トットランド編
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ナミ視点
ペドロが死んでしまった。自分達を逃がす為の犠牲として。
知り合いが死んでしまうことを悲しまない仲間はいない。それはもちろん短い付き合いであっても変わらなかった。
悔やむように泣くブルックや大声をあげるチョッパー達の様に、ナミだって泣きたい。けれどもジンベエと状況がそれを許してはくれなかった。
せっかくペドロが作ってくれた逃亡のチャンスだ。まだ緊張の糸はきってはいけない。
「サンジ君達がカカオ島からこっちへ向かってくる約束だから……すれ違いは避けなきゃ! 船は面舵! 右舷で風を受けてまっすぐ西へ!」
ブルックが涙を拭ってコーラの補充に向かう。キャロットがマストへ上がって追っ手を確認しに行き、六時の方向から既にビッグマムが追いかけてきていると報告してきた。
足止めをしていたのはペドロでだけではなくペンギンも。
ハートの海賊団の副船長であるあの男は、ここへ来るまでに正直少しどころではなく説明不可能そうな力を見せてビッグマムの足止めをしてくれていたが、ママが追いかけてきているという事は彼さえも死んでしまったのかと思う。
そうだとすれは、ナミ達はミンク族だけではなくトラ男にも申し訳が立たない。
「――ナミ航海士」
だから、声が聞こえた時には少し安堵すらした。
「! ペンギ――ペンギン、君?」
「申し訳ねぇ。あんまり足止め出来なかったなぁ」
振り返った先に居たのはペンギンだけれどもペンギンだと思えない、黒い外套を身に着け腰にランタンを提げた人物である。水飴の雨が降る甲板で彼は船尾へと向かって歩き出す。
黒い外套にランタン。その特徴で記される賞金首を知っていた。
フードを外したその人物が海の上を歩いてくるビッグマムを見やる。被っていたはずの帽子は外していて、黒い長髪が雨で濡れてしまっていた。
紫色の瞳。その特徴を持つ賞金首を知っている。
「し、死告――!?」
「“シャイタン”! 何か策は無いんかァ!?」
舵の前にいたジンベエが“ペンギン”に向かって怒鳴った。黒い外套を身に纏ったペンギンがそれに静かに振り返る。
「今“俺”がビッグマムを倒す訳にはいかねぇ。『風を起こす』からそれに乗って少しでも先に行くしかねぇだろぉ」
「風向きは!」
「東風。操舵は任せてもぉ?」
ジンベエと話しながら歩き出したペンギンから黒い外套とランタンが粒子の様に分解して消えていった。
ペンギンが離れた船尾で、ナミはぺたりと座り込む。そんなことをしている場合では無いというのに。
「し――死告シャイタン……?」
ペドロが死んでしまった。自分達を逃がす為の犠牲として。
知り合いが死んでしまうことを悲しまない仲間はいない。それはもちろん短い付き合いであっても変わらなかった。
悔やむように泣くブルックや大声をあげるチョッパー達の様に、ナミだって泣きたい。けれどもジンベエと状況がそれを許してはくれなかった。
せっかくペドロが作ってくれた逃亡のチャンスだ。まだ緊張の糸はきってはいけない。
「サンジ君達がカカオ島からこっちへ向かってくる約束だから……すれ違いは避けなきゃ! 船は面舵! 右舷で風を受けてまっすぐ西へ!」
ブルックが涙を拭ってコーラの補充に向かう。キャロットがマストへ上がって追っ手を確認しに行き、六時の方向から既にビッグマムが追いかけてきていると報告してきた。
足止めをしていたのはペドロでだけではなくペンギンも。
ハートの海賊団の副船長であるあの男は、ここへ来るまでに正直少しどころではなく説明不可能そうな力を見せてビッグマムの足止めをしてくれていたが、ママが追いかけてきているという事は彼さえも死んでしまったのかと思う。
そうだとすれは、ナミ達はミンク族だけではなくトラ男にも申し訳が立たない。
「――ナミ航海士」
だから、声が聞こえた時には少し安堵すらした。
「! ペンギ――ペンギン、君?」
「申し訳ねぇ。あんまり足止め出来なかったなぁ」
振り返った先に居たのはペンギンだけれどもペンギンだと思えない、黒い外套を身に着け腰にランタンを提げた人物である。水飴の雨が降る甲板で彼は船尾へと向かって歩き出す。
黒い外套にランタン。その特徴で記される賞金首を知っていた。
フードを外したその人物が海の上を歩いてくるビッグマムを見やる。被っていたはずの帽子は外していて、黒い長髪が雨で濡れてしまっていた。
紫色の瞳。その特徴を持つ賞金首を知っている。
「し、死告――!?」
「“シャイタン”! 何か策は無いんかァ!?」
舵の前にいたジンベエが“ペンギン”に向かって怒鳴った。黒い外套を身に纏ったペンギンがそれに静かに振り返る。
「今“俺”がビッグマムを倒す訳にはいかねぇ。『風を起こす』からそれに乗って少しでも先に行くしかねぇだろぉ」
「風向きは!」
「東風。操舵は任せてもぉ?」
ジンベエと話しながら歩き出したペンギンから黒い外套とランタンが粒子の様に分解して消えていった。
ペンギンが離れた船尾で、ナミはぺたりと座り込む。そんなことをしている場合では無いというのに。
「し――死告シャイタン……?」