ゾウ編
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夢主視点
ベポに持ってきてもらった頭痛薬を飲み込み立ち上がる。振り返れば疲弊して眠そうな様子のモモの助と、猿のミンクからの報告を聞いているネコマムシ達。
船長がその話をちゃんと聞こうと傍へ向かうのにバンダナとベポがその後を追う。シルビも今度は足をもつれさせないようにゆっくりと歩き出して、錦えもんやロビンに囲まれているモモの助へと近付いた。
「若君。念の為この薬を飲んでおいてください」
「? それは?」
「頭痛薬です」
差し出した瓶を受け取って眺めた錦えもんが蓋を開けて匂いを嗅ぎ、それから一つを取り出してモモの助へと渡す。コレは一応危ない成分は入っていないし子供でも水無しで飲めるものだ。無性に苦いが。
「うげぇ!」
「モモの助様!?」
案の定苦みに舌を出して涙目になるモモの助に錦えもんが慌てている。口直しに何かあれば良かったかも知れないが、手元には何もない。
声が聞こえていたのはルフィもだったので、彼にも一応飲ませておくかと姿を探すが見当たらなかった。騒動の最中にはいたのに何処へ行ったのか。
仕方なくロビンへ頭痛薬を渡しておくことにする。
「ロビン、ルフィ君にも飲ませておいてくれるかぁ?」
「ルフィにも?」
「“声”が聞こえてたみてぇだから、念の為」
「おぬし! まずはモモの助様へ謝らんか!」
口を押さえて涙目のモモの助を見て錦えもんが怒るが、シルビとしてはむしろ丸薬を飲ませるアフターケアをしただけ褒めて欲しい。ただでさえモモの助の分の感覚まで肩代わりしたのだ。本来ならモモの助は激しい頭痛に襲われていただろう。
「何という事だ。象主の意志など考えた事もなかった……。ましてや話が通じるとは」
猿のミンクの報告を聞いたイヌアラシが信じられないとばかりに呟いていた。
「ペンギン。ゆガラも象主の声が聞こえとったきに?」
ネコマムシに話を振られて見回せば、そういえばとばかりにイヌアラシやナミ達がシルビへ視線を向ける。流石に隠せるとは思っていなかったので瓶に蓋をしながら頷いた。
「これでも『シャイタン』の血が入ってますから」
「? 『死告シャイタン』の血が入ってると聞こえるのか?」
血も何も、だから本人だが。
「俺の場合は、そうです。ルフィ君や若様も血筋によるものだとは思いますが」
「おでん様はモモの助様のこの“力”を知っておられたのか……?」
「流石にそこまでは分かりません。ただ言えるとしたら『シャイタン』なら俺より知っているのではとかその程度です」
「シャイタン、か」
モモの助の父である『光月おでん』が、声が聞こえる事を息子へ伝えていたかどうかなど知らない。そんな個人的な事までは流石に把握していなかった。
だがシルビがズニーシャだけではなく海王類や動植物の言葉が分かるのは事実だ。正しくは意志が分かるのであって明確な言葉ではない場合の方が多いが、意志が通じるという事には変わりないだろう。普段は無意識にその能力も制限しているようだが、今すぐにでもズニーシャと話すことはきっと可能だ。
ただその場合、ズニーシャは確実にシルビのことを『シルビ』と呼んでしまう気がする。そしてその会話はルフィとモモの助へ聞かれてしまうだろう。そうなった場合『何故ペンギンが親しげにシルビと呼ばれているのか』という疑問が増えてまた色々とねつ造しなければならない。
面倒だ。
故に先ほどの騒動の最中もシルビからズニーシャへ応える事は出来なかった。モモの助が命じるよりも先にその意志は理解出来ていたのだから、シルビが命じられずとも“頼んで”しまえばズニーシャはもっと軽傷で済んだのかも知れない。そういう意味では、シルビは申し訳なく思う。
「ペンギン猫とかも呼び集められるもんね」
「ん、うん」
「あと海王類も」
「そういやシャイタンも海王類呼んでたな!」
ゾウへ来る前のゴーイングルフィセンパイ号でのことを思い出してかウソップが口を開く。
「スゲーんだな『シャイタン』って!」
船長とバンダナが物言いたげな顔をしてシルビを見ていた。言いたいことは分かるがシルビは悪くない。筈だ。
モモの助が気力を消耗したのか、いつの間にかロビンの膝枕で眠っている。それをブルックが羨ましげに眺めていた。
眠っているから大丈夫なのだろうが、こうしている今もシルビの頭の中ではズニーシャが痛がる声が響いている。ジャックの艦隊に撃たれた左前足に海水が沁みているようだった。聞き続けていると気分的にシルビまで腕が痛くなってきそうだ。
「おいどうした! まだ深刻な顔して!」
姿の見えなくなっていたルフィが大きな袋を引きずって戻ってくる。皆がズニーシャに関する事実で顔を付き合わせていたというのに、彼は既に次の計画の為に動いていたらしい。
「じゃ、おれ達出発するから、食料いっぱいわけてくれ!」
「出発前に、ズニーシャの手当を手伝ってもらえませんか?」
「手当て? そっか。ゾウもケガしてんのか!」
割り込むように申し出ればルフィが思い出したように言う。それを聞いてミンク族やチョッパーも、ジャックの再襲撃を退けてくれたズニーシャの怪我を思い出してか動き出した。
ベポに持ってきてもらった頭痛薬を飲み込み立ち上がる。振り返れば疲弊して眠そうな様子のモモの助と、猿のミンクからの報告を聞いているネコマムシ達。
船長がその話をちゃんと聞こうと傍へ向かうのにバンダナとベポがその後を追う。シルビも今度は足をもつれさせないようにゆっくりと歩き出して、錦えもんやロビンに囲まれているモモの助へと近付いた。
「若君。念の為この薬を飲んでおいてください」
「? それは?」
「頭痛薬です」
差し出した瓶を受け取って眺めた錦えもんが蓋を開けて匂いを嗅ぎ、それから一つを取り出してモモの助へと渡す。コレは一応危ない成分は入っていないし子供でも水無しで飲めるものだ。無性に苦いが。
「うげぇ!」
「モモの助様!?」
案の定苦みに舌を出して涙目になるモモの助に錦えもんが慌てている。口直しに何かあれば良かったかも知れないが、手元には何もない。
声が聞こえていたのはルフィもだったので、彼にも一応飲ませておくかと姿を探すが見当たらなかった。騒動の最中にはいたのに何処へ行ったのか。
仕方なくロビンへ頭痛薬を渡しておくことにする。
「ロビン、ルフィ君にも飲ませておいてくれるかぁ?」
「ルフィにも?」
「“声”が聞こえてたみてぇだから、念の為」
「おぬし! まずはモモの助様へ謝らんか!」
口を押さえて涙目のモモの助を見て錦えもんが怒るが、シルビとしてはむしろ丸薬を飲ませるアフターケアをしただけ褒めて欲しい。ただでさえモモの助の分の感覚まで肩代わりしたのだ。本来ならモモの助は激しい頭痛に襲われていただろう。
「何という事だ。象主の意志など考えた事もなかった……。ましてや話が通じるとは」
猿のミンクの報告を聞いたイヌアラシが信じられないとばかりに呟いていた。
「ペンギン。ゆガラも象主の声が聞こえとったきに?」
ネコマムシに話を振られて見回せば、そういえばとばかりにイヌアラシやナミ達がシルビへ視線を向ける。流石に隠せるとは思っていなかったので瓶に蓋をしながら頷いた。
「これでも『シャイタン』の血が入ってますから」
「? 『死告シャイタン』の血が入ってると聞こえるのか?」
血も何も、だから本人だが。
「俺の場合は、そうです。ルフィ君や若様も血筋によるものだとは思いますが」
「おでん様はモモの助様のこの“力”を知っておられたのか……?」
「流石にそこまでは分かりません。ただ言えるとしたら『シャイタン』なら俺より知っているのではとかその程度です」
「シャイタン、か」
モモの助の父である『光月おでん』が、声が聞こえる事を息子へ伝えていたかどうかなど知らない。そんな個人的な事までは流石に把握していなかった。
だがシルビがズニーシャだけではなく海王類や動植物の言葉が分かるのは事実だ。正しくは意志が分かるのであって明確な言葉ではない場合の方が多いが、意志が通じるという事には変わりないだろう。普段は無意識にその能力も制限しているようだが、今すぐにでもズニーシャと話すことはきっと可能だ。
ただその場合、ズニーシャは確実にシルビのことを『シルビ』と呼んでしまう気がする。そしてその会話はルフィとモモの助へ聞かれてしまうだろう。そうなった場合『何故ペンギンが親しげにシルビと呼ばれているのか』という疑問が増えてまた色々とねつ造しなければならない。
面倒だ。
故に先ほどの騒動の最中もシルビからズニーシャへ応える事は出来なかった。モモの助が命じるよりも先にその意志は理解出来ていたのだから、シルビが命じられずとも“頼んで”しまえばズニーシャはもっと軽傷で済んだのかも知れない。そういう意味では、シルビは申し訳なく思う。
「ペンギン猫とかも呼び集められるもんね」
「ん、うん」
「あと海王類も」
「そういやシャイタンも海王類呼んでたな!」
ゾウへ来る前のゴーイングルフィセンパイ号でのことを思い出してかウソップが口を開く。
「スゲーんだな『シャイタン』って!」
船長とバンダナが物言いたげな顔をしてシルビを見ていた。言いたいことは分かるがシルビは悪くない。筈だ。
モモの助が気力を消耗したのか、いつの間にかロビンの膝枕で眠っている。それをブルックが羨ましげに眺めていた。
眠っているから大丈夫なのだろうが、こうしている今もシルビの頭の中ではズニーシャが痛がる声が響いている。ジャックの艦隊に撃たれた左前足に海水が沁みているようだった。聞き続けていると気分的にシルビまで腕が痛くなってきそうだ。
「おいどうした! まだ深刻な顔して!」
姿の見えなくなっていたルフィが大きな袋を引きずって戻ってくる。皆がズニーシャに関する事実で顔を付き合わせていたというのに、彼は既に次の計画の為に動いていたらしい。
「じゃ、おれ達出発するから、食料いっぱいわけてくれ!」
「出発前に、ズニーシャの手当を手伝ってもらえませんか?」
「手当て? そっか。ゾウもケガしてんのか!」
割り込むように申し出ればルフィが思い出したように言う。それを聞いてミンク族やチョッパーも、ジャックの再襲撃を退けてくれたズニーシャの怪我を思い出してか動き出した。