原作前日常編
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シャチ視点
海賊であるにも関わらず、ペンギンの食事のマナーは綺麗だと思う。
シャチは生憎スラムの浮浪者に近い暮らしだったから、食事に限らず全体的にマナーなんてものは持っていない。ハートのクルーになってから最低限のマナーを教えてもらっただけだ。興味があるなら聞けば教えると言われているが、『海賊』なら少しくらい粗暴でもいいと思うので聞いていない。
そんなシャチが見ていてもペンギンの食事の仕方は何というか、気品があるというか雰囲気がそこだけ違う。食べ方を見ていても船長達と殆ど変わらないというのに、何かが違うのだ。
「ペンギンって綺麗な食べ方するよな」
「そうかぁ?」
「イルカもだけど、イルカは小さい頃から教え込まれたって言ってた」
「貴族とか有力者はそうする事は多いなぁ」
「ペンギンも貴族なの?」
水を飲んだペンギンがグラスを置いて苦笑する。
「『貴族』ではねぇよ。食う物に困ってパンを盗んだ事もある」
「意外だね」
「でも……上流階級の知り合いが居たから、そいつ等と飯食ってたら自然と覚えたのかもなぁ」
「へー」
今日の昼食であるパスタを綺麗にフォークへまとめる手付きも綺麗だ。シャチやワカメだとどうしても最後のほうがぶら下がったままになってしまうのに、ペンギンやイルカはそんなことが無い。
食べるのを見ているだけでも時間を忘れてしまうような食べ方をする。
上流階級の知り合いがいる事も驚きだがそれはさておき、一緒に食べていたらマナーが良くなったというなら、シャチもペンギンと食事をしていたらいつか誰かに『マナーが良い』と言われるような事があるのだろうか。
それを想像したらどうにも変な自分だった。
「俺としては行儀が良かろうが悪かろうが、料理を美味しそうに食ってくれりゃ文句は無ぇと思うぜぇ。それに俺だって、肘を突いて食ったり零したりするしなぁ」
「でもペンギンはオレにマナー教えたじゃん」
「いくら美味しい料理でも、犬食いや戻すくらいがっつくのは駄目だろぉ」
「あーそれオレも言われた」
自分の分の食事を持って来たワカメがシャチの隣へ座る。ワカメの食べ方はシャチより綺麗だがバンダナほどノンビリしている訳でもなく、あえて言うならせっかちだ。
「オレは『誰も取らないからゆっくり食え』って言われたな」
「そりゃ器を抱えて食ってたからだぁ。鍋を抱えた時はどうしようかと」
「だって美味しかったし、肉だったし!」
「仕方なく他の三人用に急遽もう一つ鍋を用意したんだよなぁ。……今でもあれが治ってなかったらワカメはもっと太ってたかもなぁ」
「……治ってよかった。マジで」
海賊であるにも関わらず、ペンギンの食事のマナーは綺麗だと思う。
シャチは生憎スラムの浮浪者に近い暮らしだったから、食事に限らず全体的にマナーなんてものは持っていない。ハートのクルーになってから最低限のマナーを教えてもらっただけだ。興味があるなら聞けば教えると言われているが、『海賊』なら少しくらい粗暴でもいいと思うので聞いていない。
そんなシャチが見ていてもペンギンの食事の仕方は何というか、気品があるというか雰囲気がそこだけ違う。食べ方を見ていても船長達と殆ど変わらないというのに、何かが違うのだ。
「ペンギンって綺麗な食べ方するよな」
「そうかぁ?」
「イルカもだけど、イルカは小さい頃から教え込まれたって言ってた」
「貴族とか有力者はそうする事は多いなぁ」
「ペンギンも貴族なの?」
水を飲んだペンギンがグラスを置いて苦笑する。
「『貴族』ではねぇよ。食う物に困ってパンを盗んだ事もある」
「意外だね」
「でも……上流階級の知り合いが居たから、そいつ等と飯食ってたら自然と覚えたのかもなぁ」
「へー」
今日の昼食であるパスタを綺麗にフォークへまとめる手付きも綺麗だ。シャチやワカメだとどうしても最後のほうがぶら下がったままになってしまうのに、ペンギンやイルカはそんなことが無い。
食べるのを見ているだけでも時間を忘れてしまうような食べ方をする。
上流階級の知り合いがいる事も驚きだがそれはさておき、一緒に食べていたらマナーが良くなったというなら、シャチもペンギンと食事をしていたらいつか誰かに『マナーが良い』と言われるような事があるのだろうか。
それを想像したらどうにも変な自分だった。
「俺としては行儀が良かろうが悪かろうが、料理を美味しそうに食ってくれりゃ文句は無ぇと思うぜぇ。それに俺だって、肘を突いて食ったり零したりするしなぁ」
「でもペンギンはオレにマナー教えたじゃん」
「いくら美味しい料理でも、犬食いや戻すくらいがっつくのは駄目だろぉ」
「あーそれオレも言われた」
自分の分の食事を持って来たワカメがシャチの隣へ座る。ワカメの食べ方はシャチより綺麗だがバンダナほどノンビリしている訳でもなく、あえて言うならせっかちだ。
「オレは『誰も取らないからゆっくり食え』って言われたな」
「そりゃ器を抱えて食ってたからだぁ。鍋を抱えた時はどうしようかと」
「だって美味しかったし、肉だったし!」
「仕方なく他の三人用に急遽もう一つ鍋を用意したんだよなぁ。……今でもあれが治ってなかったらワカメはもっと太ってたかもなぁ」
「……治ってよかった。マジで」