ゾウ編
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夢主視点
驚いている船長にそう言えば話したことは無かったなと思うものの、無かった事にされている話であるし、シルビがハートの船へ乗っているのに関わりも何も無いので問題ない筈である。となればシルビが政略結婚していたかもしれないことに驚いているのだろうと判断した。
実際、その話は無かったことになっている。
というのもヴィンスモーク家の者がシルビの故郷へ入れなかったからだ。
シルビの故郷は立ち入る者を選ぶ。島へ対し悪意や敵意がある者は徹底的に近づくことが出来ない。ヴィンスモークが『戦争屋』と呼ばれている件とは全く関係なく、彼らは立ち入ることが出来なかったのである。
考えられる理由としては、彼らが科学による武力を構成した戦闘部隊であり、その科学力進歩の為にシルビの故郷の科学力を手に入れようと考えたからではないかと推測されていた。
あの故郷の科学力は、主にシルビのせいで恐ろしいことになっている。その筆頭はシルビの『娘』のメティスで、ハートの皆と故郷へ戻った時にもその『娘』を連れ去ろうとした騒動へ巻き込まれていた。
打診された頃にはまだバイザクは造り始めてすらいなかったが、その頃からあの故郷の科学力を狙っていた可能性はある。
ちなみに、打診されたのは故郷で幼い頃から『相談役』だったシルビ“も”であった。ただしどうやらヴィンスモーク家は当時のシルビを『少女』と勘違いしたらしく、見合い写真に写っていたのはヴィンスモーク家の息子だったのである。
「そうだよそれでムカついたからこっちからヴィンスモーク家を調べて、三男が“東の海”のレストランで働いてることを知って、文句の一つでも言いに行くついでに料理食いに行ったら予想外に美味しいし、その三男当人は家の事を全く知らねぇみてぇだったから、単なる食事会に変更したんだよなぁ」
「――つまりオマエ、“バラティエ”に行ったことあんのか?」
「そう! そのレストラン! 当時はその三男が前菜のスープ作ってたんですよ」
「そいつがサンジだよ!」
「そうなんですか」
ということはあの時の『金髪の少年』がルフィの仲間の一人になっているという事で、それはそれで奇妙な巡り合わせもあるものだ。
それぞれの打診を断った後も、一応ヴィンスモークとの関係は細々と続いていた筈である。とはいえシルビは島を出る少し前からヴィンスモーク家の者とは一切会っていない。ヴィンスモークが立ち入れないから会う為には逐一故郷の島を出なければならなかったし、彼らの狙いが故郷の科学力である以上その頭脳を蓄積しているシルビがそう頻繁に会おうとも思えなかった。
それから一つ所へ留まっているのにも飽きて故郷を出て、船長に出会ってハートの一員になってからは、もう結婚だの何だのと申し出が来たとしても受けるつもりはなくなってしまっている。元より子供を為せない以上結婚をするつもりはなかったし、今は恋人より船長やハートの皆だ。
くじらの樹の蔦の上を降りる為に歩きながら、ふと船長を見れば船長は未だにどこかボンヤリとしているようだった。
「船長?」
「……なんでもねえ」
何でもないようには見えないのだが、そんなに驚くことかと不思議にも思う。船長には関係がないし既に過去の話でもあるのだ。
これが今の話であったならシルビは船長にも話していただろうし、船長が何か言うようであったらその打診も下手に保留にはせず断っていたとも思う。自分の人生を船長という他人の指示で考えるのかと指摘されそうな言い方になってしまったが、そうではなく最終的に断るモノを無駄に長引かせないようにするという話だ。
結局どうあってもシルビが誰かと結婚する事など無いのだから、そんなにショックを受けられるのがなんだかショックである。
「俺が悪ぃのかなぁ?」
「貴方は悪くないと思うわ。でも謝っておいたら?」
ロビンに言われてもピンとはこない。
「謝って機嫌が簡単に治る人じゃねぇんだよ」
「貴方はトラ男くんに婚約者が居たって聞いたらどう?」
「……。……婚約者へちゃんと手紙を出したり連絡をとったりさせる?」
「その婚約者が貴方の事を嫌ってたら?」
「船を降りる?」
前を歩いていた船長が勢いよく振り返った。会話が聞こえていたのか何故かシルビを睨んでくる。
「降りんな!」
「仮定の話でしょう? 俺だって今は婚約者も見合いもありませんし、仮にそういう打診が来てもハートに居てぇから断りますよ。前にも言いましたが『ペンギン』はトラファルガーのものなんですから」
船長が何か言い掛けて結局何も言わず、代わりに鼻を鳴らして前を向いた。シルビの隣ではロビンがクスクスと笑っている。そんな笑われるようなことを言った覚えはない。
仮の話に想定した案であっただけで、本当にそんな状況へ至ったら実際には降りないと思う。婚約者に嫌われていたとしても船長へ嫌われている訳ではないだろうし、それならシルビが降りる理由には全くならない。
船長に嫌われて降りろと言われたら、その時は潔くハートの船を降りる。
「……少しでも離れるの、結構嫌だけどなぁ」
「誰と?」
「船長達と。ロジャーやルフィ君もいいんだけど、やっぱり俺は船長かなぁ」
驚いている船長にそう言えば話したことは無かったなと思うものの、無かった事にされている話であるし、シルビがハートの船へ乗っているのに関わりも何も無いので問題ない筈である。となればシルビが政略結婚していたかもしれないことに驚いているのだろうと判断した。
実際、その話は無かったことになっている。
というのもヴィンスモーク家の者がシルビの故郷へ入れなかったからだ。
シルビの故郷は立ち入る者を選ぶ。島へ対し悪意や敵意がある者は徹底的に近づくことが出来ない。ヴィンスモークが『戦争屋』と呼ばれている件とは全く関係なく、彼らは立ち入ることが出来なかったのである。
考えられる理由としては、彼らが科学による武力を構成した戦闘部隊であり、その科学力進歩の為にシルビの故郷の科学力を手に入れようと考えたからではないかと推測されていた。
あの故郷の科学力は、主にシルビのせいで恐ろしいことになっている。その筆頭はシルビの『娘』のメティスで、ハートの皆と故郷へ戻った時にもその『娘』を連れ去ろうとした騒動へ巻き込まれていた。
打診された頃にはまだバイザクは造り始めてすらいなかったが、その頃からあの故郷の科学力を狙っていた可能性はある。
ちなみに、打診されたのは故郷で幼い頃から『相談役』だったシルビ“も”であった。ただしどうやらヴィンスモーク家は当時のシルビを『少女』と勘違いしたらしく、見合い写真に写っていたのはヴィンスモーク家の息子だったのである。
「そうだよそれでムカついたからこっちからヴィンスモーク家を調べて、三男が“東の海”のレストランで働いてることを知って、文句の一つでも言いに行くついでに料理食いに行ったら予想外に美味しいし、その三男当人は家の事を全く知らねぇみてぇだったから、単なる食事会に変更したんだよなぁ」
「――つまりオマエ、“バラティエ”に行ったことあんのか?」
「そう! そのレストラン! 当時はその三男が前菜のスープ作ってたんですよ」
「そいつがサンジだよ!」
「そうなんですか」
ということはあの時の『金髪の少年』がルフィの仲間の一人になっているという事で、それはそれで奇妙な巡り合わせもあるものだ。
それぞれの打診を断った後も、一応ヴィンスモークとの関係は細々と続いていた筈である。とはいえシルビは島を出る少し前からヴィンスモーク家の者とは一切会っていない。ヴィンスモークが立ち入れないから会う為には逐一故郷の島を出なければならなかったし、彼らの狙いが故郷の科学力である以上その頭脳を蓄積しているシルビがそう頻繁に会おうとも思えなかった。
それから一つ所へ留まっているのにも飽きて故郷を出て、船長に出会ってハートの一員になってからは、もう結婚だの何だのと申し出が来たとしても受けるつもりはなくなってしまっている。元より子供を為せない以上結婚をするつもりはなかったし、今は恋人より船長やハートの皆だ。
くじらの樹の蔦の上を降りる為に歩きながら、ふと船長を見れば船長は未だにどこかボンヤリとしているようだった。
「船長?」
「……なんでもねえ」
何でもないようには見えないのだが、そんなに驚くことかと不思議にも思う。船長には関係がないし既に過去の話でもあるのだ。
これが今の話であったならシルビは船長にも話していただろうし、船長が何か言うようであったらその打診も下手に保留にはせず断っていたとも思う。自分の人生を船長という他人の指示で考えるのかと指摘されそうな言い方になってしまったが、そうではなく最終的に断るモノを無駄に長引かせないようにするという話だ。
結局どうあってもシルビが誰かと結婚する事など無いのだから、そんなにショックを受けられるのがなんだかショックである。
「俺が悪ぃのかなぁ?」
「貴方は悪くないと思うわ。でも謝っておいたら?」
ロビンに言われてもピンとはこない。
「謝って機嫌が簡単に治る人じゃねぇんだよ」
「貴方はトラ男くんに婚約者が居たって聞いたらどう?」
「……。……婚約者へちゃんと手紙を出したり連絡をとったりさせる?」
「その婚約者が貴方の事を嫌ってたら?」
「船を降りる?」
前を歩いていた船長が勢いよく振り返った。会話が聞こえていたのか何故かシルビを睨んでくる。
「降りんな!」
「仮定の話でしょう? 俺だって今は婚約者も見合いもありませんし、仮にそういう打診が来てもハートに居てぇから断りますよ。前にも言いましたが『ペンギン』はトラファルガーのものなんですから」
船長が何か言い掛けて結局何も言わず、代わりに鼻を鳴らして前を向いた。シルビの隣ではロビンがクスクスと笑っている。そんな笑われるようなことを言った覚えはない。
仮の話に想定した案であっただけで、本当にそんな状況へ至ったら実際には降りないと思う。婚約者に嫌われていたとしても船長へ嫌われている訳ではないだろうし、それならシルビが降りる理由には全くならない。
船長に嫌われて降りろと言われたら、その時は潔くハートの船を降りる。
「……少しでも離れるの、結構嫌だけどなぁ」
「誰と?」
「船長達と。ロジャーやルフィ君もいいんだけど、やっぱり俺は船長かなぁ」