トットランド編
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ブルック視点
『シャイタン』と呼びかけても否定しなかったペンギンは、ブルックの隣でローから借り受けてきた帽子を押さえながら夕日を眺めていた。その赤い輝きを反射してもなお色濃い紫色の瞳は、昔から変わらず伝えられている『死告シャイタン』の特徴の一つで、その瞳に凪いだ海を映している姿はブルックよりも随分と若い青年である。
けれども彼こそが、『死告シャイタン』なのだ。
分身が出せることはくじらの森の洞窟の中で彼本人が口にしていた。今の会話で彼が分身をゾウへ置いてドレスローザへ行っていたことも分かる。二十年以上前に処刑されたゴール・D・ロジャーと出会ったことがあることも。
それならば納得がいく。モモの助の一族のことやポーネグリフの古代文字が読めたことにもだ。いくら血筋とはいえたった一人の賞金首が世界の秘密に繋がる内容を伝えるとは思えなかったが、ペンギンがその世界の秘密を直接見てきた賞金首本人であるのなら知っていて当然だろう。
『――俺は、これからも守り続けるだけですから』
くじらの森で聞いたその言葉は単に古代文字を読めるというだけではなく、他の様々なものも含まれていた。千年を生きたという賞金首のその言葉の重みは、流石のブルックでも共感は出来そうにない。
きっと、ブルックがルフィへ出会わなければ今もまだあの霧の中へ居たであろう事と同じように、この男もローへ出会わずにいたのなら今もまだ“一人”でいたのだろう。そして己の秘密を誰にも告げることなく『守り続けて』いた。
そんな彼がここにいる。
「不老不死なんですか?」
船縁を指先で波に合わせてリズムを取りながら訊けば、海を眺めていたペンギンは驚いたようにブルックを見上げた。ルフィと同じくらいの背丈しかないが、噂が正しければ五十年骨として生きていたブルック以上に生きている事になるその青年は、マジマジとブルックを見つめてから少し悲しげに目を細める。
「不老不死でなければ、いけませんか」
「ああイエ、不老不死はつまらないモノでしょう? ワタシも五十年程経験しましたが、もードーにもツマらなくて」
「五十年」
「だからアナタもそうなのなら、お仲間が出来たと思いまして」
「……俺は、八桁の年月でした」
「ヨホホ。星の光が届くよりは短いですね!」
内心では『八桁』という数字に驚いたが、それを誤魔化すように笑えばペンギンもローから借りてきた帽子に触れたまま微笑んだ。
彼が高額賞金首であれ、今は味方であることに変わりはない。ペンギンの長く艶やかな黒髪が風に揺れている。
『シャイタン』と呼びかけても否定しなかったペンギンは、ブルックの隣でローから借り受けてきた帽子を押さえながら夕日を眺めていた。その赤い輝きを反射してもなお色濃い紫色の瞳は、昔から変わらず伝えられている『死告シャイタン』の特徴の一つで、その瞳に凪いだ海を映している姿はブルックよりも随分と若い青年である。
けれども彼こそが、『死告シャイタン』なのだ。
分身が出せることはくじらの森の洞窟の中で彼本人が口にしていた。今の会話で彼が分身をゾウへ置いてドレスローザへ行っていたことも分かる。二十年以上前に処刑されたゴール・D・ロジャーと出会ったことがあることも。
それならば納得がいく。モモの助の一族のことやポーネグリフの古代文字が読めたことにもだ。いくら血筋とはいえたった一人の賞金首が世界の秘密に繋がる内容を伝えるとは思えなかったが、ペンギンがその世界の秘密を直接見てきた賞金首本人であるのなら知っていて当然だろう。
『――俺は、これからも守り続けるだけですから』
くじらの森で聞いたその言葉は単に古代文字を読めるというだけではなく、他の様々なものも含まれていた。千年を生きたという賞金首のその言葉の重みは、流石のブルックでも共感は出来そうにない。
きっと、ブルックがルフィへ出会わなければ今もまだあの霧の中へ居たであろう事と同じように、この男もローへ出会わずにいたのなら今もまだ“一人”でいたのだろう。そして己の秘密を誰にも告げることなく『守り続けて』いた。
そんな彼がここにいる。
「不老不死なんですか?」
船縁を指先で波に合わせてリズムを取りながら訊けば、海を眺めていたペンギンは驚いたようにブルックを見上げた。ルフィと同じくらいの背丈しかないが、噂が正しければ五十年骨として生きていたブルック以上に生きている事になるその青年は、マジマジとブルックを見つめてから少し悲しげに目を細める。
「不老不死でなければ、いけませんか」
「ああイエ、不老不死はつまらないモノでしょう? ワタシも五十年程経験しましたが、もードーにもツマらなくて」
「五十年」
「だからアナタもそうなのなら、お仲間が出来たと思いまして」
「……俺は、八桁の年月でした」
「ヨホホ。星の光が届くよりは短いですね!」
内心では『八桁』という数字に驚いたが、それを誤魔化すように笑えばペンギンもローから借りてきた帽子に触れたまま微笑んだ。
彼が高額賞金首であれ、今は味方であることに変わりはない。ペンギンの長く艶やかな黒髪が風に揺れている。