トットランド編
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ロー視点
ドレスローザへ単独行動するに当たり、ペンギンが渡してきた電伝虫をそういえば返し忘れていたと思い出した。ドレスローザどころかパンクハザードへ居た時点で既に使用したそれは、確か盗聴も何も出来ない優れ物だ。しかし今はペンギンが持っているもう一台にしか通じないように設定されているらしい。
ローが返すのを忘れていた以上設定もそのままなのだろう。ペンギンがそのもう一台を持って行ったのかどうかまでは知らなかった。
思い出したのはワノ国へ行く為の支度中、ドレスローザからまでの荷物を船内で片付けていた時だ。荷物の中から取り出したその電伝虫は沈黙を守っている。
本来ならペンギンへ返すべきなのだろうが、そのペンギンが今は不在だ。
「船長、備蓄の件なんですが――電伝虫ですかい?」
相談しに来たのだろうバンダナが部屋へと入ってきて、ローが手のひらへ乗せていた電伝虫を不思議そうに見やる。
「誰のです?」
「ペンギンのだ。パンクハザードへ行く前に渡された」
もう時効だろうと思って正直に言えば、バンダナは案の定特に何も言わずに電伝虫の眉間辺りを指先で撫でた。途端電伝虫が薄目を開けて鳴き出す。
思わずバンダナと視線を交わしてから送話器を取った。
「もしもし……?」
『――船長?』
ペンギンの声だ。
まだペンギン達が出発してから一日どころか一夜も過ぎていないと言うのに、受話器から聞こえるペンギンの声は疲れ切っているように聞こえる。
『――嗚呼、貴方に電伝虫渡したままで良かったぁ……』
「どうした? 何かあったのか?」
『食料が尽きました』
「は?」
『ルフィ君が全部の食料駄目にして使い切って、大鍋から少しは救い出す事が出来たんですけどどう考えても明後日の食事は作れそうに無ぇしかといって俺だけは戻って食事とか卑怯な真似は出来ねぇし、だったら食料を取りにとも思うけどそしたら今度はどうやって食料調達をって話になるし、キャロットは勝手に潜り込んでるし革命軍は本部見つかってるしどうすりゃいいんですかぁ』
一瞬聞き間違いかと思えばその長台詞。もう一度バンダナと目を合わせれば隣で聞いていたバンダナも言葉が無いようだった。
とりあえず出発して数時間でペンギンの心が折れかけているのは分かる。アレは意外と落ち込みやすい。
黒足屋の奪還に便利だろうとついて行かせたのだが、こんなすぐに泣きの入った連絡を寄越されると、自分の選択が間違っていた気分にしかならなかった。ペンギンなら、戻ってくるまでに一切連絡を寄越しもしないと思っていたくらいである。
ドレスローザへ単独行動するに当たり、ペンギンが渡してきた電伝虫をそういえば返し忘れていたと思い出した。ドレスローザどころかパンクハザードへ居た時点で既に使用したそれは、確か盗聴も何も出来ない優れ物だ。しかし今はペンギンが持っているもう一台にしか通じないように設定されているらしい。
ローが返すのを忘れていた以上設定もそのままなのだろう。ペンギンがそのもう一台を持って行ったのかどうかまでは知らなかった。
思い出したのはワノ国へ行く為の支度中、ドレスローザからまでの荷物を船内で片付けていた時だ。荷物の中から取り出したその電伝虫は沈黙を守っている。
本来ならペンギンへ返すべきなのだろうが、そのペンギンが今は不在だ。
「船長、備蓄の件なんですが――電伝虫ですかい?」
相談しに来たのだろうバンダナが部屋へと入ってきて、ローが手のひらへ乗せていた電伝虫を不思議そうに見やる。
「誰のです?」
「ペンギンのだ。パンクハザードへ行く前に渡された」
もう時効だろうと思って正直に言えば、バンダナは案の定特に何も言わずに電伝虫の眉間辺りを指先で撫でた。途端電伝虫が薄目を開けて鳴き出す。
思わずバンダナと視線を交わしてから送話器を取った。
「もしもし……?」
『――船長?』
ペンギンの声だ。
まだペンギン達が出発してから一日どころか一夜も過ぎていないと言うのに、受話器から聞こえるペンギンの声は疲れ切っているように聞こえる。
『――嗚呼、貴方に電伝虫渡したままで良かったぁ……』
「どうした? 何かあったのか?」
『食料が尽きました』
「は?」
『ルフィ君が全部の食料駄目にして使い切って、大鍋から少しは救い出す事が出来たんですけどどう考えても明後日の食事は作れそうに無ぇしかといって俺だけは戻って食事とか卑怯な真似は出来ねぇし、だったら食料を取りにとも思うけどそしたら今度はどうやって食料調達をって話になるし、キャロットは勝手に潜り込んでるし革命軍は本部見つかってるしどうすりゃいいんですかぁ』
一瞬聞き間違いかと思えばその長台詞。もう一度バンダナと目を合わせれば隣で聞いていたバンダナも言葉が無いようだった。
とりあえず出発して数時間でペンギンの心が折れかけているのは分かる。アレは意外と落ち込みやすい。
黒足屋の奪還に便利だろうとついて行かせたのだが、こんなすぐに泣きの入った連絡を寄越されると、自分の選択が間違っていた気分にしかならなかった。ペンギンなら、戻ってくるまでに一切連絡を寄越しもしないと思っていたくらいである。