ゾウ編
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夢主視点
ネコマムシとイヌアラシがかつてモモの助の父、光月おでんと共に海賊王ゴールド・ロジャーの船へ乗っていたと聞いてルフィ達が驚いている。
「世代で言えばシャンクスやバギーのような“見習い”達に近い若造だったのだ」
シャンクスは確か四皇の一人で『赤髪のシャンクス』といったか。バギーのほうは七武海の一人だったと思う。どちらもシルビは知らない。
というのもシルビがロジャーと最後に会ったのでさえ、既に四十年以上昔の話だからだ。シャンクスやバギーという者達は手配書や新聞記事でその姿を見た限り、シルビがロジャーと会っていた頃にはまだ産まれてすらいなかっただろう。
当然その頃は白ひげも若かったし、ロジャーがラフテルへ向かった当時に乗っていた『オーロジャクソン号』も知らない。そもそもレイリー以外に、ロジャーの船員の前へ姿を見せたことも無かったはずだ。
「見たこともない人種! 地理! 気候! 空に浮かぶ雲の海! 海底に浮く島! 陽光! 毎日胸が! 心が躍った! 懐かしき冒険の日々!」
モコモ公国を巻き込む程に仲が悪かった筈のイヌアラシとネコマムシが肩を組んで懐かしんでいる。対する錦えもん達侍組は、海賊へついて行ったおでんを止めてようとしていたらしい。
「鎖国国家のワノ国においては海外へ出る事自体が罪! かたやおでん様は閉ざされた自国の法に、ずっと疑問を持ち続けた異端児だったのでござる」
「拙者達も“白ひげ”やロジャー達とは、彼らがワノ国へ上陸した折に面識はある」
海外へ出ることが罪と聞いてか、思うところでもあったのだろう船長がシルビを見た。
シルビの故郷も世界政府非加盟の鎖国国家である。とはいえその鎖国理由はワノ国とは違い、単純に国の秘密を大っぴらには外へ漏らさない為だ。
それだって厳格に定められている訳でもないので、島へ移住してくる者もいれば島を出る者もいる。厳格であったならシルビはこんなところへいない。国の相談役である時点で国外へ出るなという話も、多少文句を言われる程度で今はなかった。
ただ国を危険に晒すような真似だけは誰であっても絶対に許さない。それはシルビが相手でもそうだろうし、実際頂上戦争後にハートの船で故郷へ帰った際の騒動では、首謀者はあの国を危険に晒すとして始末している。
船長とロビンを見た。二人に関しては多分、『死ぬ気の炎』の事を徒に広めたりはしないと信じている。
ナミがイヌアラシ達へ航路のことを訊ねる。
ルフィ達は偉大なる航路の後半である新世界へと入ってから、船長のいたパンクハザードからドレスローザを経由してゾウへ来ているという話だ。
パンクハザードはログが無い島であった筈だしゾウも然り。ドレスローザはまだログもあるし航路のうちの一つの地点であるが、確かに麦藁の一味はログ通りには航路を進んでいない。
なのにここへ来て、本来はもっと後に気付くべき“ロードポーネグリフ”の事を知ってしまった。ロードポーネグリフに書かれている場所が海賊王ロジャーの示した『ラフテル』であるのなら、ログを辿った航路の先はどこかと思うのも間違ってはいまい。
「“記録”を辿った先に興味があるのなら行ってみればいい。その三本の指針が全て一つの場所を示す航路はある。――ただし、ゆガラ達はこれまでの旅ですでにその先の冒険を始めているのだ」
「え? ……どういう事!?」
「本来ならば――その“記録”の終着点で初めて気付くのだ。“歴史の本文”と“古代文字”の『謎』に。――それを生み出した文明と、見えぬ最後の島『ラフテル』の存在に!」
生み出した文明。という言葉に足下へ視線を落とす。シルビが今言える事は何もない。
ただ、七武海になったりログのないパンクハザードへ行ったりしている船長を持つハートの海賊団は、実はこっそり定期的に軌道修正を入れていることは秘密だ。船長が“船長”としての仕事を殆どやらないからこそ、それがまかり通って今も尚気付かれていない様子なのは困るところであるが。
普通に航海していてもログ通りに進んで最後の島へ到達し、ロジャー同様気付いても別にいいのだが、シルビだって船長が海賊王になってみたいというのなら海賊王へしてみたい。ドフラミンゴを倒すという目的に集中して、それが終わった今は何を考えているのか分からないが。
話を戻して、要するにハートの海賊団の航海は今のところ、シルビの故郷へ立ち寄ったこと以外には順調である。
「大丈夫。道は間違えてはいない。このまま進め!」
「うん!」
イヌアラシの言葉に安堵しているナミへ、ルフィ達が自慢の航海士なのだとほめそやしていた。ルフィがナミの背中を強く叩きすぎて怒られている。殴り返されていてナミよりルフィの方が痛そうだった。
「――オレ達は平気か?」
「それ、ちゃんと航海記録を確認してりゃ出てこねぇ言葉だという自覚はありますぅ?」
「……信頼してんだ」
信頼という言葉が白々しいが、話を聞いて航路について考えるつもりはあるのだなと感心する。普通の船の船長はあるべきなのだが、この人に関してはシルビのせいがあるとしても無関心だ。
まぁでも、ルフィよりはマシな様だと思うことにする。
「しかしおめェら“伝説”と繋がりすぎてて、レイリーと会った時みてェに頭クラクラするよ」
「……シャイタンへ会った時はクラクラしなかったんですか」
ウソップの感想に何となく聞き返してみれば、ウソップは言葉を選ぶように唸った。
「うーん。シャイタンはなんつーか、騒動の最中にいきなり現れたからよ。驚いたんだけどまだ全然実感がねェっていうか……。やる事なす事大規模過ぎて、現実味がねェっつーか」
「見た目は若けェ姉ちゃんだったしな」
うんうんとウソップの言葉へ同意するようにフランキーが頷いている。確かに今の肉体年齢はフランキーどころか船長より若いが、これでもこの場の誰よりも長く生きているのだ。
ドレスローザでウソップ達へ顔を見せてしまったのは失敗だったかも知れない。フードを被りっぱなしにしておいた方が良かっただろう。
「そんなに若いとなると『不老不死』という伝説も本当なんでしょうかね」
「シャイタンって不老不死なのか!?」
「シャイタンには様々な伝説があるからな。私やネコマムシもロジャーから何度も話を聞いたことがある。記録では若かったり老人だったりするともあるしな」
不思議がるブルックと目を輝かせるチョッパーに対し、イヌアラシが懐かしむように返しているが勘弁して欲しい。
「な、な! お前のじいちゃんって不老不死なのか!?」
案の定シルビへと話題の矛先を向けてきたチョッパーへ、ロビンが面白そうにしているのが窺える。
「――……不老ではありませんよ。ロジャーへ最後に会った頃は八十代かそこらの老人でしたし、今だって見た目は若かろうが高齢であることに変わりはありませんしねぇ」
「ふーん。ん? でもドレスローザで会ったシャイタンは若かったぜ」
「でしょうねぇえええ! 畜生!」
と、叫びたいのを我慢した。
「……シャイタンは、今は、若けぇですから。――俺とそっくりですよ」
むしろ生き写し。同一人物なのだから当然だ。
絞り出すように発した声色に何かを察したか、それ以上はチョッパーもウソップも何も言わなかった。船長が笑いを隠すように咳き込んでいる。睨んでおいた。
「シャイタンの関係で俺もロジャーに会ったことはありますが、割とああいう人達って普通ですよねぇ」
「せっしゃもロジャー達に会っておるが記おくはあいまいでござる。わかかったゆえ」
「成程……曖昧って、ウソつけ! ロジャーは二十年以上前に死んでるよ! 誰と勘違いしてんだ! あとペンギン! ロジャーとかがフツーな訳ねェだろ!」
顔を合わせる度に飛びついてきて、年上のオッサンを肩へ乗せようとしていたところは確かに普通ではないかも知れない。一度目の前で怪我をして肩へ乗せられてからの定番になっていたが、シルビが軽すぎるのも問題なのか。
ネコマムシとイヌアラシがかつてモモの助の父、光月おでんと共に海賊王ゴールド・ロジャーの船へ乗っていたと聞いてルフィ達が驚いている。
「世代で言えばシャンクスやバギーのような“見習い”達に近い若造だったのだ」
シャンクスは確か四皇の一人で『赤髪のシャンクス』といったか。バギーのほうは七武海の一人だったと思う。どちらもシルビは知らない。
というのもシルビがロジャーと最後に会ったのでさえ、既に四十年以上昔の話だからだ。シャンクスやバギーという者達は手配書や新聞記事でその姿を見た限り、シルビがロジャーと会っていた頃にはまだ産まれてすらいなかっただろう。
当然その頃は白ひげも若かったし、ロジャーがラフテルへ向かった当時に乗っていた『オーロジャクソン号』も知らない。そもそもレイリー以外に、ロジャーの船員の前へ姿を見せたことも無かったはずだ。
「見たこともない人種! 地理! 気候! 空に浮かぶ雲の海! 海底に浮く島! 陽光! 毎日胸が! 心が躍った! 懐かしき冒険の日々!」
モコモ公国を巻き込む程に仲が悪かった筈のイヌアラシとネコマムシが肩を組んで懐かしんでいる。対する錦えもん達侍組は、海賊へついて行ったおでんを止めてようとしていたらしい。
「鎖国国家のワノ国においては海外へ出る事自体が罪! かたやおでん様は閉ざされた自国の法に、ずっと疑問を持ち続けた異端児だったのでござる」
「拙者達も“白ひげ”やロジャー達とは、彼らがワノ国へ上陸した折に面識はある」
海外へ出ることが罪と聞いてか、思うところでもあったのだろう船長がシルビを見た。
シルビの故郷も世界政府非加盟の鎖国国家である。とはいえその鎖国理由はワノ国とは違い、単純に国の秘密を大っぴらには外へ漏らさない為だ。
それだって厳格に定められている訳でもないので、島へ移住してくる者もいれば島を出る者もいる。厳格であったならシルビはこんなところへいない。国の相談役である時点で国外へ出るなという話も、多少文句を言われる程度で今はなかった。
ただ国を危険に晒すような真似だけは誰であっても絶対に許さない。それはシルビが相手でもそうだろうし、実際頂上戦争後にハートの船で故郷へ帰った際の騒動では、首謀者はあの国を危険に晒すとして始末している。
船長とロビンを見た。二人に関しては多分、『死ぬ気の炎』の事を徒に広めたりはしないと信じている。
ナミがイヌアラシ達へ航路のことを訊ねる。
ルフィ達は偉大なる航路の後半である新世界へと入ってから、船長のいたパンクハザードからドレスローザを経由してゾウへ来ているという話だ。
パンクハザードはログが無い島であった筈だしゾウも然り。ドレスローザはまだログもあるし航路のうちの一つの地点であるが、確かに麦藁の一味はログ通りには航路を進んでいない。
なのにここへ来て、本来はもっと後に気付くべき“ロードポーネグリフ”の事を知ってしまった。ロードポーネグリフに書かれている場所が海賊王ロジャーの示した『ラフテル』であるのなら、ログを辿った航路の先はどこかと思うのも間違ってはいまい。
「“記録”を辿った先に興味があるのなら行ってみればいい。その三本の指針が全て一つの場所を示す航路はある。――ただし、ゆガラ達はこれまでの旅ですでにその先の冒険を始めているのだ」
「え? ……どういう事!?」
「本来ならば――その“記録”の終着点で初めて気付くのだ。“歴史の本文”と“古代文字”の『謎』に。――それを生み出した文明と、見えぬ最後の島『ラフテル』の存在に!」
生み出した文明。という言葉に足下へ視線を落とす。シルビが今言える事は何もない。
ただ、七武海になったりログのないパンクハザードへ行ったりしている船長を持つハートの海賊団は、実はこっそり定期的に軌道修正を入れていることは秘密だ。船長が“船長”としての仕事を殆どやらないからこそ、それがまかり通って今も尚気付かれていない様子なのは困るところであるが。
普通に航海していてもログ通りに進んで最後の島へ到達し、ロジャー同様気付いても別にいいのだが、シルビだって船長が海賊王になってみたいというのなら海賊王へしてみたい。ドフラミンゴを倒すという目的に集中して、それが終わった今は何を考えているのか分からないが。
話を戻して、要するにハートの海賊団の航海は今のところ、シルビの故郷へ立ち寄ったこと以外には順調である。
「大丈夫。道は間違えてはいない。このまま進め!」
「うん!」
イヌアラシの言葉に安堵しているナミへ、ルフィ達が自慢の航海士なのだとほめそやしていた。ルフィがナミの背中を強く叩きすぎて怒られている。殴り返されていてナミよりルフィの方が痛そうだった。
「――オレ達は平気か?」
「それ、ちゃんと航海記録を確認してりゃ出てこねぇ言葉だという自覚はありますぅ?」
「……信頼してんだ」
信頼という言葉が白々しいが、話を聞いて航路について考えるつもりはあるのだなと感心する。普通の船の船長はあるべきなのだが、この人に関してはシルビのせいがあるとしても無関心だ。
まぁでも、ルフィよりはマシな様だと思うことにする。
「しかしおめェら“伝説”と繋がりすぎてて、レイリーと会った時みてェに頭クラクラするよ」
「……シャイタンへ会った時はクラクラしなかったんですか」
ウソップの感想に何となく聞き返してみれば、ウソップは言葉を選ぶように唸った。
「うーん。シャイタンはなんつーか、騒動の最中にいきなり現れたからよ。驚いたんだけどまだ全然実感がねェっていうか……。やる事なす事大規模過ぎて、現実味がねェっつーか」
「見た目は若けェ姉ちゃんだったしな」
うんうんとウソップの言葉へ同意するようにフランキーが頷いている。確かに今の肉体年齢はフランキーどころか船長より若いが、これでもこの場の誰よりも長く生きているのだ。
ドレスローザでウソップ達へ顔を見せてしまったのは失敗だったかも知れない。フードを被りっぱなしにしておいた方が良かっただろう。
「そんなに若いとなると『不老不死』という伝説も本当なんでしょうかね」
「シャイタンって不老不死なのか!?」
「シャイタンには様々な伝説があるからな。私やネコマムシもロジャーから何度も話を聞いたことがある。記録では若かったり老人だったりするともあるしな」
不思議がるブルックと目を輝かせるチョッパーに対し、イヌアラシが懐かしむように返しているが勘弁して欲しい。
「な、な! お前のじいちゃんって不老不死なのか!?」
案の定シルビへと話題の矛先を向けてきたチョッパーへ、ロビンが面白そうにしているのが窺える。
「――……不老ではありませんよ。ロジャーへ最後に会った頃は八十代かそこらの老人でしたし、今だって見た目は若かろうが高齢であることに変わりはありませんしねぇ」
「ふーん。ん? でもドレスローザで会ったシャイタンは若かったぜ」
「でしょうねぇえええ! 畜生!」
と、叫びたいのを我慢した。
「……シャイタンは、今は、若けぇですから。――俺とそっくりですよ」
むしろ生き写し。同一人物なのだから当然だ。
絞り出すように発した声色に何かを察したか、それ以上はチョッパーもウソップも何も言わなかった。船長が笑いを隠すように咳き込んでいる。睨んでおいた。
「シャイタンの関係で俺もロジャーに会ったことはありますが、割とああいう人達って普通ですよねぇ」
「せっしゃもロジャー達に会っておるが記おくはあいまいでござる。わかかったゆえ」
「成程……曖昧って、ウソつけ! ロジャーは二十年以上前に死んでるよ! 誰と勘違いしてんだ! あとペンギン! ロジャーとかがフツーな訳ねェだろ!」
顔を合わせる度に飛びついてきて、年上のオッサンを肩へ乗せようとしていたところは確かに普通ではないかも知れない。一度目の前で怪我をして肩へ乗せられてからの定番になっていたが、シルビが軽すぎるのも問題なのか。