原作前日常編
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
小熊視点
ベポが覚えている一番古い記憶は赤い地面と白い地面、それから青いものが飛んでいる光景だ。ベポはその青いものを追い掛けて、追いかけた先で今よりも少し若いキャプテンに見つかった。
その時はまだ人語を理解も喋る事も出来なくて、それでもいきなり出会った『人間』に驚いたのを覚えている。ヒョイと抱え上げられて目線を合わせられて、怖かったけれど追いかけていた青いものも気になったから、必死に話しかけていた。
『青いものがいっちゃうよ。放してよ!』
「……シロクマ?」
青いものを追いかけなくちゃと思ったのに、小さな白クマだったベポは碌に抵抗も出来ないまま船へ連れていかれたのだ。初めて見る岩よりも固そうなものへ乗り込むのが怖くて、乗り込んだ先に沢山の『人間』が居たのも怖かった。
「キャプテン、ドウシタンデスカイ、ソレ」
「ヒロッタ」
『人間』が何かを話しているのに、ベポも何度も話しかける。目だけは天井近くを飛んでいる青いものに向けて。
『青いのがそこに居るよ! 逃げちゃうよ、放してよ。捕まえなきゃ』
何度言ったって幼児の言葉を理解できる者なんてそこにはいなかったから、無駄な事でしかなかったけれど、ベポも必死だった。どうしてだか、あの青いのを捕まえなければと思ったのだ。
『放して! 逃げちゃう! 放してよ!』
「ナンカイヤガッテマセン? ソノシロクマ」
青いのが天井から、扉へと移動する。そうして開けられた扉から入ってきた『人間』の肩に止まった。
「シャチガヨビニキタンデスケド、ナニカアッタンデスカ?」
「チョウドイイトコニキタ。ヒロッタンダ」
「……ヒジョウショクトシテ?」
「クワネェヨッ!」
ベポを抱いていた『人間』が、入ってきた『人間』へとベポを差し出す。帽子のせいで顔の見えないその『人間』は、ベポを受け取ると優しく抱き締めた。
あ、紫色の目だ。と思うとその肩から青いものがフワリと浮き上がった。
『青いの……』
「……。お腹空いてるかぁ?」
不思議と何を言っているのか分かって、帽子の下の紫の目を見つめて頷く。確かにお腹は空いていた。
それから甘い温めのミルクを貰って、安心して眠った後に『ベポ』という名前をもらって、ベポはハートの海賊団の一員となったのだ。
後になってその時の事をキャプテンに聞くと、
『お前はオレが拾ったのにペンギンにばっかり懐いてたな。オレが抱いてる間は煩かったのに、ペンギンに渡すとピタリと鳴き止むんだもんな』
と愚痴から始まって話が長くなった。
バンダナにあの時の『青いの』のことを尋ねると、
『あの時青いものなんて何も無かったよ。強いて言えばペンちゃんの帽子ぐらいだったけれど……もしかしたらベポの青い鳥だったのかもねぇ』
と言われた。
青い鳥って何だろうとシャチに尋ねても知らないと言われて、結局ペンギンのところへ行って、『青い鳥』っていうのは幸せの象徴だと教えてもらったのだ。
「オレの青い鳥はまだ船に乗ってるのかな?」
「……そうだなぁ、乗ってるんじゃねぇの? 幸せってのは近くにあるんだぜぇ」
そう言ってペンギンは少し寂しげに笑った。
ベポが覚えている一番古い記憶は赤い地面と白い地面、それから青いものが飛んでいる光景だ。ベポはその青いものを追い掛けて、追いかけた先で今よりも少し若いキャプテンに見つかった。
その時はまだ人語を理解も喋る事も出来なくて、それでもいきなり出会った『人間』に驚いたのを覚えている。ヒョイと抱え上げられて目線を合わせられて、怖かったけれど追いかけていた青いものも気になったから、必死に話しかけていた。
『青いものがいっちゃうよ。放してよ!』
「……シロクマ?」
青いものを追いかけなくちゃと思ったのに、小さな白クマだったベポは碌に抵抗も出来ないまま船へ連れていかれたのだ。初めて見る岩よりも固そうなものへ乗り込むのが怖くて、乗り込んだ先に沢山の『人間』が居たのも怖かった。
「キャプテン、ドウシタンデスカイ、ソレ」
「ヒロッタ」
『人間』が何かを話しているのに、ベポも何度も話しかける。目だけは天井近くを飛んでいる青いものに向けて。
『青いのがそこに居るよ! 逃げちゃうよ、放してよ。捕まえなきゃ』
何度言ったって幼児の言葉を理解できる者なんてそこにはいなかったから、無駄な事でしかなかったけれど、ベポも必死だった。どうしてだか、あの青いのを捕まえなければと思ったのだ。
『放して! 逃げちゃう! 放してよ!』
「ナンカイヤガッテマセン? ソノシロクマ」
青いのが天井から、扉へと移動する。そうして開けられた扉から入ってきた『人間』の肩に止まった。
「シャチガヨビニキタンデスケド、ナニカアッタンデスカ?」
「チョウドイイトコニキタ。ヒロッタンダ」
「……ヒジョウショクトシテ?」
「クワネェヨッ!」
ベポを抱いていた『人間』が、入ってきた『人間』へとベポを差し出す。帽子のせいで顔の見えないその『人間』は、ベポを受け取ると優しく抱き締めた。
あ、紫色の目だ。と思うとその肩から青いものがフワリと浮き上がった。
『青いの……』
「……。お腹空いてるかぁ?」
不思議と何を言っているのか分かって、帽子の下の紫の目を見つめて頷く。確かにお腹は空いていた。
それから甘い温めのミルクを貰って、安心して眠った後に『ベポ』という名前をもらって、ベポはハートの海賊団の一員となったのだ。
後になってその時の事をキャプテンに聞くと、
『お前はオレが拾ったのにペンギンにばっかり懐いてたな。オレが抱いてる間は煩かったのに、ペンギンに渡すとピタリと鳴き止むんだもんな』
と愚痴から始まって話が長くなった。
バンダナにあの時の『青いの』のことを尋ねると、
『あの時青いものなんて何も無かったよ。強いて言えばペンちゃんの帽子ぐらいだったけれど……もしかしたらベポの青い鳥だったのかもねぇ』
と言われた。
青い鳥って何だろうとシャチに尋ねても知らないと言われて、結局ペンギンのところへ行って、『青い鳥』っていうのは幸せの象徴だと教えてもらったのだ。
「オレの青い鳥はまだ船に乗ってるのかな?」
「……そうだなぁ、乗ってるんじゃねぇの? 幸せってのは近くにあるんだぜぇ」
そう言ってペンギンは少し寂しげに笑った。