原作前日常編
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夢主視点
シャチに『食べ方が綺麗だ』と言われた。意識した事はないがそうなのだろうかと思ったが、シャチが先に食べ終えていなくなってからフォークにパスタを巻こうとして、その前提が違っている事に気付いた。
素の食べ方が綺麗なのではない。『目の前にシャチが居たから綺麗に食べていた』のだ。
「……何だこの熱心教育」
呟きが聞こえたらしいワカメが顔を上げるのに何でもないと返す。
本人が言っていたように、シャチへ犬食いするなといった最低限のマナーを教え込んだのはシルビとバンダナだ。言葉で言うだけでは不安だったので、シャチと一緒に食べる時は綺麗に食べて自分の食べ方を省みさせる作戦を考え、暫く船長のローまで巻き込んで実践していた覚えがある。
どうも今に至るまで、シルビはその時の癖が抜けていなかったらしい。
シルビだって食事のマナーが完璧という訳ではなかった。シャチへ言った通り最初の人生の幼少期は、母親が亡くなった後は食事に困ってパンを盗んだ事だってあったし、その後親友の二世が食事の仕方一つでも相手に貶される材料となる、裏社会の上流階級に所属していた為、それに付き合っていたら自然とマナーを覚えたのである。
とはいえ普段は、ごく普通の食事をしているつもりだった。確かにTPOを気にする事はあるが日頃まで気にしていない。それを言えば船長であるローだって状況に合わせた食べ方をするのだ。
シルビの食事はシャチが言うほど綺麗ではない。
「変な誤解が生まれてる気がする……」
「さっきの話? まあ確かにペンギンってシャチがいない時は結構マナーとか気にしてないよな」
「気付いてたなら言って欲しかったぁ」
「え、意識してたんだと思ってたけど違うの?」
「今気付くまで無意識だったぜぇ」
「それはそれで逆に凄いよな」
マナーというのは無意識に出るほど叩き込んでしまえば後が楽だが、どうにもシルビは自分に対し変な叩き込み方をしている気がする。それともコレが環境のせいというものか。
ともあれ食べ方が綺麗だと言われている内は、別に治す必要は無いかと思うことにした。
結論と言うか問題を放り投げて残りのパスタを口に運ぶ。ワカメがそれを眺めているが気にしないことにした。
気にしたら多分負けだ。
「……ペンギンってさ」
「言うなぁ」
「ペンギンって素でもやっぱり食べ方綺麗だろ」
「マフィアのボスと高級レストラン行ったり王族と飯食ったり財閥のトップとパーティーに連れて行かれたりしてりゃ嫌でも綺麗に食えるようにならなけりゃなんねぇんだよぉおおおおおおお!」
と、言えたらどんなに楽か。
当然言える訳が無いので、シルビは無理矢理パスタと一緒にその言葉を飲み込んだ。
シャチに『食べ方が綺麗だ』と言われた。意識した事はないがそうなのだろうかと思ったが、シャチが先に食べ終えていなくなってからフォークにパスタを巻こうとして、その前提が違っている事に気付いた。
素の食べ方が綺麗なのではない。『目の前にシャチが居たから綺麗に食べていた』のだ。
「……何だこの熱心教育」
呟きが聞こえたらしいワカメが顔を上げるのに何でもないと返す。
本人が言っていたように、シャチへ犬食いするなといった最低限のマナーを教え込んだのはシルビとバンダナだ。言葉で言うだけでは不安だったので、シャチと一緒に食べる時は綺麗に食べて自分の食べ方を省みさせる作戦を考え、暫く船長のローまで巻き込んで実践していた覚えがある。
どうも今に至るまで、シルビはその時の癖が抜けていなかったらしい。
シルビだって食事のマナーが完璧という訳ではなかった。シャチへ言った通り最初の人生の幼少期は、母親が亡くなった後は食事に困ってパンを盗んだ事だってあったし、その後親友の二世が食事の仕方一つでも相手に貶される材料となる、裏社会の上流階級に所属していた為、それに付き合っていたら自然とマナーを覚えたのである。
とはいえ普段は、ごく普通の食事をしているつもりだった。確かにTPOを気にする事はあるが日頃まで気にしていない。それを言えば船長であるローだって状況に合わせた食べ方をするのだ。
シルビの食事はシャチが言うほど綺麗ではない。
「変な誤解が生まれてる気がする……」
「さっきの話? まあ確かにペンギンってシャチがいない時は結構マナーとか気にしてないよな」
「気付いてたなら言って欲しかったぁ」
「え、意識してたんだと思ってたけど違うの?」
「今気付くまで無意識だったぜぇ」
「それはそれで逆に凄いよな」
マナーというのは無意識に出るほど叩き込んでしまえば後が楽だが、どうにもシルビは自分に対し変な叩き込み方をしている気がする。それともコレが環境のせいというものか。
ともあれ食べ方が綺麗だと言われている内は、別に治す必要は無いかと思うことにした。
結論と言うか問題を放り投げて残りのパスタを口に運ぶ。ワカメがそれを眺めているが気にしないことにした。
気にしたら多分負けだ。
「……ペンギンってさ」
「言うなぁ」
「ペンギンって素でもやっぱり食べ方綺麗だろ」
「マフィアのボスと高級レストラン行ったり王族と飯食ったり財閥のトップとパーティーに連れて行かれたりしてりゃ嫌でも綺麗に食えるようにならなけりゃなんねぇんだよぉおおおおおおお!」
と、言えたらどんなに楽か。
当然言える訳が無いので、シルビは無理矢理パスタと一緒にその言葉を飲み込んだ。