トットランド編
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夢主視点
ペドロの持ってきた新聞をナミ達へも見せて、料理を作ろうとキッチンへ行っていたルフィも呼び戻す。革命軍壊滅という事実に驚く皆と一人外れて、ルフィだけは記事に掲載されていたサボの顔写真へ反応していた。
「これ、おれの兄ちゃんだよ!」
「ん!? ドレスローザで会ったって言ってたもう一人のお兄さん!? 『参謀総長』なんですか!?」
ブルックが驚いているが知らなかったのかと考え、そういえばサボも頂上戦争があってからルフィやエースの事を思い出したと言っていたのを思い出す。ルフィとも兄として再会したのはドレスローザだったようだし、そうなればルフィの仲間へまでしっかりとその情報が伝達されていないのも当然といえば当然か。
ナミがどんな三兄弟だとツッコんでいる。確かに海賊王の息子と革命軍のナンバー2なんて兄はちょっと特殊な兄弟だ。海賊王に関しては完全にエースはとばっちりだが。
「あれ……!? じゃ、この横のドラゴンって……」
「え? 当然でしょ? 二年前におじいちゃんが言ってたじゃない。“革命軍総司令官ドラゴン”。あんたのお父さんでしょ!?」
「これがおれの父ちゃんか!」
「今更!?」
「え、ルフィ君? ドラゴンの事知らなかったのかぁ?」
「うん!」
ルフィがドラゴンの顔を知らなかった事に驚いた。絶句したと言ってもいい。有名人だから気になるのが普通だとか、ロビンも世話になっていたのにとナミが騒いでいるが、ルフィはそれよりもサボの事のほうが気になっているようだった。
まさかと思い、シルビは恐る恐る聞いてみる。
「あの、もしかしてルフィ君ドラゴンに会った事も無ぇ?」
「んー、無いな!」
あっけらかんと答えるルフィに頭を抱えたくなった。なまじルフィの父親であるドラゴンにも、その父親であるガープのことも顔見知りであるから余計に。
ガープがいい加減で放任主義なところがある事は知っていた。いい加減というよりは相手の力量を信頼して突き放す。だがガープのそんなところをドラゴンまで継いでいるなんて誰が思うものか。
だがよく考えたらシルビがドラゴンと初めて会った時、ルフィの年齢から計算するとルフィが生まれる前か寸前頃だ。ドラゴンを助けた時その妻は居なかった。つまりドラゴンはルフィの母親を放置してあんな嵐の海を渡っていた訳で。
「まるでダメな男親だなぁあの野郎。助けなけりゃ良かったとは思わねぇけどぉ……」
助けなければ良かったとは今も思いはしないが、父親としては失格なのではないかと思う。事情があってそれを聞いたらまた考えが変わるかも知れないが。
とりあえず確実にシルビの中で、ドラゴンの評価が下がった。
記事によれば革命軍本部は何者かの情報によって場所が発覚した。しかし海軍とサイファーポールが到着した時には、既に『黒ひげ海賊団』によって本部が破壊された後であったらしい。
「どうして“黒ひげ”が革命軍を狙うの!?」
「ドレスローザで“チャンピオンの奴”とサボが戦ったけど、関係あるかな」
チャンピオンの奴、とはバージェスのことか。それなら確かに戦っていたのをシルビも見ている。元はサボが食べてしまったメラメラの実を求めており、その後何故かルフィのゴムゴムの実の能力を求めていた筈だ。
悪魔の実を集めている、訳ではないのだろう。
記事によれば革命軍本部を壊滅させた黒ひげ海賊団は、サイファーポールと衝突後に逃走したらしい。それ以外には特筆して死傷者の情報は載っておらず、サボやドラゴン達は少なくとも遺体は見つかっていないようだった。
となればまだ生きて逃亡出来た可能性もある。
故郷へ連絡をとって訊けば、ドラゴン達が今どうなっているのかはすぐに分かるだろう。もしかしたら逃げた先が故郷である可能性だってあった。
だが訊いたところで何かが出来るとは思えないし、何かが出来るとしても現在のこの場から離れる訳にもいかない。
やはり何かへ属する事は不便だと思ったところで、焦げ臭さを覚えて顔を上げる。
船室が黒い煙を上げて燃えていた。
「――ぇ」
「しまった火を使ったままだった!」
ルフィが叫んだ直後に燃える船室で何かが爆発する。慌てて火を消しに向かおうとするのを、進路の空を見たナミが止めた。
嵐が来る。流石『新世界』の海というべきか気候が変わりやすい。強風と豪雨の予兆に帆を畳めと指示が飛ばされる。黒雲の中で雷が鳴っているのに、初めてその轟きを聞く訳でも無いだろうがキャロットが耳を押さえて怯えていた。
荒れ始める海面に船が跳ねる。降り出した雨に船長から渡された帽子を脱いで、濡らさないように服の中へと押し込んだ。
多少の型くずれは後で謝るしかない。濡れるだけならまだいいが、強風に吹き飛ばされて無くしたなんてことになったら目も当てられないだろう。
それが現実になった暁には、船長にどんな文句を言われるか。
「ナミ! 帆を畳んできたから次の指示ぃ!」
「舵取って!」
もう敬称をつけて名前を呼んでいる余裕も無かった。本格的に荒れ狂う海へペコムズが放り出されそうになったところを掴んで引き戻す。
嵐による豪雨が何故か吹雪に変わっていく。船室の火事は消えたがこのままではその火事で出来た穴から雪が入り込む。
「……ハァ」
ため息を吐いてこっそり指を鳴らしておいた。
ペドロの持ってきた新聞をナミ達へも見せて、料理を作ろうとキッチンへ行っていたルフィも呼び戻す。革命軍壊滅という事実に驚く皆と一人外れて、ルフィだけは記事に掲載されていたサボの顔写真へ反応していた。
「これ、おれの兄ちゃんだよ!」
「ん!? ドレスローザで会ったって言ってたもう一人のお兄さん!? 『参謀総長』なんですか!?」
ブルックが驚いているが知らなかったのかと考え、そういえばサボも頂上戦争があってからルフィやエースの事を思い出したと言っていたのを思い出す。ルフィとも兄として再会したのはドレスローザだったようだし、そうなればルフィの仲間へまでしっかりとその情報が伝達されていないのも当然といえば当然か。
ナミがどんな三兄弟だとツッコんでいる。確かに海賊王の息子と革命軍のナンバー2なんて兄はちょっと特殊な兄弟だ。海賊王に関しては完全にエースはとばっちりだが。
「あれ……!? じゃ、この横のドラゴンって……」
「え? 当然でしょ? 二年前におじいちゃんが言ってたじゃない。“革命軍総司令官ドラゴン”。あんたのお父さんでしょ!?」
「これがおれの父ちゃんか!」
「今更!?」
「え、ルフィ君? ドラゴンの事知らなかったのかぁ?」
「うん!」
ルフィがドラゴンの顔を知らなかった事に驚いた。絶句したと言ってもいい。有名人だから気になるのが普通だとか、ロビンも世話になっていたのにとナミが騒いでいるが、ルフィはそれよりもサボの事のほうが気になっているようだった。
まさかと思い、シルビは恐る恐る聞いてみる。
「あの、もしかしてルフィ君ドラゴンに会った事も無ぇ?」
「んー、無いな!」
あっけらかんと答えるルフィに頭を抱えたくなった。なまじルフィの父親であるドラゴンにも、その父親であるガープのことも顔見知りであるから余計に。
ガープがいい加減で放任主義なところがある事は知っていた。いい加減というよりは相手の力量を信頼して突き放す。だがガープのそんなところをドラゴンまで継いでいるなんて誰が思うものか。
だがよく考えたらシルビがドラゴンと初めて会った時、ルフィの年齢から計算するとルフィが生まれる前か寸前頃だ。ドラゴンを助けた時その妻は居なかった。つまりドラゴンはルフィの母親を放置してあんな嵐の海を渡っていた訳で。
「まるでダメな男親だなぁあの野郎。助けなけりゃ良かったとは思わねぇけどぉ……」
助けなければ良かったとは今も思いはしないが、父親としては失格なのではないかと思う。事情があってそれを聞いたらまた考えが変わるかも知れないが。
とりあえず確実にシルビの中で、ドラゴンの評価が下がった。
記事によれば革命軍本部は何者かの情報によって場所が発覚した。しかし海軍とサイファーポールが到着した時には、既に『黒ひげ海賊団』によって本部が破壊された後であったらしい。
「どうして“黒ひげ”が革命軍を狙うの!?」
「ドレスローザで“チャンピオンの奴”とサボが戦ったけど、関係あるかな」
チャンピオンの奴、とはバージェスのことか。それなら確かに戦っていたのをシルビも見ている。元はサボが食べてしまったメラメラの実を求めており、その後何故かルフィのゴムゴムの実の能力を求めていた筈だ。
悪魔の実を集めている、訳ではないのだろう。
記事によれば革命軍本部を壊滅させた黒ひげ海賊団は、サイファーポールと衝突後に逃走したらしい。それ以外には特筆して死傷者の情報は載っておらず、サボやドラゴン達は少なくとも遺体は見つかっていないようだった。
となればまだ生きて逃亡出来た可能性もある。
故郷へ連絡をとって訊けば、ドラゴン達が今どうなっているのかはすぐに分かるだろう。もしかしたら逃げた先が故郷である可能性だってあった。
だが訊いたところで何かが出来るとは思えないし、何かが出来るとしても現在のこの場から離れる訳にもいかない。
やはり何かへ属する事は不便だと思ったところで、焦げ臭さを覚えて顔を上げる。
船室が黒い煙を上げて燃えていた。
「――ぇ」
「しまった火を使ったままだった!」
ルフィが叫んだ直後に燃える船室で何かが爆発する。慌てて火を消しに向かおうとするのを、進路の空を見たナミが止めた。
嵐が来る。流石『新世界』の海というべきか気候が変わりやすい。強風と豪雨の予兆に帆を畳めと指示が飛ばされる。黒雲の中で雷が鳴っているのに、初めてその轟きを聞く訳でも無いだろうがキャロットが耳を押さえて怯えていた。
荒れ始める海面に船が跳ねる。降り出した雨に船長から渡された帽子を脱いで、濡らさないように服の中へと押し込んだ。
多少の型くずれは後で謝るしかない。濡れるだけならまだいいが、強風に吹き飛ばされて無くしたなんてことになったら目も当てられないだろう。
それが現実になった暁には、船長にどんな文句を言われるか。
「ナミ! 帆を畳んできたから次の指示ぃ!」
「舵取って!」
もう敬称をつけて名前を呼んでいる余裕も無かった。本格的に荒れ狂う海へペコムズが放り出されそうになったところを掴んで引き戻す。
嵐による豪雨が何故か吹雪に変わっていく。船室の火事は消えたがこのままではその火事で出来た穴から雪が入り込む。
「……ハァ」
ため息を吐いてこっそり指を鳴らしておいた。