トットランド編
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夢主視点
お茶会の開演まで二時間半。その短い準備の間だけでもフランを寝かせて戻ってくるとルフィ達が居なくなっていた。
「ルフィ君達は?」
「なんか動物を捕まえに行ったぜ?」
何故このタイミングで動物を捕まえに行くのか。相変わらずルフィの考えは読めない。
準備をするにしても下手にファイアタンク海賊団の手伝いも出来ず、これなら体力温存の為に寝させてもらおうかと考えていると、先程同じ故郷の者だと判明したナリオが話しかけてきた。
「あの、相談役」
「んぁ?」
「いくつか質問をしてよろしいでしょうか」
改めて人が減ってから本題を持ってきたところに有能さを感じる。一応彼の兄は故郷の幹部の部下だった男だ。弟である彼にもそれなりの才能があって当然といえば当然だが。
周囲が忙しく着替えだの持ち場の確認だのと騒いでこちらに注意が向いていないのを確かめ、ナリオへ質問を促す。
「『シャイタン』であることを麦藁の一味には仰っていられないので?」
率直だった。
「一応ジンベエとブルック楽士は知ってる。でも麦藁やハートの海賊団の殆どのクルーにとって俺は『シャイタンの子孫』ということにしてる」
「ああ……成る程理解しました。ハートの海賊団や麦藁を守る手段なのですね」
「君凄く頭の回転早くねぇ?」
驚いて訊ね返せばナリオが苦笑する。
「兄やヴェスプッチには小賢しいと言われておりました。そのせいで騙されて海原に放り出されたんです。海流に乗って流されて故郷の位置もまともに覚えていなくて……そこを頭目へ助けられて」
用がなければ故郷から滅多に出ない国民性なので、自身の住んでいる島が地図上のどの辺りにあるのかを知っている国民がそもそも少なく、ナリオが戻れなかったのも納得はいく。
それに海へ放り出されたということは暗殺されかけたということで、その状態で生きて故郷へ戻っても再び命を狙われるだけだ。彼ならそんなことは重々理解していたのだろう。だから故郷には戻らなかった。
戻らなかった間に、彼の兄は始末されたのである。
「私は雷の炎を灯す事しか出来ない未熟者でした。武器に覚えがあるわけでもなく匣兵器が扱えるでもない。今だってファイアタンクで足を引っ張ってばかりです」
「足を引っ張っているだけならベッジはあんな自慢げに君を紹介しねぇと思うよ」
「あの方は優しいのです。ですから私はあの方をこんなところで終わらせたくはありません」
握られた手の指に填められた指輪。
「あの国を出て、炎の力を使ってあの方に尽くす私は、愚かでしょうか?」
「別に愚かではねぇよ。それが君の選んだ人生だっただけだということだろぉ。ボンゴレは国の破滅に至る行為を企てる者は許さねぇけど、それ以外は自由だよ」
「自由……」
「でなけりゃ相談役な俺がどうして海に出られてんだぁって話になる。まぁ割と制約はあったけど自由でも許される時代だよ今はぁ」
自分の意志で出たのと放り出されたのとでは感覚が違うだろうが、慰めるつもりでそう言うとナリオは真顔になって詰め寄ってきた。
「昔は制約があったということですか? というか確かに相談役としての仕事はどうなされたのです? 時代の流れでうやむやになさってはおりませんか?」
小賢しいと言われたのが少し理解できる。これは小賢しいというか頭が固いのか微妙なところだが、ヴェスプッチのところにいた時もこうして糾弾していたのかもしれない。
ただツナヨシの下にいたとすればそれなりに活かされていただろうとは断言出来る。玉石混合なのがあの青年のいいところだ。
ナリオに用事があるのだろうファイアタンクの部下達がナリオを呼ぶ。それにナリオが名残惜しげに頭を下げて去っていくのにシルビは息を吐いた。
「ヨホホ、流石のシャイタンも故郷の方には形無しですか?」
「ブルック楽士」
話しかけられて振り返ればブルックが紅茶を片手に佇んでいる。
「ルフィ君達と動物を捕まえにいったのでは?」
「私には別にやることがありましてネ」
骨なので睡眠が必要なのか分からないが、休息をとって明日に備えておくのがやることなのかもしれない。
お茶会という呼称とはいえ結婚式なのだからと、着る服はフォーマルなものをファイアタンクが用意してくれる手筈になっている。とすればシルビ個人にももう体力を温存しておく以外にやることがなかった。
「トラ男さんを貶されるのはお嫌いですか?」
「え?」
「先ほどシーザーさんが騒いだ時に」
「嗚呼……。そうですね。船長を貶されるのは嫌です。でもそれは貴方も同じではぁ?」
海賊船に限らず船旅をする者なら共通の考え方だろうと示したところで、ブルックが音を立てて紅茶を啜る。
「前々から少々不思議だったのですが、ペンギンさんはトラ男さんが好きでいらっしゃるのですね」
「? はぁ、そりゃ、まぁ、好きですけどぉ……」
「ヨホホホ! 私もルフィさんが好きですよ。ええ、大好きですとも!」
船員が船長を慕っているのはどこの船でも当たり前だ。
「でしたら、もう少しトラ男さんを信用してもよろしいのでは?」
お茶会の開演まで二時間半。その短い準備の間だけでもフランを寝かせて戻ってくるとルフィ達が居なくなっていた。
「ルフィ君達は?」
「なんか動物を捕まえに行ったぜ?」
何故このタイミングで動物を捕まえに行くのか。相変わらずルフィの考えは読めない。
準備をするにしても下手にファイアタンク海賊団の手伝いも出来ず、これなら体力温存の為に寝させてもらおうかと考えていると、先程同じ故郷の者だと判明したナリオが話しかけてきた。
「あの、相談役」
「んぁ?」
「いくつか質問をしてよろしいでしょうか」
改めて人が減ってから本題を持ってきたところに有能さを感じる。一応彼の兄は故郷の幹部の部下だった男だ。弟である彼にもそれなりの才能があって当然といえば当然だが。
周囲が忙しく着替えだの持ち場の確認だのと騒いでこちらに注意が向いていないのを確かめ、ナリオへ質問を促す。
「『シャイタン』であることを麦藁の一味には仰っていられないので?」
率直だった。
「一応ジンベエとブルック楽士は知ってる。でも麦藁やハートの海賊団の殆どのクルーにとって俺は『シャイタンの子孫』ということにしてる」
「ああ……成る程理解しました。ハートの海賊団や麦藁を守る手段なのですね」
「君凄く頭の回転早くねぇ?」
驚いて訊ね返せばナリオが苦笑する。
「兄やヴェスプッチには小賢しいと言われておりました。そのせいで騙されて海原に放り出されたんです。海流に乗って流されて故郷の位置もまともに覚えていなくて……そこを頭目へ助けられて」
用がなければ故郷から滅多に出ない国民性なので、自身の住んでいる島が地図上のどの辺りにあるのかを知っている国民がそもそも少なく、ナリオが戻れなかったのも納得はいく。
それに海へ放り出されたということは暗殺されかけたということで、その状態で生きて故郷へ戻っても再び命を狙われるだけだ。彼ならそんなことは重々理解していたのだろう。だから故郷には戻らなかった。
戻らなかった間に、彼の兄は始末されたのである。
「私は雷の炎を灯す事しか出来ない未熟者でした。武器に覚えがあるわけでもなく匣兵器が扱えるでもない。今だってファイアタンクで足を引っ張ってばかりです」
「足を引っ張っているだけならベッジはあんな自慢げに君を紹介しねぇと思うよ」
「あの方は優しいのです。ですから私はあの方をこんなところで終わらせたくはありません」
握られた手の指に填められた指輪。
「あの国を出て、炎の力を使ってあの方に尽くす私は、愚かでしょうか?」
「別に愚かではねぇよ。それが君の選んだ人生だっただけだということだろぉ。ボンゴレは国の破滅に至る行為を企てる者は許さねぇけど、それ以外は自由だよ」
「自由……」
「でなけりゃ相談役な俺がどうして海に出られてんだぁって話になる。まぁ割と制約はあったけど自由でも許される時代だよ今はぁ」
自分の意志で出たのと放り出されたのとでは感覚が違うだろうが、慰めるつもりでそう言うとナリオは真顔になって詰め寄ってきた。
「昔は制約があったということですか? というか確かに相談役としての仕事はどうなされたのです? 時代の流れでうやむやになさってはおりませんか?」
小賢しいと言われたのが少し理解できる。これは小賢しいというか頭が固いのか微妙なところだが、ヴェスプッチのところにいた時もこうして糾弾していたのかもしれない。
ただツナヨシの下にいたとすればそれなりに活かされていただろうとは断言出来る。玉石混合なのがあの青年のいいところだ。
ナリオに用事があるのだろうファイアタンクの部下達がナリオを呼ぶ。それにナリオが名残惜しげに頭を下げて去っていくのにシルビは息を吐いた。
「ヨホホ、流石のシャイタンも故郷の方には形無しですか?」
「ブルック楽士」
話しかけられて振り返ればブルックが紅茶を片手に佇んでいる。
「ルフィ君達と動物を捕まえにいったのでは?」
「私には別にやることがありましてネ」
骨なので睡眠が必要なのか分からないが、休息をとって明日に備えておくのがやることなのかもしれない。
お茶会という呼称とはいえ結婚式なのだからと、着る服はフォーマルなものをファイアタンクが用意してくれる手筈になっている。とすればシルビ個人にももう体力を温存しておく以外にやることがなかった。
「トラ男さんを貶されるのはお嫌いですか?」
「え?」
「先ほどシーザーさんが騒いだ時に」
「嗚呼……。そうですね。船長を貶されるのは嫌です。でもそれは貴方も同じではぁ?」
海賊船に限らず船旅をする者なら共通の考え方だろうと示したところで、ブルックが音を立てて紅茶を啜る。
「前々から少々不思議だったのですが、ペンギンさんはトラ男さんが好きでいらっしゃるのですね」
「? はぁ、そりゃ、まぁ、好きですけどぉ……」
「ヨホホホ! 私もルフィさんが好きですよ。ええ、大好きですとも!」
船員が船長を慕っているのはどこの船でも当たり前だ。
「でしたら、もう少しトラ男さんを信用してもよろしいのでは?」