トットランド編
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夢主視点
ナミの指示で船に面した部分だけ液体化している水あめの海を少しずつだが進んでいく。進路を一気に活性させて液体化させることも考えたが、それよりかこの方が効率は良かった。
進むことで船に面する水あめだけが活性化して液体へ戻る。だから固まっている海面へ降りて船を引っ張る方が早いようだと気付いてからは、全員で海上へ降りて船を引っ張っていた。海アリも眠らせただけなので、目を覚ませば再び襲ってくるだろうことを考えると一刻も早くこの海域を脱出したい。
『晴の炎』を灯して水あめを液体化させているシルビは、ナミ直々に体力温存をしろとその牽引メンバーから外されていた。
「手伝えるのになぁ」
「まあまあ。手足を繋いだばかりでもあるんですから、無茶はいけませんよペンギンさん」
船に繋いだロープを引っ張りながらブルックが慰めてくる。彼はシルビの正体が『死告シャイタン』だと気付きはしても、とりあえずシルビを『ペンギン』と呼び続けてくれることにしたらしい。それは非常に有り難かった。
「そうだぞペンギン! 繋いだ部分がまだ治ってなかったら大変だ。外側が綺麗でも骨とかはまだ分からないんだからな!」
「同じく負傷してたペドロはどうなんだぁ?」
「急いでいるんだ。おれは問題ない。それに海アリが目覚めたら厄介だからな。おれは昔あの海アリたちに船を食われた」
ロープを引っ張るペドロの視線の先では、ブルックが眠らせたらしい海アリの大群が腹をさらして眠っている。アレを数十匹か手懐けて船を引っ張らせることが出来たら大層楽だろうが、それをやったら流石に怪しまれるだろう。多分出来ない事はないが。
「ペドロは昔、ペコムズと一緒に海賊やってたんだよ!」
「世間知らずでな。探検家のつもりだったが賞金首になってしまった」
その気持ちが凄く分かる。シルビもそのつもりがなくとも賞金首になってしまった口だ。しかも高額の。
ペドロが海へ出た理由は、ネコマムシの旦那達の役に立ちたくて『歴史の本文』を探す為だったらしい。そしてこのビッグマムのナワバリへ足を踏み入れ破れたのだという。
そんな嫌な経験があるにも関わらずルフィ達へ同行を申し出て付いてきたのは、偏にネコマムシの旦那とイヌアラシ公爵がルフィを“見込んだ”かららしい。
かつての“海賊王”ゴール・D・ロジャーの様にいつか必ずロード“歴史の本文”が必要になる者であり、そこまで到達することが出来るであろう者として。
シルビは小さく息を吐いた。
果たしてロジャーはそんなに凄い男であっただろうかというシルビの内心の疑問はさておき、ルフィが海賊王を目指すのであればラフテルへ到達するのが目的の一つであろうし、ロード“歴史の本文”を必要とするであろうことも理解は出来る。それをミンク族の長であるネコマムシの旦那とイヌアラシ公爵が判断するのもだ。
そしてルフィが、そうそう『見込まれる』のも分かる。彼はそういう性質だ。
ドレスローザで荒れくれ者達を自然に味方へと引き込んだように、シルビという兄を助けようとしなかった賞金首も許したように、ルフィは本人の意図とは関係なく味方や幸運を引き入れている。まるで全ての運命さえ彼へ味方をしているようにだ。
「ルフィさんは――こういう『星の下』へ生まれたんですかねー」
ロープを引いていたブルックが呟く。振り返ってブルックを見やれば彼は眼球のない目で笑っていた。聞こえなかったルフィが聞き返していたがブルックは笑って誤魔化して、変なヤツだなと言われている。
そんなブルックへ近づいてロープに手を伸ばした。少しくらい手伝ったところで文句はあるまい。
「ペンギンさんはどう思います?」
「ふふ、言ったでしょう? 『星は引力を持つ』ものですよ」
「ヨホホ。なるほど」
長生きが二人揃えば些細なそれも達観した会話に思える。
天体でも恒星を基準にして形成されているし、光り輝く星へ引き寄せられるのはごく当たり前のことだ。
「トラ男さんがルフィさんと同盟を組もうとしたのもそういう『星の巡り』ですかね」
「分かりませんよぉ。案外トラファルガーの星にルフィ君が引き寄せられたのかもしれません」
「ヨホホホ! ルフィさんの方が眩しいですよ。それに関しては私譲れません」
「眩しけりゃいいってモンでも無ぇでしょう。太陽程輝いてなくたっていいんです」
シルビにはルフィは少し明るすぎる。彼の朗らかさは様々な人へ影響を与えるのだろうしシルビもその影響を受けているのだろうけれど、常に一緒にいるのならシルビはローくらいの星の下で充分だ。
明るすぎる光は目を潰す。老いぼれの目にルフィは眩しいのである。
だから少し距離がある程度でいい。
ガサガサと音がするのに気付いて振り返れば、どうやら眠っていた海アリが目を覚ましたようだった。足や触覚を揺らしながら起き上がり、再びサニー号へ気付いて襲いかかってこようとしている。
「アリが甘い物へ群がるのは分かるんですけど、船を食うっていうのは白アリなんじゃねぇのかなぁ」
「骨をかじられたら困りますね。何せ私ホネだけですから!」
ナミの指示で船に面した部分だけ液体化している水あめの海を少しずつだが進んでいく。進路を一気に活性させて液体化させることも考えたが、それよりかこの方が効率は良かった。
進むことで船に面する水あめだけが活性化して液体へ戻る。だから固まっている海面へ降りて船を引っ張る方が早いようだと気付いてからは、全員で海上へ降りて船を引っ張っていた。海アリも眠らせただけなので、目を覚ませば再び襲ってくるだろうことを考えると一刻も早くこの海域を脱出したい。
『晴の炎』を灯して水あめを液体化させているシルビは、ナミ直々に体力温存をしろとその牽引メンバーから外されていた。
「手伝えるのになぁ」
「まあまあ。手足を繋いだばかりでもあるんですから、無茶はいけませんよペンギンさん」
船に繋いだロープを引っ張りながらブルックが慰めてくる。彼はシルビの正体が『死告シャイタン』だと気付きはしても、とりあえずシルビを『ペンギン』と呼び続けてくれることにしたらしい。それは非常に有り難かった。
「そうだぞペンギン! 繋いだ部分がまだ治ってなかったら大変だ。外側が綺麗でも骨とかはまだ分からないんだからな!」
「同じく負傷してたペドロはどうなんだぁ?」
「急いでいるんだ。おれは問題ない。それに海アリが目覚めたら厄介だからな。おれは昔あの海アリたちに船を食われた」
ロープを引っ張るペドロの視線の先では、ブルックが眠らせたらしい海アリの大群が腹をさらして眠っている。アレを数十匹か手懐けて船を引っ張らせることが出来たら大層楽だろうが、それをやったら流石に怪しまれるだろう。多分出来ない事はないが。
「ペドロは昔、ペコムズと一緒に海賊やってたんだよ!」
「世間知らずでな。探検家のつもりだったが賞金首になってしまった」
その気持ちが凄く分かる。シルビもそのつもりがなくとも賞金首になってしまった口だ。しかも高額の。
ペドロが海へ出た理由は、ネコマムシの旦那達の役に立ちたくて『歴史の本文』を探す為だったらしい。そしてこのビッグマムのナワバリへ足を踏み入れ破れたのだという。
そんな嫌な経験があるにも関わらずルフィ達へ同行を申し出て付いてきたのは、偏にネコマムシの旦那とイヌアラシ公爵がルフィを“見込んだ”かららしい。
かつての“海賊王”ゴール・D・ロジャーの様にいつか必ずロード“歴史の本文”が必要になる者であり、そこまで到達することが出来るであろう者として。
シルビは小さく息を吐いた。
果たしてロジャーはそんなに凄い男であっただろうかというシルビの内心の疑問はさておき、ルフィが海賊王を目指すのであればラフテルへ到達するのが目的の一つであろうし、ロード“歴史の本文”を必要とするであろうことも理解は出来る。それをミンク族の長であるネコマムシの旦那とイヌアラシ公爵が判断するのもだ。
そしてルフィが、そうそう『見込まれる』のも分かる。彼はそういう性質だ。
ドレスローザで荒れくれ者達を自然に味方へと引き込んだように、シルビという兄を助けようとしなかった賞金首も許したように、ルフィは本人の意図とは関係なく味方や幸運を引き入れている。まるで全ての運命さえ彼へ味方をしているようにだ。
「ルフィさんは――こういう『星の下』へ生まれたんですかねー」
ロープを引いていたブルックが呟く。振り返ってブルックを見やれば彼は眼球のない目で笑っていた。聞こえなかったルフィが聞き返していたがブルックは笑って誤魔化して、変なヤツだなと言われている。
そんなブルックへ近づいてロープに手を伸ばした。少しくらい手伝ったところで文句はあるまい。
「ペンギンさんはどう思います?」
「ふふ、言ったでしょう? 『星は引力を持つ』ものですよ」
「ヨホホ。なるほど」
長生きが二人揃えば些細なそれも達観した会話に思える。
天体でも恒星を基準にして形成されているし、光り輝く星へ引き寄せられるのはごく当たり前のことだ。
「トラ男さんがルフィさんと同盟を組もうとしたのもそういう『星の巡り』ですかね」
「分かりませんよぉ。案外トラファルガーの星にルフィ君が引き寄せられたのかもしれません」
「ヨホホホ! ルフィさんの方が眩しいですよ。それに関しては私譲れません」
「眩しけりゃいいってモンでも無ぇでしょう。太陽程輝いてなくたっていいんです」
シルビにはルフィは少し明るすぎる。彼の朗らかさは様々な人へ影響を与えるのだろうしシルビもその影響を受けているのだろうけれど、常に一緒にいるのならシルビはローくらいの星の下で充分だ。
明るすぎる光は目を潰す。老いぼれの目にルフィは眩しいのである。
だから少し距離がある程度でいい。
ガサガサと音がするのに気付いて振り返れば、どうやら眠っていた海アリが目を覚ましたようだった。足や触覚を揺らしながら起き上がり、再びサニー号へ気付いて襲いかかってこようとしている。
「アリが甘い物へ群がるのは分かるんですけど、船を食うっていうのは白アリなんじゃねぇのかなぁ」
「骨をかじられたら困りますね。何せ私ホネだけですから!」