拾われてきたのは覚えていたらしい。ローの手を離してローの脚から腹へとよじ登りはじめたベポは、やがて安定した位置を見つけると丸くなってしまった。嗚呼この子はローへ対する警戒心をやっと消したのかと、この先のことを考えて安堵する。
撫でるより抱き締めるより何より、シャチ達はベポから警戒心を解かねばならない。その為にシルビは昼間の間ベポを放置している訳で。
「……もう少し昼寝していていいですよ」
「副船長のお墨付きじゃ仕方ねえな」
ベポの頭を撫でる船長に、シルビは今度こそ洗濯物を取り込む為に立ち上がった。