トットランド編
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ベッジ視点
その男は部下達の話では『女のようだ』という評価だった。ベッジも実際に立っていたそいつを見て『女々しそうな野郎だな』と思ったくらいである。
麦藁の一味と行動を共にしていた男だ。ただ一緒にいる元七武海のジンベエの様に顔を知っている者でもなく、ミンク族の様に何かの動物に似た容姿という訳でもない。
どこか見覚えのある白黒斑のフワフワした帽子を目深に被って顔を書くし、けれども黒い長髪を惜しげもなく流している。麦藁の一味にいる航海士の女やウサギのミンクの様に戦う細身の者など珍しくはないが、あまり戦闘向きではなさそうだなと考えていた。
「――誰を殺すってぇ?」
それが、トラファルガーの名前が出た途端騒いでいたシーザーの背後へと立ちその首筋にナイフの刃先を突きつけている。あまりに前触れの無い行動に、部下達どころかベッジ自身、麦藁の一味ですら反応出来ていなかった。
「ぉ、――?」
必ず殺すと、の『と』の音を発した口のままシーザーは動けなくなっている。ガスガスの実の能力者であるのだからそんなナイフなど煙に巻くことなど容易いだろうにそれもせず、自分の身に何が起こったのかをじっくりと認識しようとしているようだった。
やっと状況を理解したとばかりにジンベエが慌てて立ち上がりかけるのを押さえて、麦藁の一味の一人であるガイコツがそいつへ声を掛ける。
「ペンギンさん。トラ男さんが殺されるワケありませんよ」
トラ男、とはトラファルガーの事だろうかと思う。ガイコツの言葉を聞いてシーザーの首筋からナイフを引いて鞘へ納めた男が、ゆっくりと被っていた帽子を脱ぎベッジへ向けて頭を下げてきた。
「話し合いの場だというのに突然の暴挙を失礼いたしました。我らが船長に対する脅迫の言葉に思わず動いてしまった次第」
「我らが船長?」
「麦藁の一味と海賊同盟を組んでいるハートの海賊団副船長。ペンギンと呼ばれております。トラファルガーは我々の船長ですので貶されて大人しくしていられる程寛容ではいられなかったので」
言いながら僅かに顔が上げられ珍しい紫色の眼がシーザーを睨む。なるほど主人を貶されて怒らない部下はいないだろう。ベッジの部下にも当然そういうところはある。
ならば悪いのはシーザーの方だ。
「ボスを貶されて怒らねェ部下は禄でもねェ奴だ。お前の行動は不問にしてやる」
「ありがとうございます」
穏やかに礼を言って元居た位置へ戻っていくペンギンにジンベエとガイコツが何とも言えない顔をしていた。暴挙に呆れているというよりそれはペンギンが何かしでかしやしないかと“ハラハラしている”様にも思える。
ペンギンには何かある、とだけベッジは心に留めることにした。
その男は部下達の話では『女のようだ』という評価だった。ベッジも実際に立っていたそいつを見て『女々しそうな野郎だな』と思ったくらいである。
麦藁の一味と行動を共にしていた男だ。ただ一緒にいる元七武海のジンベエの様に顔を知っている者でもなく、ミンク族の様に何かの動物に似た容姿という訳でもない。
どこか見覚えのある白黒斑のフワフワした帽子を目深に被って顔を書くし、けれども黒い長髪を惜しげもなく流している。麦藁の一味にいる航海士の女やウサギのミンクの様に戦う細身の者など珍しくはないが、あまり戦闘向きではなさそうだなと考えていた。
「――誰を殺すってぇ?」
それが、トラファルガーの名前が出た途端騒いでいたシーザーの背後へと立ちその首筋にナイフの刃先を突きつけている。あまりに前触れの無い行動に、部下達どころかベッジ自身、麦藁の一味ですら反応出来ていなかった。
「ぉ、――?」
必ず殺すと、の『と』の音を発した口のままシーザーは動けなくなっている。ガスガスの実の能力者であるのだからそんなナイフなど煙に巻くことなど容易いだろうにそれもせず、自分の身に何が起こったのかをじっくりと認識しようとしているようだった。
やっと状況を理解したとばかりにジンベエが慌てて立ち上がりかけるのを押さえて、麦藁の一味の一人であるガイコツがそいつへ声を掛ける。
「ペンギンさん。トラ男さんが殺されるワケありませんよ」
トラ男、とはトラファルガーの事だろうかと思う。ガイコツの言葉を聞いてシーザーの首筋からナイフを引いて鞘へ納めた男が、ゆっくりと被っていた帽子を脱ぎベッジへ向けて頭を下げてきた。
「話し合いの場だというのに突然の暴挙を失礼いたしました。我らが船長に対する脅迫の言葉に思わず動いてしまった次第」
「我らが船長?」
「麦藁の一味と海賊同盟を組んでいるハートの海賊団副船長。ペンギンと呼ばれております。トラファルガーは我々の船長ですので貶されて大人しくしていられる程寛容ではいられなかったので」
言いながら僅かに顔が上げられ珍しい紫色の眼がシーザーを睨む。なるほど主人を貶されて怒らない部下はいないだろう。ベッジの部下にも当然そういうところはある。
ならば悪いのはシーザーの方だ。
「ボスを貶されて怒らねェ部下は禄でもねェ奴だ。お前の行動は不問にしてやる」
「ありがとうございます」
穏やかに礼を言って元居た位置へ戻っていくペンギンにジンベエとガイコツが何とも言えない顔をしていた。暴挙に呆れているというよりそれはペンギンが何かしでかしやしないかと“ハラハラしている”様にも思える。
ペンギンには何かある、とだけベッジは心に留めることにした。