トットランド編
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ペコムズ視点
「キャロット。ちょっとこっちに来なさい」
ペンギンが舵から手を離してキャロットを呼んだ。麦藁の一味と海賊同盟を組んだトラファルガー・ロー率いるハートの海賊団の一員らしいが、その実力まではペコムズは知らない。
トラファルガーから借り受けたモフモフの帽子を被り、長い黒髪を背中へ流した女顔の男だ。今は私服姿だからか余計に女っぽく見える。
素直にペンギンの傍へと向かったキャロットに、ペンギンは帽子の角度を直す。
「ゾウの外へ出てみたかったのは分かるけど、もう少し周りの人の事を考えなさい」
「ペンギンまでそんなこと言うの!?」
「そんな事じゃねぇだろぉ。せめてちゃんとゾウの誰かへ許可をもらってくるとか」
「バリエテには言ってきたよ!」
「――それで、彼はいいって言ったのかぁ?」
「う、それは、言ってないケド」
「キャロット」
名前を呼ばれただけでキャロットが首を竦めた。対するペンギンは叱る態度を崩さずにキャロットを見つめている。
これはなんというか、ペコムズにも覚えがあった。まだ海を知らないほどに幼くワルガキだった頃、夜遅くまで遊んで帰った家やいたずらをした庭でコレを見ている。
子供を叱る母親のそれだ。
「今頃ゾウでワンダ達は姿の見えねぇ君のことで騒ぎになってるかも知れねぇなぁ。ズニーシャの騒動もあった後だし、秘密裏にジャックの手勢に誘拐されたとか」
「誘拐!? そこまで!?」
「色んな状況が考えられて不安だろうなんて話だぁ。君は自分の勝手な行動でワンダ達を心配させている。連絡も取れない状況で言い訳も出来ねぇぞぉ」
自分のしでかしたことがどれだけの問題なのかを理解したのか、キャロットの耳が力なく垂れ下がる。
「ペ、ペンギン。叱られるようなことをしたのはキャロットが悪いが、そう責めないでやってくれ」
「こういうのは最初が肝心だぞぉペドロ」
「キャロットだって悪気は無かった筈だ」
「ペドロ達がそうやって甘やかすからこういうことをしでかすんだろぉ!」
「甘やかしてはいないだろうが!」
夫婦か。
さっきまでキャロットを叱る側だったペドロの兄貴がキャロットのフォローへ回っていた。ますますもって母親かと思ってしまうペコムズはきっと悪くない。
「まーいいよ。乗っちまったモンは仕方ねェ!」
麦藁のルフィがそう言うとペンギンは帽子を両手で押さえて振り返り、仕方なさそうに肩をすくめた。
「……この船の船長がそう言うのなら、俺は何も言えねぇよ」
「やったー!」
寸前まで誰にも言わずに密航したことを怒られていたというのに、キャロットの切り替えは早い。
ルフィがキャロットのおやつである人参を勝手に食い始め、キャロットに噛みつかれていた。
「キャロット。ちょっとこっちに来なさい」
ペンギンが舵から手を離してキャロットを呼んだ。麦藁の一味と海賊同盟を組んだトラファルガー・ロー率いるハートの海賊団の一員らしいが、その実力まではペコムズは知らない。
トラファルガーから借り受けたモフモフの帽子を被り、長い黒髪を背中へ流した女顔の男だ。今は私服姿だからか余計に女っぽく見える。
素直にペンギンの傍へと向かったキャロットに、ペンギンは帽子の角度を直す。
「ゾウの外へ出てみたかったのは分かるけど、もう少し周りの人の事を考えなさい」
「ペンギンまでそんなこと言うの!?」
「そんな事じゃねぇだろぉ。せめてちゃんとゾウの誰かへ許可をもらってくるとか」
「バリエテには言ってきたよ!」
「――それで、彼はいいって言ったのかぁ?」
「う、それは、言ってないケド」
「キャロット」
名前を呼ばれただけでキャロットが首を竦めた。対するペンギンは叱る態度を崩さずにキャロットを見つめている。
これはなんというか、ペコムズにも覚えがあった。まだ海を知らないほどに幼くワルガキだった頃、夜遅くまで遊んで帰った家やいたずらをした庭でコレを見ている。
子供を叱る母親のそれだ。
「今頃ゾウでワンダ達は姿の見えねぇ君のことで騒ぎになってるかも知れねぇなぁ。ズニーシャの騒動もあった後だし、秘密裏にジャックの手勢に誘拐されたとか」
「誘拐!? そこまで!?」
「色んな状況が考えられて不安だろうなんて話だぁ。君は自分の勝手な行動でワンダ達を心配させている。連絡も取れない状況で言い訳も出来ねぇぞぉ」
自分のしでかしたことがどれだけの問題なのかを理解したのか、キャロットの耳が力なく垂れ下がる。
「ペ、ペンギン。叱られるようなことをしたのはキャロットが悪いが、そう責めないでやってくれ」
「こういうのは最初が肝心だぞぉペドロ」
「キャロットだって悪気は無かった筈だ」
「ペドロ達がそうやって甘やかすからこういうことをしでかすんだろぉ!」
「甘やかしてはいないだろうが!」
夫婦か。
さっきまでキャロットを叱る側だったペドロの兄貴がキャロットのフォローへ回っていた。ますますもって母親かと思ってしまうペコムズはきっと悪くない。
「まーいいよ。乗っちまったモンは仕方ねェ!」
麦藁のルフィがそう言うとペンギンは帽子を両手で押さえて振り返り、仕方なさそうに肩をすくめた。
「……この船の船長がそう言うのなら、俺は何も言えねぇよ」
「やったー!」
寸前まで誰にも言わずに密航したことを怒られていたというのに、キャロットの切り替えは早い。
ルフィがキャロットのおやつである人参を勝手に食い始め、キャロットに噛みつかれていた。