ワノ国編
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キッド視点
再び戻ってくることになってしまった囚人採掘場で、水責めから解放はされたものの拘束のせいで身動きが取れないでいたキッド達の傍に駆け寄ってきたのは、麦藁のルフィでもその仲間でも囚人でもなく、およそこんな場所にいるとは思えないような女だった。
女ではないと分かったのはそいつがキラーの名を呼んでからで、キッドより水責めが辛かったのか動けずにいたキラーの傍へ膝を突いて容態を確認しようとする姿に既視感を覚える。こんな美人ならそう簡単に忘れないだろうにと考えていれば、キラーを支え起こそうとする横顔に唐突に思い出した。
何故コイツがここにいるのかは分からない。かつてキラーとキッドを騙し獲物の賞金首を横取りした女装の男。
アレが男だとキッドが知ったのは、騒動が済んでから一番接触が多かったキラーに教えられてからで、それまでキッドはアレが女以外の何者でもないと思っていた。キラーも騒動の終盤、最後の別れる直前に気付かされたらしいくらいだ。それほどまでにヤツは完璧にキッド達を騙していた。
そうだ。コイツもスクラッチメン・アプーやバジル・ホーキンスの様にキッド達を“騙した”相手である。
「なんでテメェがここにいる――“アマネ”!」
怒鳴りつけた先でキラーの上体を助け起こした“アマネ”が振り向いた。紫色の瞳。黒い髪。声もどこかで聞いた覚えがある気がする。
「――俺が、男だったということはあの時分かっただろぉ?」
すぐに視線をキラーへ戻す男はキッドが怒っていることも意に介した様子すら無い。
「ファッ」
「なんか返事みてぇだなぁそれぇ。それはユースタスにも伝えてたぁ?」
「……キラーから聞いた。最初から最後まで騙されてたってな」
ちらりと麦藁のルフィ達が暴れ回っている様子を確認した男がキッドの前に投げ落とされたままだった鍵束を拾う。それからキッドの後ろへと回り込む。
「俺はあの時好きでキラーまで騙した訳じゃねぇ。だからちゃんと最後には男だって事をバラしたつもりで消えたんだよ。あの時キラーに男だってバレたら俺の獲物を横取りしただろぉ」
「フザけんなッ!」
「フザけてたらここでお前を助けてねぇよ! お前もなんで、なんでキラーをこんな目に遭わせてんだぁ」
「ッ――」
堅い音を立てて手錠が外された。軽くなった手首はそれでもすり傷でも出来ているのか僅かに痛む。
男はキッドの返事を待つことなくキッドの肩へ手を置いた。直後キッドの全身を濡らしていた水分が殆ど一瞬で蒸発する。
どうなっているのかと訊く前に、男はキッドの両足を拘束していた鎖に手を伸ばしていた。キラーが笑いながら咳き込んでいるのを聞いて、男はさっさとキラーの傍へと戻る。
再び戻ってくることになってしまった囚人採掘場で、水責めから解放はされたものの拘束のせいで身動きが取れないでいたキッド達の傍に駆け寄ってきたのは、麦藁のルフィでもその仲間でも囚人でもなく、およそこんな場所にいるとは思えないような女だった。
女ではないと分かったのはそいつがキラーの名を呼んでからで、キッドより水責めが辛かったのか動けずにいたキラーの傍へ膝を突いて容態を確認しようとする姿に既視感を覚える。こんな美人ならそう簡単に忘れないだろうにと考えていれば、キラーを支え起こそうとする横顔に唐突に思い出した。
何故コイツがここにいるのかは分からない。かつてキラーとキッドを騙し獲物の賞金首を横取りした女装の男。
アレが男だとキッドが知ったのは、騒動が済んでから一番接触が多かったキラーに教えられてからで、それまでキッドはアレが女以外の何者でもないと思っていた。キラーも騒動の終盤、最後の別れる直前に気付かされたらしいくらいだ。それほどまでにヤツは完璧にキッド達を騙していた。
そうだ。コイツもスクラッチメン・アプーやバジル・ホーキンスの様にキッド達を“騙した”相手である。
「なんでテメェがここにいる――“アマネ”!」
怒鳴りつけた先でキラーの上体を助け起こした“アマネ”が振り向いた。紫色の瞳。黒い髪。声もどこかで聞いた覚えがある気がする。
「――俺が、男だったということはあの時分かっただろぉ?」
すぐに視線をキラーへ戻す男はキッドが怒っていることも意に介した様子すら無い。
「ファッ」
「なんか返事みてぇだなぁそれぇ。それはユースタスにも伝えてたぁ?」
「……キラーから聞いた。最初から最後まで騙されてたってな」
ちらりと麦藁のルフィ達が暴れ回っている様子を確認した男がキッドの前に投げ落とされたままだった鍵束を拾う。それからキッドの後ろへと回り込む。
「俺はあの時好きでキラーまで騙した訳じゃねぇ。だからちゃんと最後には男だって事をバラしたつもりで消えたんだよ。あの時キラーに男だってバレたら俺の獲物を横取りしただろぉ」
「フザけんなッ!」
「フザけてたらここでお前を助けてねぇよ! お前もなんで、なんでキラーをこんな目に遭わせてんだぁ」
「ッ――」
堅い音を立てて手錠が外された。軽くなった手首はそれでもすり傷でも出来ているのか僅かに痛む。
男はキッドの返事を待つことなくキッドの肩へ手を置いた。直後キッドの全身を濡らしていた水分が殆ど一瞬で蒸発する。
どうなっているのかと訊く前に、男はキッドの両足を拘束していた鎖に手を伸ばしていた。キラーが笑いながら咳き込んでいるのを聞いて、男はさっさとキラーの傍へと戻る。